2009年3月16日 (月)

デップ!ベール!&マン!「パブリック・エネミー」

Public_enemies480 大恐慌期のアメリカで銀行を次から次へと襲いその名をはせた実在のアウトロー・ジョン・デリンジャーをジョニー・デップが、そしてそれを執拗に追うFBI捜査官パービスをクリスチャン・ベールが演じるという今が旬な役者が演じ、それを「インサイダー」「ヒート」「マイアミバイス」のマイケル・マンが監督するという“夢の顔合わせ”映画がこの「パブリック・エネミー(民衆の敵達=デリンジャー達の仇名)」。

 昔、昔、このデリンジャーとパービスをウォーレン・オーツとベン・ジョンソン(共に「ワイルドバンチ」のメンバー)が演じ、ジョン・ミリアスが監督するという“男臭い”映画がありましたが(B級だけどぴりりとした逸品)*、あの作品を越えることが出来るでしょうか。デップは「(海賊に続いて)この時代のギャングも一種のロックスターみたいなもの」と発言しているようですが。

 アメリカ公開は7月1日ですが日本公開は年末とか・・・(ブルーレイがでちゃうよ)。

*脇役で「ジョーズ」以前、「アメリカングラフィティ」と同じ頃のリチャード・ドレイファスが出てました。

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2009年3月 8日 (日)

デビット・フィンチャーの新領域「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」

Curious_case_of_benjamin_button480 デビット・フィンチャー監督による静謐な人生ドラマ。80歳の赤ん坊として生まれ若返って行く男(ベンジャミン・バトン=ブラット・ピット)と幼馴染(デイジー=ケイト・ブランシェット)*の70年に渡るロマンスを縦軸に、そこに関る人々の人生が様々な形で交錯します。「世にも不思議な物語」の体裁をとりながらどんな人生にも出会い、別れ、四季があり、折り重なり合って交錯し、そしてはかなく消え去って往く様を淡々と描きます。

 監督のデビット・フィンチャーは、「エイリアン3」で長編デビュー後、ブラピと組んだ「セブン」「ファイトクラブ」で刺激の強い“映像技巧派の若きエース”ポジションを確立した人ですが、個人的にはどうも馴染めずにいました(「ゲーム」「パニック・ルーム」は悪いほうに“技巧”がこけた作品かと思っています)。

 しかし前作「ゾディアック」あたりからその映像技巧を一歩引かせて、“物語”を紡ぐ事に全力を注いでいるように進化し、今回はかつての”技巧的映像サスペンス職人”から“映画作家”としての成長と円熟が感じ取れる新領域に突入しています。勿論しわくちゃの老人が若返るゴシックホラー的な味付け**は彼ならではのテイスト。また全編を通じての光と影の使い方の巧みさは改めてこの作家の実力を知らしめてくれます。

 今年のアカデミー賞で13部門にノミネートされながら「スラムドック$ミリオネア」に主要部門で破れ美術、メーキャップ、視覚の3技術部門受賞に留まりましたが、作品自体の持つ“静かなパワー”が強い印象を鑑賞後の心に残す作品です。

*これが3度目と成るフィンチャー&ブラット・ピットの顔合わせ。「バベル」で倦怠期の夫婦を演じていたブラピ&ブランシェットの本格的な組み合わせ、その「バベル」夫婦の娘を演じていたエル・ファニングがブランシェットの子供時代を演じ、またかつて「レジェンド・オブ・フォール」でブラピの相手を務めたジュリア・オーモンドがブラピ&ブランシェットの○○○を演じる妙。“ガラドリエル”ブランシェットと“白の女王”ティルダ・スウィントン(ブラピとは「バーン・アフター・リーディングでも競演」)という印象の似た二人の女性を主人公の人生の重要な恋愛相手に起用する等、ハリウッドワールドもまた“出会いと別れ”、そして輪廻転生の世界?

**フィッツジェラルドの原作の舞台はボルティモアですが、映画はニューオリンズ。ブラピも出ている「インタビュー・ウィズ・バンパイア」や、「スケルトン・キー」等の南部ゴシック譚の色が強く出ておどろおどろしい印象を生み出しています。

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2008年12月 2日 (火)

ケイト・ウィンスレット新作「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」&「愛をよむひと(The Reader)」

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 メリル・ストリープが現役の演技派の女王(アカデミー賞ノミネート14回、受賞2回)だとすると、31歳にして既に5回のノミネートを誇るケイト・ウィンスレット(ウィンズレットが正しいと思うのですが)はプリンセス(?)。その彼女の12月米国公開の新作で既にダブルノミネートの可能性がささやかれているのが、実生活の旦那サム・メンデス監督、「タイタニック」の運命の人レオナルド・ディカプリオを共演に迎えての「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」とベルンハルト・シュリンクのベストセラー「朗読者」を、「めぐりあう時間たち」のスティーブン・ダルドリー監督が映画化、レイフ・ファインズが共演する「愛をよむひと(The Reader)」の二本です。作品情報&予告編続きにあります。

 「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」はディカプリオ・ウィンスレットの共演でまるで「タイタニック」の続編ノリですが、予告編を見ると「アメリカン・ビューティー(サム・メンデス監督のデビュー作)や「リトル・チルドレン」を思わせるヘビィな家族ドラマの模様。「愛をよむひと(The Reader)」ははやりの(?「ワルキューレ」等この冬、映画館にはナチスが一杯)第二次大戦下の欧州でのこちらもヘビィなドラマ。尚2008年3月に他界したアンソニーミンゲラの最後に関与した(製作)作品です。

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2007年11月24日 (土)

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」Sweeney Todd

Sweeney_todd480予告編は続きにあり。

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2007年11月23日 (金)

「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」Charlie Wilson's War

Charlie_wilsons_war480予告編は続きにあり。

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2007年11月22日 (木)

「つぐない」Atonement

Atonement480予告編は続きにあり。

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2007年11月21日 (水)

「アメリカン・ギャングスター」American Gangster

American_gangster480予告編は続きにあり。

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2007年11月20日 (火)

「ノーカントリー」No Country for Old Men

No_country_for_old_men480 麻薬取引の現場。全滅したと思われるギャングと見られる死体。現場に残された大金。そのヤバイ金を偶然見つけ持ち逃げする男ジョシュ・ブローリン。彼を追う不気味な殺し屋ハヴィエル・バルデム。事件に絡むシェリフにトミー・リー・ジョーンズ。ジョエル&イーサンのコーエン兄弟が「ファーゴ」の白銀の世界をメキシコ国境線の荒涼とした世界に変えて構築したモダン・ウエスタンの秀作。

 主演の3人の個性が絡み合ってコーエン兄弟独特の世界を構築しており、2008年のアカデミー賞を騒がせそうな作品。特に怪物殺し屋を演じるハヴィエル・バルデム(ポスターだとまるでホラー映画の雰囲気をかもし出しています)が話題ですが、彼に喰われることなく個性を発揮するトミー・リー・ジョーンズ(他に「エラの谷」もあり)とジョシュ・ブローリン(他に「アメリカン・ギャングスター」もあり)もさすが。

 ウォルター・マッソー主演、ドン・シーゲルが監督した「突破口」という同じような設定の映画がありましたが、こちら「ノーカントリー」はもっと暗めでとってもコーエン兄弟。ドン・シーゲルも現代劇設定のウエスタン(ダーティーハリーとか)を得意とした人でしたね。

予告編は続きにあり(YouTube)

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2007年10月 1日 (月)

只今撮影中。「セックス・アンド・ザ・シティー」Sex and the City

12/07/2007
いよいよ予告編登場。キャリーのその姿は・・・・ひょっとして年貢の・・・・

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 主演4人のギャラのアンバランスから実現しないのではと言われていた人気TV番組「セックス・アンド・ザ・シティー」の映画版がついに実現し、9月現在、もう一つの主人公である“マンハッタン”内で撮影中(今ニューヨークに行くとロケにぶつかるかも)。Mr. Bigのクリストファー・ノースも出演しているところを見るとキャリーと彼の微妙な関係が映画の一つの軸になるのかも知れません。

「セックス・アンド・ザ・シティー」Sex and the City
分野: コメディ、ドラマ
米国公開日: 2008年5月30日
米国配給会社: New Line Cinema
製作:Sarah Jessica Parker, Michael Patrick King, John Melfi
監督:マイケル・パトリック・キング
主演:サラ・ジェシカ・パーカー、キム・キャトラル、シンシア・ニクソン、クリスティン・デイビス、クリストファー・ノース

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2007年9月23日 (日)

「マイティ・ハート/愛と絆」 Mighty Heart

Mighty_heart480_edited2 昨年のエルトン・ジョンのコンサートで彼は名曲「ダニエル」をこの2002年にパキスタンで取材中にテロリストに誘拐、殺害された実在のジャーナリスト、ダニエル・パールに捧げていました。そのダニエルの妻が著した手記を映画化した社会派ドラマ。作品のレベルは?も、主演アンジェリーナ・ジョリーにはアカデミー賞主演女優賞の声も。

続きに予告編

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「ヘアスプレー」Hairspray

Hairspray_270秋の一押し作品。ジョン・ウォーターズの同名カルトムービーー>ブロードウェイミュージカルとなって大ヒットー>ミュージカル映画化という「プロデューサーズ」パターンですが、「プロデューサーズ」より良く出来てます。元の作品の監督ジョン・ウォータースがイメージそのままの役柄でちょい役をしているのでお楽しみに。

 お久しぶりのミシェル・ファイファーはこの作品と「スターダスト」で続けざまに悪役。でもこちらの方で歌って踊ってアカデミー賞の助演女優賞候補の声も。元作品でディバインが演じた主人公の母親役を特殊メークでしているのがジョン・トラボルタでこちらにも助演女優賞候補の声(!?)。考えて見ればトラボルタは「グリース」の主演でファイファーは「グリース2」がデビュー作、またファイファーとクリストファー・ウォーケンは「バットマン・リターンズ」で殺しあっていた仲。

●より詳しい作品に関しての考察近日。続きに作品情報

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2007年2月 2日 (金)

「硫黄島からの手紙」in USA

Iwojima360 やっと見てきましてこの作品、やはり噂にたがわぬ素晴らしい作品でした。と同時にこうした“骨太”な映画を監督する事が出来る監督が日本にいなかった(探したが結局イーストウッドが撮ることになった)事が惜しまれます。黒澤明監督は無理でもせめて岡本喜八監督がご健在ならばなあというのは個人的な願望。このあたりをネタに色々書こうと思ったのですが、日本ではとっくに公開済みですので、ここではアメリカでの状況につきましてレポート致します。久々の長文ですので、途中からは続きに。

