2013年2月20日 (水)

「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」

Silver_linings_playbook 前作「ザ・ファイター」で第83回アカデミー賞にて助演男優賞(クリスチャン・ベール)、助演女優賞(メリッサ・レオ)の2冠をもたらしたデヴィッド・O・ラッセル監督の新作。前作がシリアスな人間ドラマの皮をかぶった“爽快スポ根もの”だったのと同じでこちらもシリアスな心の闇を抱えた者同士の“ラブコメ(ロマンチックコメディ)”小作品ながら皆から愛され今年のアカデミー賞の作品賞、監督賞に加えて主演・助演の4演技部門に全てノミネートされています。

痛々しくてしょうがない主人公ブラッドリー・クーパー、爆弾のようなジェニファー・ローレンス、ちょっとおかしな主人公の父親ロバート・デ・ニーロ、見守る母親ジャッキー・ウィーヴァー、そしてジュリア・スタイルズ、クリス・タッカー等の曲者たちの奏でる“アンサンブル”が素晴らしいのがこの映画。これもベール・アダムス・レオの4人がウォールバーグを支える形でドラマを盛り上げていた「ザ・ファイター」と同じフォーメーション。切れるシーンでLed Zeppelinがかかるのも同じw(「アルゴ」でもZepがかかっていましたね)。

恐るべきは若干22歳で2度目のアカデミー賞ノミネートのジェニファー・ローレンス。日本では「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」「ハンガーゲーム」で出てきた新進女優のイメージがあるかもしれませんが、17歳で出演した「あの日、欲望の大地で」でキム・ベイシンガー、シャーリーズ・セロンというオスカー女優を完全に食っていました。既にSAG賞等で主演女優賞に輝いていており堂々たるスピーチを披露。どこまで伸びるのか底の見えない才能です。

ブラッドリー・クーパーもどうしても「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」のイメージがつきまといますが、元々アクターズ・スタジオで学び舞台で鍛えた実力を垣間見せてくれ、心の壊れた主人公を熱演しています。ダニエル・デイ=ルイスが居なければ(!)今頃アカデミー賞の本命と言われていたのでは?まあ、また機会はあります。

今週末のアカデミー賞の結果や如何に?今から楽しみです。続きに予告編あり。

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2013年2月19日 (火)

「Django Unchained/ジャンゴ 繋がれざる者」

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 ご存知クエンティン・タランティーノ監督の最新作。前作の「イングロリアス・バスターズ」が戦争映画re-mixだったのと同様に西部劇、特にマカロニ・ウエスタン(アメリカではスパゲティウエスタン)のre-mix。マカロニの原型を作った名作『続・荒野の用心棒』(セルジオ・コルブッチ監督、フランク・ネロ主演、そして原題は“Django”)を下味に、その中に様々な素材をぶち込んで混ぜ合わせて(mix)タランティーノ味に仕込むその手腕は健在です。勿論最後の仕上げにはたっぷり血のソース。

 アメリカでの評価も高く、アカデミー賞作品賞にノミネート。クリスマスに同時公開された「レミゼラブル」を興行成績でも上回り、タランティーノ映画史上最もヒットした映画になりました。日本ではアカデミー賞といえば”感動の名作(=泣ける)”映画を想像しますが、“イングロリアス”同様に堂々の作品賞ノミネート。日本で“アカデミー賞ノミネート”と言う言葉に引かれて、ディカプリオ*のファンがもし見に行ったら多分悪夢にうなされるでしょう。

 では何故こんな残虐・暴言映画が高い評価を受けるのかといえば、優れた脚本、練りこまれたセリフ(ダイアローグ)、鮮やかな絵作り(構図)、そして天才的な登場人物達の造形、すなわち主役から脇役に至る個々のキャラクターが“立っている”等“映画”作りに関するその職人的な手腕が同業者から評価されているのだと思われます(アカデミー賞はハリウッドの現場人の投票で決まる)。

