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2006年4月13日 (木)

知的銀行強盗映画「インサイド・マン」 レビュー

6月17日追記:いつの間にか日本公開されていた本作品。日本での皆さんのブログでの評価を見ると厳しいものばかり。私は早くもう一度DVDで見返して見たいと楽しみにしています(製作者たちの意図どおり?)。まだ未見の方があれば力を抜いて個性の強い役者たちのスリリングな絡みをご堪能ください
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Insideman220_1ニューヨーク・ウォールストリート近くの銀行を舞台に、クライブ・オーウェンが銀行強盗団のボス、対峙するNY市警の刑事にディンゼル・ワシントン、警官にウィリアム・デフォー、立てこもられた銀行の創設者・頭取にクリストファー・プラマー、そしてその頭取に雇われた凄腕トラブルシューター(コンサルタント)にジョディ・フォスターという一癖も二癖もあるメンバーが集結したスパイク・リー監督作品。只今アメリカでヒット中。

曲者揃いの中、一番の曲者は実は監督。個性の強いスター達を自在に動かし、やや詰め込みすぎな脚本を旨くさばいて、多重構造を持った奥行きの深い銀行強盗ドラマに仕立てました。銀行強盗の内容&場所は「ダイハード3」を思わせますが(知的な点でオーウェンが、ジェレミー・アイロンズのボスを思い出させます)、全体に「狼たちの午後(劇中セリフの中に出てくる)」に近い印象。「狼」がアル・パチーノ&ジョン・カザールの行き当たりばったりのHotな強盗団ならば、こちらはCoolな強盗団。直線的なオーウェンVSワシントン対決だけではなく、ワシントンVSフォスター、フォスターVSオーウェン、フォスターVSプラマー、ワシントンVSプラマーと役者同士の絡み合う(騙し合う)知的強盗映画。その分、派手なアクション・痛快なカタルシスを期待すると肩透かしをくらいます。

★ジョディー・フォスターDVD

特筆すべきはジョディ・フォスター。若くしてアカデミー賞を既に2回受賞している彼女も最近は「パニック・ルーム」「フライト・プラン」という“悪に立ち向かう強い母(正義の味方)”を演じていましたが、ここでは仕事の為なら手段は厭わないタフで嫌な役柄を演じていてこれがはまり役。今後是非大悪役等もお願いしたいものです(007の世界征服を企む悪のボスなんてどうでしょうか)。クライブ・オーウェンが冷静な悪役で、俳優としての上り調子を伺わせ、スパイク・リーと名コンビのディンゼル・ワシントンは程よく力を抜いた感じで、個性の強い共演陣を引き立てています。DVDが出たらきちんと見直してみたい美味しい一本。
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「インサイド・マン」Inside Man
分野: ドラマ・スリラー
米国公開日: 2006年3月24日
米国版公式サイト:http://www.insideman.net/index.php
米国流通会社: Universal Pictures Distribution
日本公開:6月10日 
日本公式サイト:http://www.insideman.jp/
主演: Denzel Washington, Clive Owen, Jodie Foster, Willem Dafoe, Chiwetel Ejiofor
監督: Spike Lee
製作: Daniel Rosenberg, Brian Grazer

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コメント

紫と申します、TB有難うございました。

この作品、公開直前後のTV宣伝フィルムこそ、個性的な作品とうたっていますが、試写の段階では全く違った印象の宣伝フィルムだったんです(少なくとも私には)。特にナレーション。

アチコチの試写レビューで辛口コメントが多いのはそのあたりの“裏切られ度”が反映されているのでは。

私としては決して嫌いではなく、やはりDVDで見直したい、と思ってしまったので監督にヤラれたクチなのでしょうか。

投稿: 紫(むらさき) | 2006年6月18日 (日) 11時42分

こんばんは。
こちらの記事の方にもコメント&トラックバックを失礼致します。

本作品を詳細に考察された文章を興味深く拝見させて頂きました。
この作品について今一つとは感じましたが、銀行強盗犯と警察の応酬を描いた物語展開にやや際どいと思われる人種に関する台詞やユーモアの要素を感じる場面もあり、また出演者の皆さんの簡単に善・悪と言い切れない存在に面白さがある映画であると思いました。

また遊びに来させて頂きます。
ではまた。

投稿: たろ | 2006年6月21日 (水) 00時44分

★紫さん、コメントどうもありがとうございます。

なるほど、やっぱり日本の宣伝はそんな感じでしたか。とすると観客はどうしても”切れの良い速球”を期待しちゃいますよね。でもこれはどう考えても”くせのある変化球”(笑)。早くDVDで細かく再見して見たいものです。

★たろさん、コメントありがとうございます。

”簡単に善・悪と言い切れない存在に面白さがある”、そう、ここが意見が分かれる部分&一番面白い部分だと思います。

”際どいと思われる人種に関するユーモア”、こんな会話が日常で聞けるのはニューヨークが舞台の映画の醍醐味です。

投稿: rambler | 2006年6月21日 (水) 08時28分

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