アカデミー賞の作品賞にノミネートされた事を受け「硫黄島からの手紙」がアメリカで拡大公開されつつあります。元々2月9日公開予定だったものを、2006年度アカデミー賞の候補対象とするため、12月20日からNY,LA,SFの5館で先行公開し、大絶賛を持って迎え入れられました。日本とは違って、未だイラクで、アフガニスタンで“戦闘行為”を行っているこの国で、“敵”にも顔があり、自分たちと同じように“人生”があるユニークは視点がこの映画に対する高い評価を支えています。

関連記事:
「硫黄島からの手紙」公開繰上げ 日本アメリカ予告編比較あり
本日アメリカ公開「硫黄島からの手紙」キャラクターポスターあり

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2007年1月21日 (日)

ゴッド・セイブ・ザ・「クイーン」

Queen_220 今年のアカデミー賞の有力候補と言われる作品群の中で、いまいち日本にはその凄さが伝わりにくいのがこの「クイーン」。タイトル通り“ザ・クイーン”エリザベス二世を演じるヘレン・ミレンが、アカデミー賞の前哨戦というべき賞のほとんどをかっさらっている事で注目されていますが、どうしてどうして作品そのものが、素晴らしい出来栄えです。

 丁度10年前の1997年5月のトニー・ブレア・イギリス首相就任。そして同年8月末のダイアナ元皇太子妃の事故死。既に離婚により皇籍を離脱して民間人になっていたダイアナの死にまつわる狂騒から距離を置き別荘で時間を過ごす女王一家。しかし死して悲劇のヒロインとなったダイアナ元皇太子妃の人気は怒涛の如く、悲しみはやがて姿を現さない王室、そして女王に対しての怒りに転じていきます。バッキンガム宮殿すら飲み込もうとしていた危機の中で、ブレア首相は、チャールズ皇太子は、そして“ザ・クイーン”は如何に対処したのか。

 日本でも「明治天皇と日露大戦争」の昔から「ラスト・サムライ」に至るまで明治天皇を描く作品は存在しており、ソクーロフの「太陽」が公開されて昭和天皇を描く作品も登場しましたが、この映画はなんと言っても現役のエリザベス女王とその家族、現役首相ブレアの内面のドラマを、ドキュメンタリーの手法(当時のニュース映像が、効果的に挟み込まれる)と“創作”を交差させて描くという大胆極まりない作品。

 一歩間違えると“キワモノ”になってしまうこの作品を一級品のドラマにしているのは、やはり監督スティーブン・フリアーズの手腕と主演ヘレン・ミレンの力。歴史の重みと感じさせるバッキンガム宮殿内や別荘での王室内部家庭内ドラマ描写とブレア首相とメディアの喧騒に代表される外部世界描写の対比の鮮やかな演出。そして無力なチャールズ皇太子、怒りっぽく保守的な夫フィリップ・エジンバラ公、更に保守的な自分の母・エリザベス皇太后、軽さは否めないも流れを見る目に聡いブレア首相(マイケル・シーン好演)、そして王室から追放され過去の存在となったはずが、死して大きく立ちはだかるダイアナ元皇太子妃(本人の映像が繰り返し登場)といった全ての登場人物の中心であるクイーン・エリザベス=ヘレン・ミレンの演技。この演出と演技の組み合わせが、この作品を単に王室内幕物ドラマに留めず、時代の流れとそれに対処する人々の喜悲劇として一級の娯楽作品としています。

 昨年はフィリップ・シーモア・ホフマンの「カポーティ」での演技を、“神領域”と書きましたが、今年の“神”はこのヘレン・ミレン。普段はただの神経質そうなおばあちゃんでしかない彼女が、ひとたび決意を固めると共に、威厳と慈愛に満ちた“女王様”として降臨する様は圧巻。これはドラマで本当の女王陛下ではないと分っていても思わず敬意を表したくなるそのオーラ。ゴッド・セイブ・ザ・クイーン。

 さてアカデミー賞ではどうなりますでしょうか。ノミネートの発表は1月23日。

★賞レースの最新の結果はこちら:アカデミー賞総合案内ページ

日本公開2007年4月・日本公式サイト:http://queen-movie.jp/
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2007年1月20日 (土)

「硫黄島」を食うか?「リトル・ミス・サンシャイン」/作品賞予測

Lms220 既に日本公開されており、「ラムの大通り」えいさんの2006年ベストワンの栄冠にも輝いた「リトル・ミス・サンシャイン」。愛すべき小品ではありますが、実はアカデミー賞戦線においては日本期待の「硫黄島からの手紙」をノミネートから蹴落とす作品になるかも知れません。

 可愛らしいタイトルとは裏腹に、全員どこか壊れ&「Loser(負け犬)」家庭のアルバカーキからロスアンゼルスまでの珍道中★の中で、世の中勝ち負けではないこと(トライするものこそが勝者)を教えてくれ、そしてひょっとして壊れているのは周りの方(観ている側の我々も含めて)かもしれないと思わせる“毒”を含んだ、しみじみとした良い映画。アメリカでは夏に公開されて息の長いヒットとなり、年末からはアカデミー賞作品賞戦線にも顔を出し始めました。

 通常アカデミー賞候補とは秋以降、特に年末に公開されるのですが、この作品の場合、夏に公開されて観客の支援を受けてじわじわと生き残るというパターンは昨年の「クラッシュ」そっくり。昨年はその「クラッシュ」が、この時点まで無敵だった「ブロークバック・マウンテン」をまさままさかの大逆転で作品賞を得た訳ですが、今年の「クラッシュ」的存在がこの「リトル・ミス・サンシャイン」です。

 現時点でノミネートが確実そうなのは「ディパーテッド」と「ドリーム・ガールズ」。それに続くのが「バベル」&「クイーン」。そうすると残り1席を「硫黄島からの手紙」「ユナイテッド93」、そしてこの「リトル・ミス・サンシャイン」の3本で争う訳ですが、作品としては優れていても、一部には強烈な拒否反応を起こした「ユナイテッド93」がやや不利。日本では「硫黄島」が、“確実”、“本命”等と書いていますが、アカデミー賞に対して直結度の高い、製作者組合賞、ブロードキャスト批評家賞、ゴールデン・グローブ賞の結果を見ると、これは圧倒的に「リトル・ミス・サンシャイン」有利。「硫黄島」はかろうじてゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞で首の皮一枚つながったという所でしょう。★★

 可愛い顔をして「硫黄島」を喰うか?「リトル・ミス・サンシャイン」。ノミネートの発表は1月23日(火曜日)、アメリカの早朝&日本の晩です。

★賞レースの最新の結果はこちら:アカデミー賞総合案内ページ

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続きに★の解説&「LMS」関連の楽しいビデオあり(ネタばれ注意。

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2007年1月 3日 (水)

音楽好きには絶対のお勧め・「ドリームガールス」

Dreamgirls220_1 まだ誰も完成品を見ていないうちからアカデミー賞の有力候補とされていたのがこの「ドリームガールス」。元々良く知られたブロードウェイ・ミュージカル★の映画化であり、その映像の圧倒的な美しさ、そして歌のシーンの迫力、そして噂に聞く主演者達の熱演振り。しかしそれだけだと昨年の「SAYURI」と同じで、技術・美術部門だけの評価で終わりかねないとも心配していましたが、実際に見てみればヘヴィな前述の作品賞候補群をひっくり返すだけのハリウッド映画らしい“輝き”を持つ作品でした。監督は「シカゴ(作品賞)」の脚本を担当したビル・コンドン。音楽の素晴らしさは圧倒的で映画館帰りに即サントラCDを買いました(笑)。音楽好き、特にモータウン・サウンドに代表されるブラック・ミュージック好きには絶対のお勧め。

 60年代のデトロイトのアマチュア・ナイトで曲者マネージャー・カーティス・テイラー・Jr.(ジェイミー・フォックス)の目にとまった、三人組女性ヴォーカル・グループ・ドリームメッツ(ビヨンセ・ノウルズ☆、ジェニファー・ハドソン☆、アニカ・ノニ・ローズ)。人気スター・ジャームス・“サンダー”・アリー(エディ・マーフィ☆)のバック・コーラスに選ばれた事をきっかけに時代を代表するスーパースターとなる三人と自分自身の“音楽帝国”を築き上げるカーティス。しかし頂点で訪れるグループ内の亀裂。“主人公”ディーナ・ジョーンズ(ビヨンセ)の内部に芽生えるアーティストとして、そして一人の人間としての自我の目覚め、そして袂を別ったエフィ(ジェニファー・ハドソン)運命は。果たして“夢”の再び交わる日は来るのか?
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 明らかにシュープリームス(元々のグループ名は“ブライメッツ”)とダイアナ・ロスがモデルのドリームメッツ、クリスマスに遠く旅立った(未だ信じられずですが)、ジェームス・ブラウンにマービン・ゲイを掛け合わせた様なジャームス・“サンダー”・アリー、60年代に110曲のTop10ヒットを生み出したモータウン帝国を築きあげたペリー・ゴーディを思い起こさせるカーティス、そしてジャクソン5等のモータウンの人気者達を思い起こさせる登場人物たち。そして自分自身が3人組ディスティニーズ・チャイルドのリードから、ソロアーティストとして飛躍中のビヨンセと音楽ファンなら思わずにやりとするキャスト。そしてそれをただの物まねにしないモータウン・サウンドのエッセンスを受け継ぎつつ、現代のHip-Popのフレーバーを掛け合わせた楽曲とそれぞれのパフォーマンスの素晴らしさ。特にこれがデビュー作になるアメリカン・アイドル出身★★のジェニファー・ハドソンの歌は圧倒的で“And I’m Telling You I’m Not Going”を歌うシーンは久々の鳥肌もので、アカデミー助演女優賞の大本命(菊地凛子に立ちふさがる“壁”)。これを共にミュージシャン・コメディアンでもあるエディ・マーフィとジェイミー・フォックスの二人が絡み、脇で渋くダニー・グローバーが支えるというアフリカン・アメリカン・オールスターキャスト。

 「バベル」「デパーテッド」「硫黄島からの手紙」等重量級かつ人の気持ちをヘヴィにしてくれる候補者がひしめくアカデミー賞レースの最終コーナーで飛び出した異色の大穴。さてアカデミー賞の評価は如何に(候補者発表は1月23日)?
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★オリジナルの振付・演出はマイケル・ベネット。先日再見した「コーラスライン」の原案・振付・演出も手がけた天才。1987年にエイズの為、44歳で死去。この映画は彼に捧げられている。
☆ゴールデングローブ賞ノミネート(主演女優、助演女優、助演男優)。他に作品賞、主題歌の5部門でノミネートされており、技術・美術部門等が多いアカデミー賞では更に多くのノミネートが予測されている。
★★2004年のアメリカン・アイドルのサード・シーズンに最後の8人まで残る(彼女の落選についてエルトン・ジョンが審査員を非難した事で知られる)。