 ただ難点はその“美味しい”キャラを情容赦なく虐殺すること。元祖マカロニウエスタンならばpart 7くらいまでは作りそうな気もしますが、、、残念。まあそうしない所もまあ、潔しとしましょう。是非今回もタランティーノワールドをご堪能下さい。


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2013年1月14日 (月)

個人的なアカデミー賞一押し「Zero Dark Thirty/ゼロ・ダーク・サーティ」

Zero_dark_thirty_ver4 個人的には最もアカデミー賞の作品賞を取って欲しい映画。「ハートロッカー」で元夫ジェームス・キャメロンの「アバター」を打ち破り、アカデミー賞作品賞、監督賞に輝いたキャスリン・ビグロウ監督の新作「Zero Dark Thirty/ゼロ・ダーク・サーティ」は、前作が映画を見た者をイラク戦争の爆弾処理の現場へ送り込んだように、この映画ではアルカイダの首領・ウサマ・ビン・ラディン追跡の渦中へ見るものを叩き込みます。

 素晴らしいのはこの映画が単なるウサマ・ビン・ラディン殺害の内幕映画のような“題材によりかかったキワモノ”ではなく、追跡サスペンス映画としても一級品な点。「ツリー・オブ・ライフ」「ヘルプ」で昨年のアカデミー賞を騒がせたジェシカ・チャスティンが堂々の主役ぶりで執念に燃えるCIAの情報分析官を演じ、アカデミー賞主演女優賞のフロントランナーへ躍り出ています。

 元々失敗に終わったビン・ラディン逮捕作戦を描く予定で準備を進めていたら米国海軍特殊部隊が本当にビン・ラディンの殺害に成功してしまった為、内容が大幅に変更になったこの映画。余りにディープに秘密だったはずの追跡・殺害作戦の内容を詳細に描いている為、また拷問が本当にあったかどうかで政治的な議論に巻き込まれています。

 こうした議論があったせいかどうか、アカデミー賞の前哨戦では有利だったにも関わらず、作品賞にはノミネートされたものの監督賞にノミネートされず。作品としては「ハートロッカー」に劣らず、それ以上の評価を得ているこの作品でキャスリン・ビグロウ監督を落とすとは、相変わらずアカデミー協会も保守的です(まあ今年のアカデミー賞は確かに例年以上に水準が高いのも事実ですが)。日本では2月15日公開。

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2013年1月13日 (日)

アカデミー賞の本命へ「Lincoln/リンカーン」

Lincoln アメリカの大統領史上、今でも最も愛されてるのは第16代大統領・エイブラハム・リンカーン。そのリンカーン”をスピルバーグが監督するとすれば、“王道伝記映画”、もしくは「プライベイト・ライアン」のような凄絶な南北戦争映画を想像すると思いますが、この映画にそれを期待するとそれは肩透かし。ピューリツアー受賞作家Doris Kearns Goodwinの"Team of Rivals: The Political Genius of Abraham Lincoln"という小説を原作にしたこの作品は政治家としてのリンカーンがどうやって奴隷解放を実現していったかを描く政治劇です。「アメリカ合衆国憲法修正第13条」の可否をめぐっての虚虚実実の駆け引きを中心にリンカーン最後の4ヶ月間を派手な映像もアクションは抑え目にしながら、淡々と描いています。

 会話主体の映画らしく、アカデミー賞の助演賞候補に選ばれたサリー・フィールド(リンカーン夫人)、トミー・リー・ジョーンズ (法案の行方を握る有力議員サディアス・スティーヴンス)に加えてデヴィッド・ストラザーン (ウィリアム・スワード国務長官)、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、ジョン・ホークスという豪華キャストがそれぞれ実力を発揮していますが、しかし何と言ってもこの映画の最大の見せ場はダニエル・デイ・ルイス=リンカーン。ひとたび彼が言葉を発すれば大物政治家らしい説得力、自信、忍耐力、意志の強さが噴出します。映画後半になると彼がしゃべる出すのを待ち構えていた程。圧巻。今年もアカデミー賞主演男優賞の大本命です。

