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2005年11月18日 (金)

「グッドナイト・アンド・グッドラック」Good Night, and Good Luck(レヴュー)

goodnightアメリカの政治、社会、そしてメディアの暗黒の歴史である「赤狩り」の時代(1950年代)、そしてその推進者だったジョセフ・マッカーシー上院議員。誰もがその恐怖に声を上げられなかった時代に、声を高らかに反旗を翻した伝説のCBSのTVキャスター・ジャーナリスト、エドワード・R・マルロー(デビット・ストラザーン)と彼と共に戦った男たちを描く骨太の社会派ドラマ。現時点で2006年のアカデミー賞の有力候補と目されています。

エドワード・R・マルローについては、その後の時代のジャーナリズムに大きな影響を与えた存在(特にヴェトナム戦争報道のあり方に大きな影響をもたらした)として、名前は知っていましたが、なるほど、こんな時代と番組(See It Now)があったのだという事実の重み、そしてTVというメディアを活用した対決の迫力に、知的興奮を味わいました。「ジャーヘッド(湾岸戦争を描いてイラク戦争と変わらぬ戦争の真理を語る)」に続き、過去の事例(赤狩り)を描きながら、現代の問題(ブッシュの時代の閉塞的なメディア状況)について映画を使ってコメントするという手法。アメリカ映画はまだまだ捨てたモンじゃありません。

転換時に流れるダイアン・リーブスのしっとりしたJazzナンバーが時代の空気を伝える中、マルローを演じるストラザーン、彼を支える辣腕プロデューサーにジョージ・クルーニー(監督も兼ねる)、番組制作スタッフにロバート・ダウニーJr、ジェフ・ダニエルズ、そして紅一点パトリシア・クラークソン。苦悩する社主にフランク・ランジェラといった俳優達のアンサンブルで魅せてくれます。で、肝となる“悪役”マッカーシーを誰が演じているかは是非、公開まで知らないほうが良いかと。何故この映画を白黒でとったか、腑に落ちます。二作目にしてクルーニー監督、堂々たる風格。

ほとんどがスタジオの中で起き、セリフが多い点など(英語の聞き取り能力がもっとあればと痛切に反省)密室劇、舞台劇の趣あり(11/19追記:監督・クルーニーとしては、当時の”生”ドラマ、”生”ラジオドラマの迫力と緊迫感を再現したかったとの事。なるほど納得-「ER」でもやってましたなあ)。スケール感に乏しい点で、作品賞の絶対本命と言い切れない所ではありますが、少なくとも俳優陣が演技部門で沸かしてくれるでしょう。

・ちなみに日本の東北新社がどかんと共同制作会社とクレジットされているのは痛快。ぱちぱちぱち。
・番組でしゃべりながらタバコをすぱすぱすっている主人公(これが原因でマローは癌で亡くなる)。時代の流れを感じさせます。

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  続きに作品情報

「グッドナイト・アンド・グッドラック」Good Night, and Good Luck
分野: ドラマ
米国公開日: 2005年10月7日(限定公開)
米国公式サイト:http://wip.warnerbros.com/goodnightgoodluck/
米国配給会社: Warner Bros. Pictures Distribution
日本公開日: 2006年
主演:Patricia Clarkson, David Strathairn, George Clooney, Robert Downey Jr, Ray Wise
監督:George Clooney
製作:Jennifer Fox, Ben Cosgrove, Todd Wagner (II)

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コメント

こんにちは。TBありがとうございます。
いつも拝見させていただいてます。アメリカ在住うらやましいです。
こちらからもTBしようとしてもうまくいきません。同じココログ同士なのになんでだろう?
とりあえずこれからも宜しくお願いいたします。

http://eigaconsultant.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_f58a.html

投稿: てきさす | 2006年5月 3日 (水) 14時23分

初めまして、こんにちわ。
TBどうもありがとうございました。
こちらからも試みたのですが、何度やっても上手くいきません。もし時差があって、暫くして複数のっていたら、不要分は削除をお願い致します。
ところで。とても充実した素晴らしいブログですね。これからも参考にさせて頂きますので、どうぞヨロシクお願い致しますね。

投稿: 隣の評論家 | 2006年5月 3日 (水) 18時49分

こんばんは。
TBありがとうございます。
この映画の緊張感は、当時そのものだったんではないかと思います。それ故にマローの言葉は重く深く感じたんではないかと思います。(クルーニーの演出大成功ですね!)
ただ私の場合、字幕が読めない箇所が多かったのも含め、その緊張感を存分に味わえませんでした。
ワシューバ夫婦の「夫婦の会話」は緊張感から解放される安らぎの場面でした。

投稿: kaz-net poteto | 2006年5月 5日 (金) 00時56分

★てきさすさん、コメントありがとうございました。最近はずっとブログランキング1位、凄いですね。愛読させていただいております。またいらしてくださいませ。

★隣の評論家さん、コメントありがとうございます。てきさすさん同様、ココログ同士が一番相性が悪いようです・・・・これに懲りずにまたお越しくださいませ。

★kaz-net potetoさん、この映画、ほとんど舞台劇のような濃密な”言葉”のやりとりで、字幕梨で見るのは大変な経験でした。DVDでじっくり見直してみたいと思っています。

ダイアンリーブスのサントラ、思わず買ってしまいました。

投稿: rambler | 2006年5月 7日 (日) 01時35分

★字幕梨->字幕無し、慎みまして訂正させて頂きます。

投稿: rambler | 2006年5月 7日 (日) 01時36分

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