過去記事:「ドリームガールズ」Dreamgirls (予告) 2005.12.13

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2006年12月21日 (木)

本日アメリカ公開「硫黄島からの手紙」

Iwojima360 アメリカでは本日12月20日からNY,LA,SF三都市で先行公開(1月に拡大公開・正しきアカデミー賞狙いの公開方法)の「硫黄島からの手紙」が素晴らしい高評価。USA Today紙、Rolling Stone誌は共に4段階評価で★4つの満点。Entertainment Weekly誌、Hollywood Reporter誌、New York Times紙で最高評価Aという絶賛記事が並んでいます(12.21日 続きに各誌・紙へのリンク/日米の予告編を追加しました・ご参考まで)。

 これはそれなりの評価ではあったものの最近のイーストウッド作品としては平均点以下とされた「父親たちの星条旗」に比べても手放しの絶賛であり、アカデミー賞レースに関しては「星条旗」を抜きさり、更に2年前のクリスマスに公開されて、その時点で本命とされたスコセッシ・ディカプリオの「アビエイター」をひっくり返した「ミリオンダラー・ベイビー」の再現すらありうるとの見方が出てきました。

 評価を読むとやはりイーストウッド作品らしくその自然な演技、戦場のパワフルな描写、「星条旗」に比べてシンプルな脚本構成などが褒められていますが、やはり最もユニークで、アメリカ人にインパクトを与えている点は、アメリカの“敵”からの視点から戦争をきちんと描いた点であり、当たり前の話ですが“敵”もまた人間であるという事実を突きつけているという事にあるかと思われます。

確かに過去にこのような視点で描かれた“アメリカ映画”は例がなく、現在もアフガニスタン、イラク等で実質戦争を行っているこの国に対して深く重いものを突きつけたこの映画。一般公開でどのように受けいれられていくかが楽しみです。

関連記事:「硫黄島からの手紙」公開繰上げ (日本版ポスター多数あり)

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2006年11月28日 (火)

「硫黄島からの手紙」公開繰上げ

Iwojima1 元々「父親たちの星条旗」のアカデミー・ノミネートを計算に入れて、2007年2月公開を予定していたクリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」ですが、アメリカでも12月20日からの公開が決定(NY, LA, SFでの限定公開ののち、新年に入って拡大)予定。先に公開になる(12月9日)日本にほんとに見に行こうかと思っていた私には朗報です。

 この繰上げの意味するところは
1)予想以上に「父親たちの星条旗」がアカデミー賞レースで苦戦しているので★、評判の良いこの作品を繰り上げ公開する事で、支援効果を狙った。
2)この作品自体も評価が高く、外国語映画のハンデがあり作品賞は苦しいものの、部門賞への参画を狙った(特に渡辺謙を主演男優賞に押すのでは?との話)。
と、言われております(Entertainment Weeklyの記事など)

 こしこれが、日本人の監督であれば、外国語映画で殆ど注目されずに終わってしまっていたはずのこの作品が、こうしてアメリカで話題に上ること自体が、やはりイーストウッド監督の価値。今から公開が待たれます。

しかしアメリカ生活が長くて、渡辺謙以外、誰が誰だかわからない・・・・(涙)

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★「父親たちの星条旗」は、評価は高いものの同じイーストウッド監督作としては「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」の水準には行っていないという評判&過去に2度作品賞+監督賞受賞歴がある(「アンフォーギブン」+「ミリオンダラー」)のが、ハンデと言われています。興行的な失敗もマイナス。まあ、ノミネートされてからが本番と考えているかもしれませんが。

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2006年11月24日 (金)

アカデミー賞のダークホース「バベル」

Babel220 “バベルの塔”とは旧約聖書の『創世記』に出てくる伝説上の巨大な塔。実現不可能な天に届く塔を建設しようとして神の怒りに触れ、崩れてしまったといわれています。マンガ版の「バビル2世」を読んでいた我々の世代にはおなじみですが、Wikipediaによれば“すなわち、もともと人々は同じ1つの言葉を話していた。シンアルの野に集まった人々は、れんがとアスファルトを用いて天まで届く塔をつくってシェム(ヘブライ語、慣習で名と訳されている)を高くあげ、全地のおもてに散るのを免れようと考えた。神はこの塔を見て、言葉が同じことが原因であると考え、人々に違う言葉を話させるようにした。このため、彼らは混乱し、世界各地へ散っていった”との事で、“コミュニケーションの断絶”を描くこの映画にはこちらの方が良く似合います。

 「アモーレス・ぺロス」「21グラム」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の新作は、コミュニケーションと交通の発達によって世界はこんなにも繋がったのに、結局人は繋がっていないというヘヴィな、かつ見ごたえのある映画。今年のアカデミー賞を受賞した「クラッシュ」と同じようなテーマを扱い、同じ群像劇★のスタイルを取っている点等、いくつかの共通点を持っていますが、LA限定だった「クラッシュ」に比べ、世界の3大陸をまたぐスケールの大きさにより、より深く残酷な“壁”を見せつけられる事となります。今年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞し、来年のアカデミー賞の穴馬(ダークホース)とも目される映画です。

ストーリーは基本的に下記の3つの場所で起きる出来事が交錯していきます。

モロッコ:
Babel4 夫婦の亀裂を埋めようと、子供を家政婦に預けモロッコを旅するアメリカ人夫婦(英語・ブラッド・ピット&ケイト・ブランシェット★★)。そのモロッコで羊を追う10代の兄弟(多分ベルベル語・地元の演技経験のない子供とか)は、羊を狙うジャッカル対策に父親から猟銃をもらって興奮している。
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アメリカ・サンディエゴ/メキシコ・ティファナ国境:
Babel5 アメリカで二人の子供(女の子はダコタ・ファニングの妹・エル・ファニング)を預かるメキシコ人家政婦(アドリアーナ・バラーザ)。メキシコで行われる自分の息子の結婚式に参加する事を決意するが、子供を預かってくれる人がおらず、仕方なしに(アメリカでは子供だけを家に残して外出する事は違法)、子供たちも結婚式に同行させる。楽しい時間を過ごした後に、甥(注目株ガエル・ガルシア・ベルナル)の運転する車で国境に向かうが・・・(アメリカでは英語、メキシコではスペイン語)。
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日本(赤坂?):
Babel3 モロッコに比べれば、殆ど未来世界の東京。最近母親を亡くした聾唖者の女子高校生(菊地凛子)。自分を特殊扱いする廻りの世界に対して反抗的な彼女の性的な覚醒が、仕事中心の父親(役所広司)の目の届かぬ世界で暴走する(100%日本語)。
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 9月初めにお伝えした通り、言葉ではなく目の力と、文字通りカラダを張った見事な演技を披露した菊地凛子の演技が絶賛されており、アカデミー賞・助演女優賞へのノミネートが有力視されています。日本人の目から見るとどうしても、実年齢(25歳)での女子高生役に無理を感じてしまうのですが、欧米の目から見れば十分に高校生に見えるはずで(こちらではよく日本人奥さんたちが子供に見られ、お酒を買えない)、ひょっとすればひょっとするかも。また役所広司も出番は少ないながら好演しています。
○2006.12.11追記:アカデミー賞に関しての状況はこちら:2007アカデミー賞を探る:助演女優賞

 アドリアーナ・バラーザの家政婦役、モロッコの少年達等も素晴らしい中で、注目はブラット・ピット。「Mr. & Mrs. スミス」から一転、年齢相応のくたびれた白人中年役を様々な表情で好演しており(「12モンキース」を見れば判りますが、この人は元々結構うまい)、実力を再評価されており、アカデミー賞へのノミネートが噂されています(主演or助演の問題はありますが)。相対するケイト・ブランシェットは相変わらずうまいのですが、今回は殆ど寝ている(?)ので賞レースへの参加はお休み。注目株ガエル・ガルシア・ベルナルはあまり目だっていません。

 夫婦、父息子、兄弟、モロッコ、サンディエゴ(アメリカ)、ティファナ(メキシコ)、国境、父娘、娘母、友人、東京、貧富、文化、母息子、甥、姉弟、元夫婦。暴力と犠牲。献身とエゴ。全てを隔てる壁、そして繋ごうとする絆、希望と絶望。「クラッシュ」が温室の中の出来事に思えるような優れた作品ですが、自分が弱っているときにはかなり心と体に圧し掛かってくるヘヴィな映画でもあるので、体調にお気をつけてご覧下さい。

★ここにも、今月20日に亡くなったロバート・アルトマンの影響が・・・
★★とっても「シェルタリング・スカイ」。あの絶望的な青い空がここでも引き立っています。

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2006年11月23日 (木)

追悼・ロバート・アルトマン「今宵、フィッツジェラルド劇場で」ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン

Altman220 カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭で最高賞を受賞しながら、母国アメリカのアカデミー賞には縁がなかった(5回ノミネートされ無冠に終り、今年3月にやっと功労賞を受賞)巨匠ロバート・アルトマン監督が20日、がんによる合併症のためロサンゼルスの病院で死去しました。享年81歳。

 最近の映画ファンには馴染みはあまりないかも知れませんが、「マグノリア」「ラブ・アクチュアリー」や今年のアカデミー賞の作品賞に輝いた「クラッシュ」、そして現在公開中の「バベル」のような、複数のストーリーラインと登場人物が絡み合いながら一つの映画を構成する群像劇の映像文法(アルトマン・スタイル)を生み出した人。いわゆる“ハリウッド映画”とは、一線を画した独立系の監督の代表的な存在であり、知的でシニカルな笑いを盛り込んだ作品群(代表作は続きに)で知られていていましたが、俳優たちからの尊敬は厚くギャラを削っても有名スターが結集する事でも知られていました。80年代には「ポパイ」等の失敗で地味にしていましたが、ハリウッド嫌いがハリウッドに対して放った毒矢とも言うべき「ザ・プレイヤーズ(1992年)」で再認識されたのは大いなる皮肉(それも、ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィリスというような“ハリウッド・スター”をちりばめて)。

prairie_home_companion1 今年5月に公開され、遺作となってしまった“ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン(「今宵、フィッツジェラルド劇場で」のタイトルで2007年春公開)”も、彼らしい群像劇で、カントリー系ラジオの人気公開番組「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」★の最終回を舞台に司会者(ギャリソン・キーラー=実際にこの番組の創始者・司会者・構成作家、そしてこの映画の原作・脚本)、ガードマン(ケビン・クライン)、出演者達・ジョンソン・シスターズ(メリル・ストリープ&リリー・トムリン・コンビ★★+リンジー・ローハン)、漫才シンガース・ラスティ&ダスティ(ジョン・C・ライリー&ウィディ・ハレルソン)、劇場オーナー(トミー・リー・ジョーンズ)、そして謎の女(ヴァージニア・マドセン)が絡むという豪華版。それぞれの役者の味を引き出しながら(リンジー・ローハンがはじめて可愛く思えました・笑)相変わらずの達者な語り口で綴られる楽しい劇場奇譚。