作品自体も余りに落ち着いていて、刺激的な「ゼロ・ダーク・サーティ」や「アルゴ」、「レ・ミゼラブル」に比べて地味な感じは否めませんが、“リンカーンがそこにいたから、(オバマ大統領が誕生する)今のアメリカが存在している”という強烈なメッセージと、大統領選挙(昨年11月)、映画の公開(11月)、そしてオバマ大統領就任式(1月20日)という現実とが絶妙なリンクしあって作品賞候補としても本命に浮上してきました。2月24日の発表が楽しみです。

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2013年1月11日 (金)

第85回アカデミー賞ノミネート全リスト(2013年)

■作品賞/Best Picture
「Amour/愛、アムール」
「Argo/アルゴ」
「Beasts of the Southern Wild/ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~」
「Django Unchained/ジャンゴ 繋がれざる者」
「Les Miserables/レ・ミゼラブル」
「Life of Pi/ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」
「Lincoln/リンカーン」
「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」
「Zero Dark Thirty/ゼロ・ダーク・サーティ」

■監督賞/Best Director
Ang Lee/アン・リー 「Life of Pi/ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」
Steven Spielberg/スティーヴン・スピルバーグ 「Lincoln/リンカーン」
David O. Russell/デヴィッド・O・ラッセル 「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」
Benh Zeitlin/ベン・ゼイトリン 「Beasts of the Southern Wild/ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~」
Michael Haneke/ミヒャエル・ハネケ 「Amour/愛、アムール」

■主演男優賞/Best Actor
Daniel Day Lewis/ダニエル・デイ=ルイス 「Lincoln/リンカーン」
Joaquin Phoenix/ホアキン・フェニックス  「The Master/ザ・マスター」
Denzel Washington/デンゼル・ワシントン  「Flight/フライト」
Bradley Cooper/ブラッドリー・クーパー 「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」
Hugh Jackman/ヒュー・ジャックマン 「Les Miserables/レ・ミゼラブル」

■主演女優賞/Best Actress
Jessica Chastain/ジェシカ・チャステイン 「Zero Dark Thirty/ゼロ・ダーク・サーティ」
Naomi Watts/ナオミ・ワッツ 「The Impossible/インポッシブル」
Jennifer Lawrence/ジェニファー・ローレンス 「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」
Emmanuelle Riva/エマニュエル・リヴァ 「Amour/愛、アムール」
Quvenzhané Wallis/クヮヴェンジャネ・ウォレス 「Beasts of the Southern Wild/ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~」

■助演男優賞/Best Supporting Actor
Alan Arkin/アラン・アーキン 「Argo/アルゴ」
Philip Seymour Hoffman/フィリップ・シーモア・ホフマン 「The Master/ザ・マスター」
Tommy Lee Jones/トミー・リー・ジョーンズ 「Lincoln/リンカーン」
Christoph Waltz/クリストフ・ヴァルツ 「Django Unchained/ジャンゴ 繋がれざる者」
Robert De Niro/ロバート・デ・ニーロ 「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」

■助演女優賞/Best Supporting Actress
Sally Field/サリー・フィールド 「Lincoln/リンカーン」
Anne Hathaway/アン・ハサウェイ 「Les Miserables/レ・ミゼラブル」
Helen Hunt/ヘレン・ハント 「The Sessions/ザ・セッションズ」
Amy Adams/エイミー・アダムス 「The Master/ザ・マスター」
Jacki Weaver/ジャッキー・ウィーヴァー 「Silver Linings Playbook/世界にひとつのプレイブック」

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2012年11月18日 (日)

