タバコ販売推進を目指すロビイスト・ニック・ナイラー(アーロン・エックハート)は、口八丁・手八丁の実力者。しかしそんな彼に立ちふさがるのは、タバコのパッケージにドクロマークを入れようとする州知事(ウィリアム・H/メイシー)、禁煙過激派、癌で死にかけたタバコの宣伝マン(サム・エリオット/マルボロマンのパロディですな)、文字通り体当たりで彼の記事を物にしようとする記者(ケイティ・ホームズ)、別れた妻、ティーンエイジャーの息子(キャメロン・ブライト)。仲間といえばMOD(マーチャント・オブ・デス=死の商人・銃、アルコール業界のロビイスト仲間)だけ。ハリウッドの大物エージェント(ロブ・ロウ)★と組んでのタバコ・イメージアップ作戦は?そして彼は息子の信頼を取り戻しつつ、ドクロマーク計画を阻止できるのか?
日本でも出版されているクリストファー・バックリー原作「ニコチン・ウォーズ(原題は映画と同じ“Thank You For Smoking”)の映画化で、インデペンデント系の小品でありながら、予想外のヒットとなったのがこの「サンキュー・スモーキング」です。
タバコ業界の内幕物といえばラッセル・クロウ&アル・パチーノが共演したマイケル・マン監督の「インサイダー」、嫌われ仲間業界を描いた作品といえば銃社会アメリカの告発物であるマイケル・ムーアの突撃ドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロンバイン」といった社会派作品を思い出しますが、この「サンキュー・スモーキング」の面白さは、社会派の衣をかぶった“ただの”コメディである点。そしてこの映画が真に笑い飛ばしているのは、タバコ、銃、アルコール=悪と決め付ける教条的・杓子定規な考え方(ポリティカリイ・コレクトネス)であり、自己の善悪の二元論でしか判断できないようになっているアメリカの風潮(我々の側につかないものは敵である・・・)であり、この映画を表層的な部分(タバコ業界擁護・批判)でしか理解しようとしない観客であったりします。
また本来ならばラストで射殺されてもおかしくない主人公・アーロン・エックハート★★のさわやか描写、良い子役が普通のケイティ・ホームズ★★★への悪意溢れる描写(オチがおかしい)、”悪の権化”であるロバート・デュバルへの敬意といい、この映画は小粒ながら多方向への刃を含んだ、重層的で知的、そして何より笑えるコメディ。新進気鋭の監督ジェイソン・ライトマン★★★★、今後が楽しみです。
過去記事:「サンキュー・フォー・スモーキング」Thank You For Smoking プレビュー(別ポスターあり)
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★彼の映画中のエージェント名がEntertainment Global Organization、略して“EGO(エゴ・笑)”珍妙な日本趣味のモデルは多分マイケル・オービッツ(最大手エージェントCAAの創設者、その後ディズニーに迎えられるが失墜)。日本趣味だったかどうかは知りませんが“孫子の兵法”の信奉者として有名。
★★「エリンブロコビッチ」の髭面ボーイフレンド、「ペイチェック」の悪役、「コア」の主人公、「ブラック・ダリア」の相棒。現在急上昇中。
★★★最近だと「バットマン・ビギンズ」のヒロイン。でもやはりトム・クルーズの子供を産んだ婚約者として有名になっちゃいました。この役、今までの役柄から脱出できる美味しい役柄で、本人熱望したとのこと。ベットシーンはもっと過激なものがあったらしいのですが、トム・クルーズから横槍が入ってカットされたそうな(真相は不明。監督は「技術的な原因。ケイティの裸が観たければ“ギフト”を見れば」と言ったとか)。
★★★★親父アルバン・ライトマンの新作「マイ・スーパー EXガールフレンド」に興行面でも、評価面でも圧勝。世代交代ということでしょうか。
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