 カントリー・ミュージックが主で舞台を描くというと、どうしても「ナッシュビル」を思い浮かべてしまうと思いますが、こちらはギャリソン・キーラーという実在の人間国宝的芸達者(劇中で展開される“生CM”は名人芸)のドキュメンタリー的側面も持っていて、“ギャリソン・キーラー作品”の印象が強く、アルトマン的な毒味は薄く、さらりとした印象。物足りないと思う方も多いかとは思いますが、肩の力を抜いてもこれくらいは楽々出来ると、今更ながらこの”映画作家“の実力を示した作品でした。

 来年早々には次回作の撮影に入る準備をしていたとの事ですが、もう次回作が見れないかと思うと、寂しさがこみ上げてきます。合掌。

過去記事:ロバート・アルトマンの新作「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」人気blogランキング参加中。 banner_02

★実際には常設の劇場では終了しましたが、現在でも“ツアー”の形で、番組は継続中。
★★今年のアカデミー賞でこの二人がコンビでアルトマン監督を紹介していましたね。それぞれが勝手に喋っていながら最後はストンと話を落とす絶妙の語り口がアルトマン流。

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2006年11月14日 (火)

「イカとクジラ」 レビュー

Squid_and_the_whale220 地味ながらきらりと光る小品。監督・脚本のノア・ボーンバッハ自身の経験に基づいた物語をシリアス、ユーモラスを混ぜ合わせた語り口で描いたこの映画は多くの雑誌・新聞で2005年のTop10に選出され、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされました。ちなみに御大スティーブン・キングの2005年のベスト1作品。ご存知作家同士夫婦で、売れない頃には高校教師をしながら家族を養っていた彼には「とても他人事とは思えなかった」そうです(笑)。

 1986年のブルックリン・パークスローブあたりの住宅街に住む家族。かつてはちょっと脚光を浴びたけれど今は“作家の壁(ライターズ・ブロック)”にぶつかっちゃった小説家/大学講師の父(ジェフ・ダニエルズ)と最近脚光を浴びつつある同じく作家の母(ローラ・リニー)。この二人が突然離婚を宣言した事で戸惑う10代の兄弟・ウォルトとフランク。双方の親の家を交代で往復する日々の中で、壊れていく家族の絆が、性的に目覚めつつある兄弟に微妙な影を落としていきます。

 このパークスローブというのは、マンハッタンから地下鉄に乗ってほんの30分程度でたどり着ける場所。マンハッタンの土地の高さを嫌ってこのあたりに居を構える知的層も多く(元ヒッピー等もこのあたりを好んだ)、アートな雰囲気を漂わせた街。映画を見て思うのは余りに今と風景が変わっていないこと(昨年撮ったのですからあたりまえですが)。この落ち着いた住宅街を背景に物語りは展開していきます。ちなみに「イカとクジラ」という風変わりなタイトルもあるニューヨークの名所にちなんでいます(私も最初にこの「イカとクジラ」を見たときはびっくりしました)。

 おかしいのはジェフ・ダニエルズの演じるだめ親父ぶり。作家としてのプライドばかり高いのに、若い女の子(アナ・パキン★)にふらふらしてみたり(この二人、「グース(Fly Away Home)」で父娘だったんじゃ・・・)。「スピード」のキアヌ・リーブスの相棒、「ジム・キャリーはMr.ダマー」の相棒(本当は主役なのに・・・)、昨年の「グッドナイト&グッドラック」と器用さが買われて地味な脇役をしていますが、舞台で鍛えた実力派。いい味、出してます。ローラ・リニーはいつもこれくらいなのは当たり前なので、まあ平均点(ごめんなさい。結構ファンです)。

 ネタばれになってしまうので書きませんが、作品中重要な役割を果たすのが、某英国プログレ重鎮バンドの超ベストセラーのアルバムからの一曲。このアルバム全体が“孤独感”、他者との“違和感”、“断絶“、”焦燥”そしてそれを象徴する“壁”についての作品である事を考えると鮮やかな選曲です。

 ドラマチックな事が起きて家族の絆を再発見し「泣けました!」「感動しますた!」というタイプの映画ではありませんので、力を入れて見に行くと完全に肩透かしですが、上記のように場所の空気、時代の空気を再現し、細部まで考えられて作られた落ち着いた味わいのある作品。是非お正月の映画館で(日本はお正月:公式サイト)、ぽつんと一人でお楽しみ下さい。

★アナ・パキン
1982年生まれなので今だ24歳。11歳で出演した「ザ・ピアノ」でアカデミー賞の助演女優賞を獲得。「あの頃、ペニーレインと」等もありますが、日本では「X-MEN」のローグで有名。地味になった、劣化した等との悪口もありますが、名門コロムビア大学に通いながら、実はこの映画のようなアート系での脇役、TVへの出演、ロンドン/ニューヨークの舞台に立つなど着々と“女優”としての地固めをしつつあります(子役出身者としてはテイタム・オニール、ドリュー・バリモアではなく、ジョディ・フォスターの道を目指しているかと)。

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2006年11月 3日 (金)

大統領をめぐる最新映画3:「ボビー/Bobby」

大統領をめぐる最新映画1:「デス・オブ・ア・プレジデント(ある大統領の死)/ Death of a President」
大統領をめぐる最新映画2:「シャラップ&シング/ Shut Up & Sing」

Bobby220 超優等生でカリスマを持ち、かつ現実主義的、冷徹で女性にだらしなかった兄・JFKに比べ、カリスマ性には欠けるものの、理想主義的な精神と誠実な人柄で周りからは兄以上に愛された弟ロバート・ケネディ(通称ボビーor RFK)。1968年の大統領選挙の民主党候補として、ベトナムからの即時撤退や人種間融和を主張し代表選に向けて活動中に6月4日のロスアンゼルスの名門ホテル・アンバサダーホテルで、銃撃され翌日死亡。享年42歳。彼の遺体を載せた列車の沿線には人種の垣根を越えた多くの人が集い、彼の死を惜しみました。

 11月23日に公開になる「ボビー/Bobby」は、その運命の1968年6月4日のアンバサダーホテルに偶然居合わせた22人の人々の出来事を描く映画です。最近ご無沙汰の俳優エミリオ・エステベスが監督し、22人にはアンソニー・ホプキンス、デミ・ムーア&アシュトン・カッチャー夫妻、シャロン・ストーン、リンジー・ローハン、ヘレン・ハント、クリスチャン・スレーター、ウィリアム・H・メーシー、ヘザー・グラハム、ハリー・ベラフォンテ、ローレンス・フッシュバーン、イライジャ・ウッド、そしてエミリオ・エステベス本人とその父マーティン・シーン(さすがに弟チャーリー・シーンはいない)等等という豪華メンバー。

 予告編を見て驚いたのはデミ・ムーアの髪の手入れをしていたシャロン・ストーン。一時期はライバルと目された二人の絡みはスリリング。そう言えば、デミ・ムーアは監督エミリオの婚約者でしたね(二人が共演の「セント・エルモス・ファイヤー」が懐かしい。婚約破棄後デミはブルース・ウィリスと、エミリオはポーラ・アブドュルと結婚。そして二組とも離婚)。これも楽しみな一本です。

続きに予告編&作品情報あり。
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2006年10月31日 (火)

デビット・フィンチャー最新作「ゾディアック/ Zodiac」 プレビュー

2007.5.11
3月に見たのですが、感想まとめるのに時間がかかりまして・・・・こちらをご覧ください:サンフランシスコの暗闇「ゾディアック」

2007.1.6追記:
公開が迫ったはずなのに何の宣伝もないなあと思っていたら3月2日に更に公開延期・・・・
公式サイト:http://www.zodiacmovie.com/

2006.11.18予告編追加:ロッド・スチュアート”I'm Losing You”が良い感じです。

Zodiac2201966年から1978年にかけてサンフランシスコ近辺で起きた連続殺人事件。最低でも5件の殺人を起こしたが、実際に犯人の犯した犯行は30件以上との説もある。殺人犯が新聞社に送りつけてきた独特の星座のようなマークから犯人はザ・ゾディアック・キラー/The Zodiac Killer(星座殺人者)と呼ばれ、ご存知「ダーティ・ハリー(舞台はサンフランシスコ)」第一作の連続殺人犯スコルピオのモデルにもなったが、結局事件は2004年に迷宮入りとなった・・・。

この事件に取り憑かれた男たち・ジェイク・ギレンホール、マークラファロ、ロバートダウニーJrのドラマを描くデビット・フィンチャー監督の最新作。2006期待の作品として秋の公開が予定されていましたが、あれれ、1月公開に延期。アカデミー賞とは関係ないのかそれとも同系列の「羊たちの沈黙(2月に公開されたが、アカデミー賞受賞)」になるのか。出来が楽しみです。

続きに作品情報あり。
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2006年10月28日 (土)

シャーロットのおくりもの プレビュー

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E.B.ホワイト原作の児童文学の名作「シャーロットのおくりもの」の映画化。1972年にはアニメ化されましたが、今回は実写+CG+アニマトリクス&超豪華声優の組み合わせでの登場。本来は子豚のウィルバー(ドミニク・スコット・ケイ)、蜘蛛のシャーロット(ジュリア・ロバーツ)の友情が中心ですが、少女フェーン・ダコタ・ファニングの役割が大きくなっている模様。日米ほぼ同時公開です。注意!:子供向けと甘く見てかかると泣かされるはず。ダコタ・ファニング・ファンもご注意を。

シャーロットのおくりもの/Charlotte's Web
分野: ドラマ・ファミリー・ファンタジー
米国公開日: 2006年12月20日(拡大公開)
米国公式サイト:http://www.charlotteswebmovie.com/site/index.php
米国配給会社: Paramount Pictures
日本公開日:2006年12月23日
日本公式サイト:http://www.charlotte-movie.jp/site/index.php
主演:ダコタ・ファニング 、ジュリア・ロバーツ 、オプラ・ウィンフリー 、スティーヴ・ブシェミ 、キャシー・ベイツ 、ジョン・クリーズ 、トーマス・ヘイデン・チャーチ 、ロバート・レッドフォード 、セドリック・ジ・エンターテイナー 、ジェーン・シベット 、ジェニファー・ガーナー
監督:Gary Winick
製作:Paul Neesan, Edgar Bronfman Sr, Julia Pistor
上映時間:未定
レイティング:G

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2006年10月22日 (日)

