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2006年1月22日 (日)

古典的恋愛悲劇「ブロークバック・マウンテン」 (レビュー)

3月10日追記:結局作品賞、とれませんでした(詳細こちら)。これは「ハリウッドの保守性」との声も高いのですが、どうもそうではなく(真に保守ならば今回はクルーニー、ホフマン、そして「クラッシュ」の受賞はないと思います。ハリウッドも一大ゲイ・コミュニティだし)、あまりに前哨戦で勝ちすぎて反発を食ったように感じています。「クラッシュ」に票を投じた会員も勝つとは思っていなかったらしい(笑)。
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ご存知、現在アメリカの各映画賞を席巻し、アカデミー賞へ文字通り最短距離にあるのがこの「ブロークバック・マウンテン」。「ゲイのカウボーイ」という禁断の愛を描く映画のどこがそれほどの評価になっているのかと日本で話題になりはじめましたが、理由は非常にシンプル。それは映画として素晴らしいから。

Brokebackmountain11963年のワイオミングの雄大な自然を背景に、結びついて行く二人の若きカウボーイの心、そして肉体的に結ばれる二人。しかし当時の社会では決して結ばれる事のない禁断の愛。意にそまぬ結婚、再会。会えないつらさ、もどかしさ、切なさ。取り残される家族の悲しみ。20年の歳月、そして訪れる悲劇。

日本の紹介記事等では“ゲイの問題を描いた作品”というような、言われ方もされていますが、ここでは“同性”であることはかつての国境や人種の壁、貧富の差(家柄の違い)、年齢の差といった恋愛映画を成立させるための“壁”。その意味でこの映画は“ゲイの映画”ではなく、実は古典的恋愛悲劇。美しい自然を捉えた映像、美しく切ない音楽、ドラマチックかつ淡々と進んでいくそのストーリー、そして主演のヒース・レッジャー、相手役を務めるジェイク・ギレンズホール、ヒースの妻役ミシェル・ウィリアムス、ジェイクの妻役アン・ハサウェイの4人の演技が素晴らしいのですが、何よりの功績はこうした要素を組み合わせて、この繊細かつ大胆な恋愛映画を成立させた監督アン・リーの手腕かと思われます。

様々な賞を獲得して、映画としての質の高さが浸透しつつあり、先週末の映画館は比較的高年齢層のカップル姿が目立ちました。興行的にも限定公開から徐々に公開映画館数を増やして、今後益々多くの観客を集めそう(同じ日に限定公開を開始した「SAYURI」も狙っていた戦略だったのですが、ここに両者に大きな差が。この限定公開戦略につきましてはこちら“ 「SAYURI」、アメリカの興行で苦戦”をご覧ください)。今後アカデミー賞のノミネートを経て今年上半期の話題の中心になると思われます。

なかなか映画館に入りにくいとは思いますが(笑)、是非劇場へ。胸に染み入る作品です。

過去紹介記事: 「ブロークバック・マウンテン(原題)」Brokeback Mountain(2005年9月13日)

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受信: 2006年3月24日 (金) 05時51分

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