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2009年3月 8日 (日)

デビット・フィンチャーの新領域「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」

Curious_case_of_benjamin_button480 デビット・フィンチャー監督による静謐な人生ドラマ。80歳の赤ん坊として生まれ若返って行く男(ベンジャミン・バトン=ブラット・ピット)と幼馴染(デイジー=ケイト・ブランシェット)*の70年に渡るロマンスを縦軸に、そこに関る人々の人生が様々な形で交錯します。「世にも不思議な物語」の体裁をとりながらどんな人生にも出会い、別れ、四季があり、折り重なり合って交錯し、そしてはかなく消え去って往く様を淡々と描きます。

 監督のデビット・フィンチャーは、「エイリアン3」で長編デビュー後、ブラピと組んだ「セブン」「ファイトクラブ」で刺激の強い“映像技巧派の若きエース”ポジションを確立した人ですが、個人的にはどうも馴染めずにいました(「ゲーム」「パニック・ルーム」は悪いほうに“技巧”がこけた作品かと思っています)。

 しかし前作「ゾディアック」あたりからその映像技巧を一歩引かせて、“物語”を紡ぐ事に全力を注いでいるように進化し、今回はかつての”技巧的映像サスペンス職人”から“映画作家”としての成長と円熟が感じ取れる新領域に突入しています。勿論しわくちゃの老人が若返るゴシックホラー的な味付け**は彼ならではのテイスト。また全編を通じての光と影の使い方の巧みさは改めてこの作家の実力を知らしめてくれます。

 今年のアカデミー賞で13部門にノミネートされながら「スラムドック$ミリオネア」に主要部門で破れ美術、メーキャップ、視覚の3技術部門受賞に留まりましたが、作品自体の持つ“静かなパワー”が強い印象を鑑賞後の心に残す作品です。

*これが3度目と成るフィンチャー&ブラット・ピットの顔合わせ。「バベル」で倦怠期の夫婦を演じていたブラピ&ブランシェットの本格的な組み合わせ、その「バベル」夫婦の娘を演じていたエル・ファニングがブランシェットの子供時代を演じ、またかつて「レジェンド・オブ・フォール」でブラピの相手を務めたジュリア・オーモンドがブラピ&ブランシェットの○○○を演じる妙。“ガラドリエル”ブランシェットと“白の女王”ティルダ・スウィントン(ブラピとは「バーン・アフター・リーディングでも競演」)という印象の似た二人の女性を主人公の人生の重要な恋愛相手に起用する等、ハリウッドワールドもまた“出会いと別れ”、そして輪廻転生の世界?

**フィッツジェラルドの原作の舞台はボルティモアですが、映画はニューオリンズ。ブラピも出ている「インタビュー・ウィズ・バンパイア」や、「スケルトン・キー」等の南部ゴシック譚の色が強く出ておどろおどろしい印象を生み出しています。

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