「父親たちの星条旗」 レビュー

Flags220第二次世界大戦でも最大の激戦の一つであった硫黄島の死闘にまつわる一枚の写真に関わった男たちのドラマ。二度のアカデミー賞監督賞に輝くクリント・イーストウッド監督が、このドラマを、現在、戦場(1944年2月-3月)、そして戦い後、帰国してから(1944年後半)の3つの時間軸を交差させ、独特の静謐なタッチで描いており、見た後、腹にずしんとしたものが残ります。“感動”等という単純な言葉で表せないこの重さ、この苦味こそが、「ミスティック・リバー」「ミリオン・ダラーベイビー」にも共通するイーストウッド映画の醍醐味。かつてのアクション・ヒーロー・イーストウッド、76歳にして独特の枯淡の境地に達しています。これに比べると「ミュンヘン」で新たな高みに達したスピルバーグ(この映画の製作者の一人)、「ザ・ディパーテッド」で直接的に激突するスコセッシ★もまだまだ油が抜けていない感あり。

勿論“静謐”等とはいってもその戦場の描写は、「プライヴェート・ライアン」に匹敵する凄まじい迫力★★で、全体の色調のトーンを抑えてあるものの、目を覆いたくなる凄惨なシーンもあります。しかしこの映画は、痛快戦争活劇でも、戦争の無意味さを訴えかける反戦映画でもなく、戦争で人生を寸断されてしまった若者たち、そして生き残ったけれども一生戦場に取り憑かれてしまった男たちの人生に捧げる鎮魂歌。そして父から息子への”絆”。戦場で戦った人たち(20歳で参戦したとしても82歳位)が、静かに退場しつつある今、若干下の年代であるイーストウッドがこの作品を手がけたかった事は良く理解できます。

演技に関しては「ミスティック・リバー」「ミリオン・ダラーベイビー」の時に見られたように、力のある役者を用意して、細部は役者達にまかせ一発撮りで勝負する(2作で、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマンの4人がアカデミー賞獲得)という方法はとらず、ほぼ無名の役者達による集団劇。これが歴史の中に埋没していった人たちという感覚を生み出しています。(濃密な演技合戦を期待する向きには不評)。また、この3つの時間軸の交差するという野心的で大胆な構造が、機能的に効果していない、詰め込みすぎ等という批判もあり(脚本は「ミリオンダラー」&今年のアカデミー賞「クラッシュ」のポール・ハギス)、「ミスティック・リバー」「ミリオン・ダラーベイビー」の様な“熱い”絶賛ではなく、アカデミー賞の“本命”とは言えませんが(興行的にも苦戦の模様)、やはり今回も熟練の名工の生み出した重厚なドラマ。姉妹編にあたる「硫黄島からの手紙」の公開★★★が楽しみですが、イーストウッドには更にその先にこうした質の高い映画を撮り続けて欲しいものです。

尚、エンド・クレジットは是非ラストまでご覧下さい。重要人物が生き返ったり、猿が王様になっていたりはしませんが、注目。蛇足ですがSpecial Thanksの一番目が“東京都”です。石原知事、イーストウッド会談、意義有でしたね。

過去記事: 「父親たちの星条旗」Flags of Our Fathers
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★スコセッシは今回の「ディパーテッド」で、大作からは距離を置き今後は自分の作りたいものを手がけて行きたいとの事で、噂される第一弾が遠藤周作の「沈黙」とのこと。イーストウッドの位置に現役の監督で迫れるのはひょっとしてスコセッシかも。

★★正直、戦闘シーンは日本軍ガンバレの気持ちで見ていました・・・・年配の多いアメリカの映画館で一人でこれはちょっと怖い体験かも。

★★★「硫黄島からの手紙」は日本が12月の公開、アメリカは来年の2月・・・(アカデミー賞戦線のこの「父親たちの星条旗」が絡んでくる&DVDの発売に合わせた戦略かと思われます)。日本まで年末見に行こうかな等と考え始めています。

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2006年10月17日 (火)

やられました、「ディパーテッド」

Departed1_220_2 お見事。優れた犯罪アクション映画であり、現時点で本年度の最高の作品。アメリカでの批評を読むとスコセッシ作品としては“「グッドフェローズ」以来の優れた作品”という言い方が出ていますが、個人的には「グッドフェローズ」よりも上。「ギャングス・オブ・ニューヨーク」「アビエイター」でアカデミー賞にもう一歩だったスコセッシ・ディカプリオコンビに悲願の栄冠をもたらすかも知れません★。

 原作にあたる香港映画「インファナル・アフェア」の舞台である香港闇社会を、アイリッシュ・マフィアの跋扈するサウス・ボストンに移し変え★★、警官に潜入した犯罪組織の男と犯罪組織に潜入した警官の二人の男。常に死と背中合わせの緊張感の中で、生き残る唯一の方法は敵対する組織内“潜入者”を見つけ出し抹殺すること。お互いに顔も知らない二人が、自分の影に怯えつつ、生死をかけて激突します。

 最近のリメークはやりのアメリカ映画をお嘆きの方も多いと思いますが、逆にリメークの強みもあります。それはきちんとした設計図(脚本)が既に出来ている為、その上に安心して力のあるスタッフ&役者達を乗せて存分に個性を引き出すことに集中出来ること。

 演技では、繊細で脆いレオナルド・ディカプリオVS自信に満ちたマット・ディーモンの若手の駆け引きも素晴らしいのですが、やはり今回はジャック・ニコルソン。威厳と愛嬌を持ちながら、ちょっと気に入らなければ即相手の頭を打ち抜くようなぴりぴりとした狂気を撒き散らして、二人の運命を握る組織のボス・フランク・コステロを演じています。スコセッシと言えば、デニーロとのコンビが名高いのですが、今までニコルソンと組んだ事が無かったのが不思議。警察側幹部マーティン・シーン、マイク・ウォールバーグ、そしてアレック・ボールドウィンの3人も素晴らしいのですが、一人で対抗してしまうその存在感は圧巻です(犯罪組織幹部レイ・ウィンストンにもご注目を)。そしてこの男臭い世界の中で、注目は対決する二人の男から愛される運命の女性マドリンを演じるヴェラ・ファーミガ。精神科医という知的な役柄を演じながら、二人の男を惹きつけて行く色気は只者ではありません。これまでは独立系の映画で活躍してきた人ですが、今後化ける可能性あり。

 スタッフに関しては、撮影(マイケル・ボールドハウス)も編集(名コンビ・セルマ・シューンメイカー)も巧みですが、個人的に特筆したいのは音楽。ハワード・ショアの音楽+相変わらずのスコセッシ選曲の上手さ。“戦争、レイプ、殺人。嵐が吹き荒れている。もし隠れる場所を見つける事が出来なければ、俺は吹き消されてしまう。誰か俺に隠れる場所をくれ”と歌うザ・ローリング・ストーンズの名曲“ギミーシェルター”、そして“私は、快適な麻痺に落ちてゆく”と歌うピンク・フロイド“コンフォタブリー・ナム”(映画ではアイランド系・バン・モリソンのバージョン)を、そして地元ボストンのバンド・ドロップキック・マーフィのアイリッシュ的でかつヘビーな“I'm Shipping Up To Boston”の予告編で使われている3曲が、分散した形で効果的に使われています。

 こうした役者&スタッフを存分に操って、スコッセッシが本領を発揮したずしんとヘヴィなドラマ&アクション。1年半前のアカデミー賞の復讐を果たすときはやってきました。日本公開は来年1月★★★との事ですが是非お楽しみに(注:かなり血生臭いので、ご注意を)。

★「ミリオンダラー・ベイビー」で「アビエイター」を逆転、墜落させた最強のライバル・イーストウッドの「父親たちの星条旗」が今週末に登場しますが。スコッセッシVSイーストウッドの重量級再戦も見もの。
★★その雰囲気はライバル・イーストウッドの「ミスティック・リバー」にそっくり。あの映画も同じ場所で育った三人の男が、犯罪者、犯罪犠牲者、そして警官になる映画でした。ボストンはアイルランド系住民がアメリカで最も多く、U2のコンサートが最も盛り上がる場所。
★★★ 日本公式サイト

過去記事:ザ・ディパーティッド(インターナルインファナル・アフェア)/ The Departed プレビュー別ポスターあり

続きに米国版予告編&作品情報  人気blogランキング参加中。 banner_02


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2006年9月30日 (土)

ブラック・ダリア記事更新

Black_dahlia220ブライアン・デ・パルマの新作「ブラック・ダリア」遂に見てまいりました。7月のご紹介(予告編、米国版ポスターあり)にレビューを加えたものはこちら:ブラック・ダリア/ The Black Dahlia

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2006年9月29日 (金)

ジ・イルージョニスト/ The Illusionist

Illusionist220_1若くして名優の呼び声も高いエドワード・ノートンが幻術師(イリュージョニスト)に扮し、“3人のジェシカ”の一人ジェシカ・ビールズと、「サイドウェイ(ズ)」「レディ・イン・ザ・ウォーター」のポール・ジアマッティが共演すると言えば、何やら濃い目の人間ドラマが出てきそうですが、これがなんと非常にロマンチックな御伽噺。

ノートンがロマンチックな役をこなしている「ダウン・イン・ザ・ヴァリー」は未見なのですが、さすがの芸域の広さでこうした映画でも活躍出来ることを証明。そして自分からこの役柄を熱望して獲得したというジェシカ・ビールも「テキサス・チェーンソー」「ブレイド3」や「ステルス」等のアクティブなイメージから一転、ロマンチックなお姫様役をこなします。しかし一番美味しいのは“イリュージョニスト”を追う警部ジアマッティ。主演の「レディ・イン・ザ・ウォーター」がこけてしまいましたが、やはりこの人は「シンデレラ・マン」やこの映画のように脇で光る方が向いているのかも。どことなく銭形警部。

勿論イリュージョニストという位ですから、結末にどんでん返しが待っているのですが、きっとこうなるという落ちは読めても、その方法までは中々見破れないと思います。是非日本でも公開して欲しい一本。

8月に限定公開されながら10月の今もTop10圏内に居座るというヒットになっています。ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが奇術師に扮して対決する新作「ザ・プレステイジ」も公開を控えており、こちらも楽しみ。

続きに作品情報。
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2006年9月15日 (金)

リトル・チルドレン/Little Children

Littlechildren_220「リトル・チルドレン」という可愛らしいタイトルとは裏腹に、予告編に流れるダークなムード。鳴り響く列車の警笛と子供の玩具の激突が暗示するものは。何の変哲も無い郊外の生活の中に潜む妻の、夫の秘密とは・・・(「アメリカン・ビューティ」?)