【Movie/北米興行】「ブレイキング・ドーンpart2」軽々と一位!11月16-18日

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 感謝祭を控えホリデイシーズン興行まっさかりのアメリカ。やはり一位に来たのは吸血鬼ソープオペラの最終章「The Twilight Saga: Breaking Dawn Part 2/トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2」。金曜だけで$70Mを叩き出し、日曜までの3日で$135Mに達する勢い。

 先週の1位からは後退したものの、アクション映画としては堅調な2週目を迎えたのは 「Skyfall/007 スカイフォール」。先週の限定公開から公開劇場数を増やして3位に上がって来たのはスピルバーグ監督、ダニエル・デイ・ルイス主演の「Lincoln/リンカーン」。その後を共に3週目の「Wreck-It Ralph/シュガー・ラッシュ」、「Flight/フライト」が続きます。

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2012年11月12日 (月)

【Movie/北米興行】007史上新記録で「スカイフォール」発進!

Skyfall_31 「Skyfall/007 スカイフォール」  $87,800,000
2 「Wreck-It Ralph/シュガー・ラッシュ」 $33,056,000
3 「Flight/フライト」 $15,100,000
4 「ARGO/アルゴ」 $6,745,000
5 「Taken 2 96時間 リベンジ」 $4,000,000

 既に本国英国では「ハリーポッター」の記録を破るなど好発進していた「007/スカイフォール」が満を持して米国登場。メディアからも絶賛に次ぐ絶賛で007映画史上最高の出足。アメリカでも$200M(160億円)、世界では$1B(800億円)の興行成績が射程距離。日本公開は12月1日となりますが、今度の週末までには見てきます。

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2012年11月 5日 (月)

多分あなたは騙される『FLIGHT/フライト』

Flight_2 映画『フライト』、飛行機墜落アクションや原因究明サスペンスを期待すると完全にうっちゃりを食らいます。贖罪と再生のドラマ。ディンゼル・ワシントン、アカデミー賞候補。ジョン・グッドマン、『アルゴ』に続き好調。ストーンズの曲が印象的。

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2012年11月 4日 (日)

【Movie/北米興行/速報】アニメ「Wreck-It Ralph/シュガー・ラッシュ」大ヒット、「Flight/フライト」好調 / 11月2日-4日

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 今週ルーカス・スタジオの買収を発表して世界を驚かせたディズニー・スタジオの(ピクサー社以外の)アニメ作品「Wreck-It Ralph/シュガー・ラッシュ」が大ヒット発進。

 ディンゼル・ワシントンがアニメの世界から戻ってきたロバート・ゼメキス監督と組んだ新作「Flight/フライト」もまだ1900館と言う限定的な公開に関わらず$20M越えを果たすなど好調な週末です。ハリケーン・サンディの影響が週末まで出なかった?ラッパーのRZAが監督した「The Man with the Iron Fists」は地味な結果。

金曜日の結果を元にした週末順位予測:
1. 「Wreck-It Ralph/シュガー・ラッシュ」 $45-50M
2. 「Flight/フライト」 $23M
3. 「The Man with the Iron Fists」 $7.6M
4. 「ARGO/アルゴ
5. 「Taken 2 96時間 リベンジ」

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2012年10月29日 (月)

【結果・北米映画興行】「アルゴ」公開3週目でNo.1へ

Argo 非常にスローなこの時期。「アルゴ」が3週目で1位になるという結果。これは①「アルゴ」の足の長さと②他の作品の落ち込みが激しく③初公開作品がだらしなかったという要素の結果です。

1 「Argo/アルゴ」   $ 12,355,000
2 「Hotel Transylvania/ホテル・トランシルバニア」 9,500,000
3 「Cloud Atlasクラウドアトラス」 9,400,000
4 「Paranormal Activity 4パラノーマル・アクティビティ4 8,675,000
5 「Taken 2 96時間 リベンジ」 8,000,000
5 「Silent Hill: Revelation/サイレント・ヒル レヴァレーション(原題)」 8,000,000
*土曜時点の予測。4位から6位は変動の可能性大(ハリケーン・サンディの影響も?)

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