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2006年11月23日 (木)

追悼・ロバート・アルトマン「今宵、フィッツジェラルド劇場で」ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン

Altman220 カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭で最高賞を受賞しながら、母国アメリカのアカデミー賞には縁がなかった(5回ノミネートされ無冠に終り、今年3月にやっと功労賞を受賞)巨匠ロバート・アルトマン監督が20日、がんによる合併症のためロサンゼルスの病院で死去しました。享年81歳。

 最近の映画ファンには馴染みはあまりないかも知れませんが、「マグノリア」「ラブ・アクチュアリー」や今年のアカデミー賞の作品賞に輝いた「クラッシュ」、そして現在公開中の「バベル」のような、複数のストーリーラインと登場人物が絡み合いながら一つの映画を構成する群像劇の映像文法(アルトマン・スタイル)を生み出した人。いわゆる“ハリウッド映画”とは、一線を画した独立系の監督の代表的な存在であり、知的でシニカルな笑いを盛り込んだ作品群(代表作は続きに)で知られていていましたが、俳優たちからの尊敬は厚くギャラを削っても有名スターが結集する事でも知られていました。80年代には「ポパイ」等の失敗で地味にしていましたが、ハリウッド嫌いがハリウッドに対して放った毒矢とも言うべき「ザ・プレイヤーズ(1992年)」で再認識されたのは大いなる皮肉(それも、ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィリスというような“ハリウッド・スター”をちりばめて)。

prairie_home_companion1 今年5月に公開され、遺作となってしまった“ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン(「今宵、フィッツジェラルド劇場で」のタイトルで2007年春公開)”も、彼らしい群像劇で、カントリー系ラジオの人気公開番組「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」★の最終回を舞台に司会者(ギャリソン・キーラー=実際にこの番組の創始者・司会者・構成作家、そしてこの映画の原作・脚本)、ガードマン(ケビン・クライン)、出演者達・ジョンソン・シスターズ(メリル・ストリープ&リリー・トムリン・コンビ★★+リンジー・ローハン)、漫才シンガース・ラスティ&ダスティ(ジョン・C・ライリー&ウィディ・ハレルソン)、劇場オーナー(トミー・リー・ジョーンズ)、そして謎の女(ヴァージニア・マドセン)が絡むという豪華版。それぞれの役者の味を引き出しながら(リンジー・ローハンがはじめて可愛く思えました・笑)相変わらずの達者な語り口で綴られる楽しい劇場奇譚。

 カントリー・ミュージックが主で舞台を描くというと、どうしても「ナッシュビル」を思い浮かべてしまうと思いますが、こちらはギャリソン・キーラーという実在の人間国宝的芸達者(劇中で展開される“生CM”は名人芸)のドキュメンタリー的側面も持っていて、“ギャリソン・キーラー作品”の印象が強く、アルトマン的な毒味は薄く、さらりとした印象。物足りないと思う方も多いかとは思いますが、肩の力を抜いてもこれくらいは楽々出来ると、今更ながらこの”映画作家“の実力を示した作品でした。

 来年早々には次回作の撮影に入る準備をしていたとの事ですが、もう次回作が見れないかと思うと、寂しさがこみ上げてきます。合掌。

過去記事:ロバート・アルトマンの新作「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」人気blogランキング参加中。 banner_02

★実際には常設の劇場では終了しましたが、現在でも“ツアー”の形で、番組は継続中。
★★今年のアカデミー賞でこの二人がコンビでアルトマン監督を紹介していましたね。それぞれが勝手に喋っていながら最後はストンと話を落とす絶妙の語り口がアルトマン流。

M★A★S★H マッシュ MASH (1970)  *カンヌ国際映画祭パルム・ドール
ロング・グッドバイ The Long Goodbye (1973)
ナッシュビル Nashville (1975)  *全米批評家協会賞作品賞・監督賞、NY批評家協会賞作品賞・監督賞
ザ・プレイヤー The Player (1992)  *カンヌ国際映画祭監督賞、NY批評家協会賞監督賞
ショート・カッツ Short Cuts (1994)  *ヴェネチア国際映画祭金獅子賞
プレタポルテ Prêt-à-Porter (1994)
カンザス・シティ Kansas City (1996)
相続人 The Gingerbread Man (1997)
クッキー・フォーチュン Cookie's Fortune (1999)
Dr.Tと女たち Dr T and the Women (2000)
ゴスフォード・パーク Gosford Park (2001)  *全米批評家協会賞監督賞、NY批評家協会賞監督賞、ゴールデングローブ賞監督賞
バレエ・カンパニー The Company (2003)
今宵、フィッツジェラルド劇場で A Prairie Home Companion (2006)


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