「イン・ザ・ベットルーム(これも怖い映画でした)」でアカデミー賞にノミネートされたトッド・フィールド監督+若くしてノミネート常連・ケイト・ウィンスレットと「ビューティフル・マインド」で受賞経験ありのジェニファー・コネリー、そして「アラモ」「ハード・キャンディ」そして年末の「グッド・シャファード」と注目のパトリック・ウィルソン、元子役スタージャッキー・アール・ヘイリー(評価高し)が絡みあい、昨日ご紹介の「ストレンジャー・ザン・フィクション」同様こちらもアカデミー賞に絡んでくるかどうか注目の一本です。続きに作品情報とPhotoあり。 人気blogランキング参加中。 banner_02

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2006年9月14日 (木)

「主人公は僕だった(ストレンジャー・ザン・フィクション/Stranger Than Fiction)」

2007.1.3追記:
日本公開タイトルは「主人公は僕だった」で、公開は2007年5月。日本公式サイトはこちら http://www.sonypictures.jp/movies/strangerthanfiction/index.html
まあ、公開されるだけ良しと言うところでしょうか。

2006.12.13追記:
11月に見たのですがやっと感想をまとめました。9月13日の紹介記事は全て”続き”に移動。一部ネタがかぶる事をお許しください。
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Stranger_than_fiction220 毎日まったく同じように目覚め、仕事に行き、家に帰って寝るだけの日々を送る公務員(IRS:税金収納員)・ハロルド・クリック(ウィル・ファレル)。どんなに平凡かというと朝歯を磨く回数も同じ、バス亭までの歩数も同じ。家族もなく愛する人もいない日々、でも彼は人生なんてそんなものと思っています。そんな生活を送る彼に聞こえてくる謎の女性(エマ・トンプソン)の声。彼の日々を事細かに描写するその声を聞いて、平凡な日々を送る彼の頭をよぎる疑惑。ひょっとして、自分の人生が誰かの小説(フィクション)だとしたら?そしてその作家が結末に自分を殺そうとしている事を知ってしまったら?ハロルドは自分の運命を変えられるのか★?ハロルドなどんな行動に出るのか?小説よりも奇なる(=ストレンジャー・ザン・フィクション)物語が始まります。

 カーレース大馬鹿コメディ「タラデガ・ナイツ」が大ヒットとなり波に乗るウィル・ファレルが一転してシリアスな演技で笑わせ、ほろっとさせるドラマがこの映画。何せ「タラデガ・ナイツ」ではブリーフ一枚で走り回って笑いを取っていた彼が、人生についてのまじめな考察を見せ、かつきちんと笑わせてもくれます。単なるお馬鹿コメディアンから一歩前進して、ジム・キャリーの座に迫れるか?

 また周囲を固める脇役が実力派揃いで作家としての壁(ライターズ・ブロック)にぶちあたった小説家エマ・トンプソン、その彼女に小説を完成させるために出版社から送りこまれて来たクイーン・ラティファ、ハロルドのカウンセラー・ダスティン・ホフマン、そしてハロルドが監査に行くパン屋の主人マギー・ギレンホールとアカデミー賞クラスの役者が揃っていてこの不思議な話を地に足をつけた作品としています。

 死んだような日々を送る公務員が自分の“死”を知って初めて生きる意味を考えるという構造が、黒澤明の「生きる★★」。もちろんシンプルで骨太だった黒澤作品に比べれば、こちらはスタイリッシュな映像やファンタジーの要素など多くのひねりと軽みがある分、現代的。感動して泣くというようなタイプの映画ではありませんが、見終わって気持ちの良い後味が残る映画です。

★小説家をその登場人物が殺しに行ったらスティーブン・キングの「ダーク・ハーフ」。昨年のライターズ・ブロック映画「イカとクジラ」を絶賛していたキングですが、今年のこの映画をどう評価したのか是非聞いてみたいのですが。
★★傑作。今時の問題公務員には強制的に見せたいと思います。ハリウッドでリメイクされる、トム・ハンクスが主演する等と言われて久しいのですが、まだ実現しないようです。

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2006年9月12日 (火)

遂に・・「ユナイテッド93」

United93_big昨日の事のように覚えているあの2001年9月11日の出来事。「今年一番見たくない映画」としてご紹介し、映画館に足を運ぶ事をためらっていたのですが、遂にDVDにて見ました。重い腰を上げた理由は、様々な911関連、この映画関連のブログや掲示板を読むうちに、「(ユナイテッド93便はおろかWTCにも)日本人がいたのは知らなかった」「機内であんなドラマがあったことは知らなかった」という声がかなり見受けられ、既に“風化”が始まっている事を痛感したからです。

この映画のとても重く、そして優れているのは朝の空港から飛行機が飛び立ち、そしてハイジャックが起きるまでの機内、そして乗客達の丁寧で自然な描写。仕事でアメリカの飛行機に乗る事は良くあるのですが、まさに日常的な空港~搭乗~テイクオフの流れ、そして隣に座っているような普通の人たち、普通なフライト、普通な空気。この“普通”の積み重ねが、その後に起きる“小説より奇なる悲劇”にあった人たちが、我々と全く同じ人間だった事を痛感させ、自分があたかも“ユナイテッド93便”の乗客になってしまったかの如く感じさせてくれる点。自分だったらどう行動するか、誰に電話をかけるのか、何を伝えようとするのか。その意味でこの作品は、見た人に対してこの出来事が“自分に降りかかるかも知れない事”として認識させ、“他人事”である事を許さないパワフルな作品です。

 残念ながらこのフライトやワールドトレードセンターで多くの日本人が亡くなっているにも関わらず、日本の報道やインターネット上の書き込みを見ていると、2001年9月11日の出来事は、やはり日本から“遠い異国で起こった出来事”である点を実感します。様々な意見はあると思いますし、見る事をためらう方も多いと思いますが、機会があれば是非ご覧下さい。

United93_220★この映画で最初に気がついたのは、製作が映画の冒頭でこの日の出来事に触れ、乗客達が最後に残したメッセージは怒りや憎しみではなく「Love」だったと語る「ラブ・アクチュアリー」を作ったイギリスのWorking Title社だったこと。電話に向かって語りかける乗客達の姿と「ラブ・アクチュアリー」の冒頭(空港での平和な、様々な形の再開)が、浮かんで涙が止りませんでした。

★この映画が“ドキュメンタリーのように見せて実は真実を隠す為の陰謀映画”という人もいますが、オープニングでテロリスト達の姿、会話がある時点でこれは“ドラマ”であるという点をきちんと宣言していると考えます。

★この墜落現場は私の家から車で1時間、今年こそは一度訪ねてみたいと思っています(本日はブッシュ大統領夫妻が訪問)。本日の日記はこちら

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2006年9月 9日 (土)

パンクな「マリー・アントワネット/ Marie Antoinette」

Marie_antoinette220「ロスト・イン・トランスレーション」が高く評価されたソフィア・コッポラ監督の新作は、キルスティン・ダンストを迎え、フランス革命に散った王妃マリー・アントワネットを描く歴史劇。

でも予告編をみる限りは格調高き歴史劇ではなく、かなり宮廷反逆児・パンクな印象(文字がセックス・ピストルズしてます)-ただ予告編はニューオーダーだったりしますが。カンヌ映画祭ではブーイングもあったそうですが、そりゃフランス人にしたら腹も立つかも。注意:オスカルもアンドレも出ないと思います。

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2006年9月 8日 (金)

今年も登場カポーティ映画「インフェイマス」

Infamous220フィリップ・シーモア・カフマンにアカデミー賞をもたらした「カポーティ」の公開が、日本では一年近く遅くなっている間に、アメリカではもう一本のカポーティ映画が10月公開。「カポーティ」は、「冷血」の出来るまでの取材過程のドラマを描いた作品でしたが、こちらはニューヨークの派手なパーティ三昧の日々を描いている模様。

こちらでカポーティを演じているのはトビー・ジョーンズ。幼馴染で「アラバマ物語」の作家ハーパー・リーに「イルマーレ」のキャンペーンで来日したばかりのサンドラ・ブロック(「カポーティ」ではキャスリン・キーナーがこの役でアカデミー賞にノミネート)。新ジェームス・ボンド・ダニエル・クレイグ、ジェフ・ダニエルズ、ピーター・ボグダノビッチ(監督!)等渋いオールスターで描きます。

さてさて2年連続で同じ実在人物を描いた作品がどう評価されるのか。楽しみです。

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2006年8月26日 (土)

「父親たちの星条旗」Flags of Our Fathers

10月21日:鑑賞しました。レビューはこちら: 「父親たちの星条旗」 レビュー

9月13日追記:続きにYouTubeの予告編追加しました。

9月9日追記:
遂にアメリカ版予告編(“星条旗”単独)登場。【こちら】をクリックしてください(Windows Media only)。

Flags220まだ気が早いと思いますが、既に2007年のアカデミー賞の最有力候補と見なされているのが、「ミリオンダラー・ベイビー」に続くクリント・イーストウッド監督作品「父親たちの星条旗」Flags of Our Fathers。第二次世界大戦の太平洋戦線で最も激戦となった硫黄島での戦い。あまりに有名な最重要拠点・擂鉢山(Mt. Suribachi)を陥落させた際に立てられた星条旗とそれを支える6人の男たちの写真。戦いと、戦いを通じてヒーローとして祭り上げられた男たち(戦争遂行資金調達の為の“戦時債権”の宣伝に使われた)のその後を描くこの作品は、痛快戦争アクションになるはずもなく、男たちの、そして父と息子のドラマになっているはずです。

この作品の製作過程を通じて、日本側のドラマに惹かれたイーストウッドが日本側からの視点で描くのがこの作品と“対”になっているのが、「硫黄島からの手紙」で、こちらはアメリカより早く日本で12月9日公開予定です。現在の所予告編は日本サイトでのみ見る事が出来ます。

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2006年8月19日 (土)

オーランド・ブルーム新作「ヘイヴン 堕ちた楽園」Haven プレビュー

2006.9.13 予告編を続きに追加。

2006.8.31追記:
日本公開タイトルは「ヘイヴン 堕ちた楽園」とのことですので、訂正致します。

Haven220若くして「ロード・オブ・ザ・リング(ス)」と「パイレーツ・オブ・カリビアン」という2つの歴史的な3部作に名を連ねたオーランド・ブルームが、今までと一変してダイビングのメッカとしても知られる楽園ケイマン諸島を舞台にしたクライム・アクション、スリラー分野にチャレンジするのが、この新作ヘイヴン 堕ちた楽園/Haven(綴りは似てますが「ヘブン」ではありません・予告編を見るとどうやら掛け合わせてあるようですが)。

ファンには結構ショッキングな映像が続きますのでご覚悟の程を(でもこれ位の汚れ役はガンガンこなさないとジョニデへの道は険しい)。

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2006年8月18日 (金)

ザ・プレステイジ/ The Prestige プレビュー

2006.9.13予告編追加:

Prestige360ヒュー・ジャックマンVSクリスチャン・ベールとは即ち、ウルヴェリン(X-MEN)VSバットマン。この秋の対決の中でディカプリオVSデイモンを凌ぎ最も魅力的な役者同士の組み合わせがこの映画“ザ・プレステイジ/ The Prestige”(でもアメコミ原作ではありません)。

