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2008年10月 8日 (水)

2008年夏の映画総括その1:アクション映画編

復活にあたりこれまでちょこちょこ書いてきたサマームービーについての考察を一気に行きます。長文失礼(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

関連:
・2008年夏の北米ヒット作品 1位~10位
・2008年夏の北米ヒット作品 11位~21位
・2008年夏の映画総括その2:恋愛、ミュージカル&その他映画編

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2008年夏の映画総括その1:アクション映画編
 時は1988年。大ヒットシリーズ第三作にして年間最大ヒット作最有力候補と思われた「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」*に対し、その1ヶ月後に封切られアメリカの観客を熱狂させ年間一位の座を奪ったのはティム・バートン監督・マイケル・キートン扮するバットマンとジャック・ニコルソン扮するジョーカーが対決する「バットマン」第一作でした(日本ではインディの勝利)。20年の時を越え再び対決したインディ・ジョーンズとバットマン(&ジョーカー)、の戦いはアメリカではまたしてもバットマン(ダークナイト)の勝ち(日本ではインディの勝ち)。「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」はアメリカで300億円以上を稼ぎましたが、「タイタニック」以外の全ての興行成績を打ち破り歴史上第二位の大ヒット作となった「ダークナイト」には大きく引き離されました。

 「インディ」は確かに面白かったのですが、正直言ってあまりに古めかしいアドヴェンチャー。このシリーズ、元々はそういう古めかしい冒険活劇の復活がテーマだったのですが、やはりスピルバーグ&ルーカスには21世紀ヴァージョンのインディアナ・ジョーンズを見せて欲しかったと思います。今最高の女優の一人であるケイト・ブランシェットも楽しそうに悪役を演じていますが、“スターリンの秘蔵っ子”としての優秀さは出ていても悪女としての色気不足。シーア・ラブーフの起用、カレン・アレンの復帰と併せてもハリソン・フォードの高齢化を救えなかったのが残念(○蔵○で危機脱出はないよね)。

 これに比べ新装開店版第二弾となったクリストファー・ノーラン版バットマン「ダークナイト」の進化の凄まじさ。“どうせ、コミックの映画版だろ”と言われ軽んじられていた時代に比べての内容に加わった深み。アメリカではヒース・レッジャーの助演男優賞だけではなく作品自体をアカデミー賞に押す声が出ています。

 光(ホワイトナイト=ハービー・デント=アーロン・エッカート)と影(ダークナイト・バットマン=クリスチャン・ベール)のという対立軸にジョーカー(故ヒース・レッジャー)という勝負の流れを変える邪悪なカードの三角関係。ここにレイチェル(ハートのクイーン?=マギー・ギレンホール)とゲイリー・オールドマン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマンの重量級三人を加えて生み出されている多面体的な構造は単純な善悪や光と影を超越した深さとそこから生み出されるダイナミズムはアメコミの映画化の最高峰にして現在のアクション映画の最高水準の面白さでした。スカッとする映画ではなくて重く後を引く作品ではありますが。

 バットマンの所属するDCコミックとアメコミの勢力を二分するマーベルの送り込んだこの夏のヒーローは「アイアンマン」と「インクレディブル・ハルク」。共通するのは前者にはロバート・ダウニーJr、後者にはエドワード・ノートンという演技派を主人公に起用したこと。これは同じマーベルの仲間「スパイダーマン」でトビー・マグワイアを起用たり、「X-MEN」シリーズのパトリック・スチュワート&“サー”・イアン・マッケランという名優を起用した事と同じ公式。既にモンスター同士、ロボット同士の格闘技戦では目の肥えた観客がついてこず、きちんとした“演技”が出来る人でないと主演がつとまらないという事でしょう(じゃ、アン・リー版「ハルク」はなんだったんだという声も聞こえてきそうですが)。

 個人的にはシリアスなハルクよりコミカルな「アイアンマン」の楽しさに軍配を上げますが、双方の映画で示されていた通り「アイアンマン」と「ハルク」は共にマーベル・ワールドにいるので共演する姿も遠からず見れそうで楽しみです(ダウニーJr VS ノートンというのは普通のドラマでも見てみたい気が・・・)。アイアンマンでの秘書グウィネス・パルトローは儲け役で、終始重たい顔のリブ・タイラーにこちらも勝っています。

 もう一本、コミックというより“グラフックノベル(劇画というかコミックの軽い乗りではないヘヴィな漫画)”を映画化したのがアクション大作「ウォンテッド」。退屈で最低な生活を送る青年ウェスリーが、1000年続く中世の暗殺組織のメンバーに選ばれ、自分の中に眠っている特殊な才能に目覚めるというある意味典型的なヒーロー物ですが、最新のSFX技法を駆使して、残酷さにユーモアを交えたアクション=曲がる銃弾、走りながら相手の銃を奪ってぶっ放すスピード感、スローモーションで吹っ飛ぶ車等が快感。「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」で知られたロシアのニューウェーブ・ティムール・ベクマンベトフ監督が“誰も見たことのない世界”を生み出しています。

 こうしたスーパー・ヒーロー物の一種のパロディ的なアンチ・スーパーヒーロー物の映画がウィルスミスの「ハンコック」。今、一種神がかり的状態で出ればヒットのウィル・スミスですが、今回ばかりはストーリーの転がりが悪くなんだか弾まない映画になってしまいました。共演のシャーリーズ・セロンもなんとなくもったいなく(ぎりぎりまで彼女が出ているのも知りませんでした)、まあ、彼が出てきていつもの通りのマシンガントークを繰り広げてくれれば観客は満足らしくサマーシーズンとしては第四位のヒットに。

 さてインディ・ジョーンズ・シリーズの強い影響を受け、「魂のないインディアナ・ジョーンズ(第一作の頃、こんな悪口を書かれていた)」とまで苔にされながらも同じように主人公がオカルト要素を組み込んだ大アドヴェンチャーを繰り広げ大ヒットになったのが「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(原題はThe Mummy)」。そのシリーズ第三作「ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝」。で、こちらの対決はやはり本家インディの圧勝でした。個人的にマリアベロは大好きな女優ですが、このシリーズのヒロイン・イブリン役関してはやはりレイチェル・ワイズでないとなんとなく落ち着かなかったのは私だけ?

*第一作「レイダース・失われた聖櫃」は1981年の第一位。第二作「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」は1986年に「ビバリーヒルズ・コップ」「ゴーストバスターズ」に続いて第三位。

2008年夏の映画総括その2:恋愛、ミュージカル&その他映画編に続く

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