1878年を舞台に二人の若きマジシャン同士の友情、ライバル意識、そして憎悪と対決、そして巻き込まれる周囲の悲劇。「メメント」「インソムニア」そして「バットマン・ビギンズ」のクリストファー・ノーラン監督ゆえにスリリングかつダークなドラマになっている模様です(ポスターはパシーノVSウィリアムスの「メメント」を思い出させてくれます)。

脇を固めているのが、マイケル・ケイン、超売れっ子スカーレット・ヨハンセン、そして「ズーランダー」のカメオを除けば映画は久方ぶりのデビット・ボウイと魅力的なメンバー。ジャックマン・ヨハンセンは「スクープ」に続き今年二本目の共演ですが、ノーラン監督・ベール・ケインの「バットマン・ビギンズ」トリオはこの後引き続き待望の新バットマン「ザ・ダーク・ナイト」で顔合わせ予定(2008年公開)。ジョーカー役はヒース・レッジャーでほぼ確定の模様。

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2006年8月 8日 (火)

ザ・ディパーティッド(インターナル・アフェア)/ The Departed プレビュー

★アカデミー賞候補の呼び声も高く、遂に日本公開。実際の感想はこちら:やられました、「ディパーテッド」


9月3日追記:新ポスター登場!予告編は”続き”にあります

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Line500_1

Thedeparted220レオナルド・ディカプリオ、マット・ディーモン、マーク・ウォールバーグに加えジャック・ニコルソン、更にアレック・ボールドウィン、マーティン・シーンが脇を固めるという超豪華キャスト。そしてディカプリオとは3度目の組み合わせとなる巨匠マーティン・スコセッシ監督の新作は香港映画の「インファナル・アフェア」のリメイクである「ザ・ディパーティッド」/ The Departed。舞台をボストンに移し変え、警官とギャングとの狭間に揺れ動く人間達のドラマを描きます。個人的には何故か今までなかったスコセッシ&ニコルソンの組み合わせに期待。

遂にポスター、予告編が登場しましたがBGMのカッコいいこと。ローリング・ストーンズのギミー・シェルターのイントロから終わりのコンフォタブリー・ナム(ピンクフロイドのカヴァー、誰かが思い出せず悩んでいます・こちらでピンクフロイド版聞けます)まで、わくわくします(本編には使われない事が多いのですが)。

★2006.8.12追記
JCRさんからご指摘を頂きまして、予告編にて使われいるのは
"Comfortably Numb" - Van Morrison & The Band
"Gimme Shelter" - The Rolling Stones
"I'm Shipping Up To Boston" - Dropkick Murphys
である事が判明。情報どうもありがとうございました(情報元こちら

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2006年7月29日 (土)

ラッキー・ユー/ Lucky You プレビュー

2006.9.14追記:予告編追加

Lucky_you220昨日ご紹介した「ブラック・ダリア」の中で触れた名作「LAコンフィデンシャル」や「イン・ハー・シューズ」を監督した名匠カーティス・ハンソンの新作がこの「ラッキー・ユー」。ラスベガスでのポーカーの世界大会に臨むプレイヤーの主人公(「ミュンヘン」の)エリック・バナ、その父親がロバート・デュバル、歌手役がドリュー・バリモア、これにロバートダウニーJrが加わって、またじっくりと人間ドラマを見せてくれそう。特に女優を輝かせるのがうまいハンソンですから、ひょっとするとひょっとしてドリューにアカデミーの大チャンス?

ラッキー・ユー/ Lucky You
分野: ドラマ
米国公開日: 2006年9月15日(拡大公開)
米国公式サイト:
米国配給会社: Warner Bros. Pictures International
日本公開日:2006年秋
主演:Eric Bana, Drew Barrymore, Debra Messing, Robert Duvall, Robert Downey Jr.
監督:Curtis Hanson
製作:Bruce Berman, Kevin McCormick, Curtis Hanson
上映時間:未定
レイティング:未定

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2006年7月28日 (金)

ブラック・ダリア/ The Black Dahlia

9月29日・レビュー追加(プレビュー記事は全て”続き”に移行しました。

Black_dahlia220ジョシュ・ハーネット、アーロン・エックハート、スカーレット・ヨハンセン、そして若くして二度のオスカーに輝いたヒラリー・スワンクと生きの良い若手を揃えて、作家ジェイムス・エルロイの「LA四部作」の第一作であり、最高傑作とも言われる「ブラック・ダリア」の映画化にブライアン・デ・パルマ監督が挑んだのがこの作品。非常に期待して観に行き、それなりには楽しめたのですが、期待が大きすぎたのか全体としては肩透かしの印象。勿論中盤の見せ場の主要人物殺害シーン等、ドラマチックかつ華麗なデ・パルマらしい世界も楽しめるのですが、どうしても役者に色気が感じられない点が弱点に感じられました。

LAを舞台にした暗黒物の名作「チャイナ・タウン」のジャック・ニコルソン&フェイ・ダナウェイ、同じ原作者の「LAコンフィデンシャル」のラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ケビン・スペイシー、そしてキム・ベイシンガー等の役者達は、鮮やかな“色気”を発散していたと思います★。ジャック・ニコルソン/ラッセル・クロウと比較されては発展途上のジョシュ・ハーネットが可哀相ですが、既に2度のオスカーを取ったヒラリー・スワンクに、男の運命を狂わせるファム・ファタールとしての魅力が出せなかった点大いに不満。「ボーイズ・ドント・クライ」は殆ど男役、「ミリオン・ダラー・ベイビー」はボクサー役というように男性的な役柄だったことを考えるとひょっとすると“妖艶”な役柄は人選ミス?★★色気という点ではまだ、スカーレット・ヨハンセンの方があるのですが、やはりダナウェイ/ベイシンガーの魅力に比べると、まだまだ小娘。

考えてみれば前作「ファム・フェタール」も、レベッカ・ローミン(X-MEN/ミスティークの中の人)&アントニオ・バンデラスという色気のある役者を使っておきながら、余り色っぽく感じさせなかったのですから(露出の多さと色気は関係ありません)、ひょっとしてこれはデ・パルマの弱点?名誉回復で是非早めに次回作を見せて欲しいものです。

★同じ分野で「狼たちの街」MULHOLLAND FALLS というニック・ノルティ、マイケル・マドセン、ジョン・マルコビッチ&メラニー・グリフィスという美味しい役者達が絡む渋い作品もあります。名作とは言えませんが、ジェニファー・コネリーが脱ぎまくって別の意味の色気を発散しています。
★★エックハート・スワンクの「コア」コンビも出世したなあと余計な事を考えてしまいました。

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2006年7月27日 (木)

ア・グッド・イヤー プロヴァンスからの贈り物/ A Good Year プレビュー

2006年11月10日追記:
日本ではタイトルが「ア・グッド・イヤー プロヴァンスからの贈り物」と決定、2007年春に公開されますが、アメリカでの評価は芳しくなく、アカデミー賞とは縁がなさそう。メディアの前に出る事が嫌いのラッセル・クロウが一生懸命TVのトークショーにゲスト出演したりして、PRしたのですが・・・

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Agoodyear_220最近はホテルで従業員に電話を投げつけて逮捕されたりで大変なラッセル・クロウが「グラジュエイター」でアカデミー賞を獲得したリドリー・スコットと再び組むのがこの作品。11月公開と言う事もありアカデミー賞争いに食い込もうと言う強い意志を感じます。

ア・グッド・イヤー プロヴァンスからの贈り物A Good Year
分野: ドラマ
米国公開日: 2006年11月10日(拡大公開)
米国公式サイト:(Yahoo予告編のみ
米国配給会社: 20th Century Fox Distribution
日本公開日:2007年春
日本公式サイト:http://movies.foxjapan.com/agoodyear/
主演:Russell Crowe, Albert Finney, Marion Cotillard, Didier Bourdon, Abbie Cornish
監督:Ridley Scott
製作:Ridley Scott, Lisa Ellzey, Julie Payne (II)
上映時間:未定
レイティング:PG-13

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2006年7月13日 (木)

ニューヨークで働くという事・「プラダを着た悪魔」

Dwp220今年前半に公開された映画の中で、最も面白かった映画。キャプテン・ジャック・スパロウが戦う”海の悪魔”も面白いけれど、この映画のメリル・ストリープ扮する“悪魔“の演技の圧巻な事。彼女の演技に対して早くもアカデミー賞候補の声が出ています。

所謂チック・フリック(女子供向け映画という、やや蔑称気味の言葉)ですが、これは新しい世代向けの働く女性賛歌・新「ワーキング・ガール」(ゆえに出てくる男性は皆、ひ弱)。「パイレーツ」「スーパーマン」の影に隠れていますが、只今ヒット中。
(ニューヨークで働く事に関する個人的な話は分離しまして日記の方にまとめます)

田舎の大学(ノースウエスタン大・名門)を卒業し、ジャーナリストを目指してまずはファッション雑誌”Runway”の編集長アシスタントの仕事にありついたアンディ(アン・ハサウェイ/「ブロークバック・マウンテン」で一人だけアカデミー賞ノミネートからはずれた彼女ですが、一番大物になるのは彼女かも)。しかし彼女の上司とはニューヨーク・ファッション界を牛耳る大御所編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)。この“地獄から来た上司”を相手にしてアンディの悪戦苦闘の日々が始まります。

勿論このミランダ役のモデルはVogue誌の”女帝“アナ・ウィントー。原作者であるローレン・ワイズバーガーは実際に彼女のアシスタントを務めていた人で、ここで描かれているエピソードのかなりの部分は真実。ニューヨークで働くと言うことは多かれ少なかれこんな経験をつむ事。このあたりは残業など考えられないニューヨーク以外の町にすむ人より、サービス残業が当たり前の日本人の方が共感できると思います。そもそも、アメリカの一般の人なら1日でやめてしまいますが。でもこうして悪魔に揉まれて20代をニューヨークでサバイブしキャリアを積み上げる事が出来れば、そこには「Sex and The City」のゴージャスな30代-40代生活が待っています(監督のデビット・フランケルは「Sex and the City」の演出も手がけた事あり)。

Rent7_thumb_1編集部シーンとアパート・シーン以外のかなりの部分は現地ロケ。ミッドタウン(会社はアベニュー・オブ・アメリカス&50番あたり・実際に大手出版社が立ち並ぶ)で働き、SOHOあたりで友人と集まり、アパートはイーストヴィレッジ・チャイナタウンあたりでボーイフレンドとシェア(同じチャイナタウン近辺に住んでヴィレッジ近辺で夜働くと「コヨーテ・アグリー」)という、感覚がニューヨークのリアルな雰囲気を出しており、このお話を現実的な物にしています。「RENT」のJoanne役トレイシー・トムズが同じようにニューヨーカーを演じていたのには笑いましたが->この人

U2、マドンナ(来週ニューヨークで見ます->公演の模様)等の音楽も効果的ですが、お気に入りはアラニス・モリセットの“Crazy”(Sealのカヴァー)。ふんだんに登場する“世界の一流ブランド”とあわせ見どころ、聞きどころ。

80年代的な「ワーキングガール」が、嫌な上司をやっつけ恋も成功も手中にするサクセス・ストーリーだったのに対し、こちらの落ちは現実的な点が21世紀的(?)。日本公開時にどのように受けいれられるか興味深い映画です。
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過去記事: 「プラダを着た悪魔」The Devil Wears Prada

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2006年5月21日 (日)

今年最大の話題作「ダ・ヴィンチ・コード」登場

Davinci_220_1世界同時公開なので、先取り情報も何もないのですが(笑)どうしても色々書きたくなってしまう作品。「ミッション・インポッシブル3」「ポセイドン」に続くハリウッド怒涛の大作第三弾。

原作はダン・ブラウンの超∞ベストセラーの映画化。それを「ビューティフル・マインド」「シンデレラ・マン」のロン・ハワードが監督、トム・クルーズと並ぶ現代最高の“マネーメイカー”トム・ハンクスが主演、内容を巡ってはキリスト教関係者を中心に轟々たる非難が沸き起こり、制作会社であるSONY製品の不買運動まで起こされているという話題作(作中SONYの最新製品がばんばん出てきます)。

映画化するにあたり、原作にある多くの“暗号”を映像的にどう処理するのかに注目していましたが、この点に関しては鮮やかなくらいバッサリ斬り捨て(何の悩みもなくいきなり解読)、ストーリーが前に進んで行きます。映画は“本”と違って映像で語る物ですから、この斬り捨ては映画のリズムを保つためには、正解と思いましたが、原作を読んでいない人、ヨーロッパ史&キリスト教に何の知識もない人(マグダラのマリア、ニュートンって誰?聖杯って?)、美術に興味がない人(「最後の晩餐」って何?)はあっけなく置いてけぼりをくらう可能性大。後ろの席のおじさんは中盤から終わりまでいびきをかいて寝ていました。

逆に言うと上記分野に興味がある人には興味深々。謎解きの過程において歴史的な事件がイメージ映像的に挿入されているのですが、きちんと予算をかけて気合を入れて作りこんであり、歴史マニアの心をくすぐる事請け合い。またルーブル美術館がきちんと撮影協力していることもあって、作中重要な役割を果たす「モナリザ」「岩窟の聖母」を始め、多くの名画がおどろおどろしい“夜の美術館”の雰囲気をかもし出しています。「サモトラケのニケ」をシルエットだけで使っているあたりの贅沢さはため息もの。

噂の宗教的なインパクトに関してですが、アメリカの一般的な人にはやはりかなり唐突な結びつきのようで、このあたりはシーンとしていました。カンヌで不評だったというのもこのあたり&黒幕のあっけなさが原因と思われますが、これは原作の持つ欠陥(竜頭蛇尾)ですから映画を責めても仕方がなく、作品としては手堅い出来と思います。トム・ハンクスは語り部に徹し話の進行役、オドレイ・トトゥはフランス女性の硬さが出ていて良い反面、トム・ハンクスとの間に“艶っぽさ”がないのが残念(絶対に別ヴァージョンのラスト=原作に忠実を撮っていると思うのですが)。ジャン・レノ/ポール・ベタニー/アルフレッド・モリーナは手堅いのですが、一番美味しい役はイアン・マッケラン。「ロード三部作」に加えこの作品、来週の「X-Men3」のマグニートといまや最高のマネーメイカー!?

という事で、原作を読んだ人、読んでない人、歴史・美術に興味がある人、キリスト様に思い入れがある人、ない人ではっきり意見が割れるであろうこの作品。ゆえに人の口に上る=この夏最大の話題作なのは間違いありません。これに刺激されてまた原作、更に売れるんでしょうね~(+すでにルーブル美術館は観客増加。更に加速しそう)。ちなみに来年にはラングルトン教授が活躍する新作小説が登場予定。出足好調のようで映画の方もシリーズ化が期待できそうです。

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2006年5月10日 (水)

「ナイロビの蜂」The Constant Gardener

Constantgardenerレイチェル・ワイズがアカデミー賞の助演女優賞を受賞した作品。おお、オメデトーと思ったらなんと巻頭2分で惨殺。ではその後はどうなるかというとこれが、残された旦那・レイフ・ファインズに憑いて彼を闇にいざないます。果たして彼女は夫を裏切ったのか?真実を追う夫は闇の奥に何を見出すのか?

これを美しきラブストーリーととるか(日本での宣伝はそのようですね。アメリカでの宣伝も基本的には同じ)、美しく雄大で、そして残酷なアフリカの風景を舞台にしたサスペンス物(巨匠・ジョン・ル・カレ原作)ととるかは見るほうの自由。異文化の中に白人夫婦が吸い込まれていく感覚は、時代背景は違えど「シェルタリング・スカイ」。また疑惑を抱きながら妻の死の謎を追う点では、スティーブン・キングの小説「骨の袋」を思わせますが、ここで浮かび上がる“闇”は我々が日常付き合っているだけに“幽霊”よりも怖い存在です。

ブラジルの貧民街を舞台にした「シティ・オブ・ゴッド」でアカデミー賞の監督賞にノミネートされたフェルナンド・メイレレスの描くアフリカは「ホテル・ルワンダ」以上にリアルでほとんどドキュメンタリー(監督はブラジル以上に貧しいアフリカの実態にかなりのショックを受けた模様。DVDのコメントより)。そして主役の二人をはじめとした英国俳優陣の重厚な演技が、物語にリアリティを与えていてレイチェル・ワイズの助演女優賞もなるほど納得(幽霊はやっぱり美人が似合うと、個人的には思ってしまいましたが)。

ハリウッド式“カタルシス”や、ロマンス物の“感動”を求めて映画館に行くと手痛いしっぺ返しを食いますが、ずっしりとした歯ごたえのある作品をお求めの方にはぴったりです。

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2006年5月 5日 (金)

ウディ・アレンの新作「マッチ・ポイント」

Mp_220ニューヨーク人ウディ・アレンとロンドンの出会い。この新しい出会いは今年の暮れで70歳になる巨匠にまた新たなる創作意欲をかきたてているようです。

昨年末にアメリカで公開されるや、“近年最高の出来”と評価されたウディ・アレンの新作がこの「マッチ・ポイント」。ウディ・アレンと言えばニューヨーク、ニューヨークといえばアレンなのですが、今回はなんとニューヨークを離れて、ロンドンが舞台。音楽はジャズではなくオペラ。これが影響してかどうか、全編に欝な空気が漂よわせながらも上質なサスペンス映画となっています。

ツアーに明け暮れる日々に疲れプロ・テニス・プレイヤーをリタイアした男・クリス(「ヴェルベット・ゴールドマイン」、そして今週末に公開の「ミュッションインポッシブル3」にも出ているジョナサン・リースメイヤース)。偶然イギリス上流階級ファミリーの友人と知り合い、その姉と付き合うことになって運が開けてきますが、その友人の婚約者である魅力的な、そして危険なアメリカ女性(スカーレット・ヨハンソン)と出会った事から歯車が狂い始めます。マッチ・ポイントに追い詰められたクリスがとった運命の一打とは。そしてその運命のボールは果たしてネットのどちら側にころがるのか。一歩間違えると“火曜サスペンス劇場”になってしまいそうなお話に運命の機微を盛り込みながら、無駄のない乾いた語り口で見せるのはまさに達人の技です。

Matchpoint2その乾いたタッチの中でひときわ光るのがスカーレット・ヨハンソンの艶やかさ。同年代のライバル、ナタリーポートマン、キーラ・ナイトレイ(共に雑誌ヴァニティ・フェアをヌードで飾った記事はこちら)、レイチェル・マクアダムス等と比べてもこの人の色気は重要な武器(まだ21歳)。ブラッカイマー(“アイランド”も去年の作品でしたね)からアレン作品までこなす幅の広さは只者ではありません(ラブコメは似あわなそうだけれども)。

ウッディ・アレンもよほど気に入ったのか、昨年撮影し今年の後半公開予定の新作「スクープ」では、再度主演に起用。ちょっかいを出さなければいいなと思いますが(笑)、これも非常に楽しみです。相手役はヒュー・ジャックマンとの事。

2006/6/25追加:最新作「スクープ」情報はこちら

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2006年4月20日 (木)

今更ながら「スタンドアップ」

North_country_german220この映画の舞台となるミネソタほどノースカウンティ(原題)ではありませんが、私も現在アメリカの工場で働いています。この映画の時代(1991年頃)に比べて勿論あらゆる点で洗練されてはいますが、アメリカの田舎の生活・労働環境は今でも厳しいもの。そこには人生に疲れきったような人たち、週末に下卑たネタを交わしながら酒場で一杯、もしくはフットボールで騒いで憂さ晴らしをすること以外に楽しみのないような人たちが存在しています。

この映画をみて凄いと思ったのは何よりも、その労働者達を演じる端役俳優の層の厚さ。まるでもって本物の田舎の野卑なセクハラオヤジども&肉体労働おばちゃん達にしか見えません。そして、その中に溶け込んで違和感のないフランシス・マクドーマンド!残念ながらアカデミー賞は逸しましたが、この映画のハートともいうべき素晴らしさです。その夫を務めるショーン・ビーン、主人公の両親リチャード・ジェンキンス&シシー・スペイセック、地元出身ながらニューヨーク帰りでちょっと周りとはちょっと違う感じをかもし出しているウディ・ハレルソンもさすがの出来。

ところが肝心の主人公のシャーリーズ・セロンが、どうしても“汚れ”になっていない感があります。そのスタイルの良さを汚い作業着で隠しても、美貌の目の下にくまをつくっても、汚泥にまみれても田舎の炭鉱で働く、ちょいと訳ありのシングルマザーに見えず(歩き方・立ち姿が綺麗過ぎ)。故に無茶苦茶なセクハラ環境に耐えかねてついに立ち上がる女性炭鉱労働者というよりも、綺麗な故にちょっかい出されて逆切れの神経過敏ねえちゃんに見えてしまうのが弱点。

工場労働者がついに立ち上がるという点でサリー・フィールドがアカデミー賞をとった「ノーマ・レイ」を思い出すかたも多いと思いますが、私には弁護士事務所で働くシングル・マザーの奮闘を描き、ジュリア・ロバーツ★にアカデミー賞をもたらした「エリン・ブロコビッチ」を思い起こさせました。エリン=ジュリアが傷つきやすさ、繊細さを見せつつも同時に自身のチャーミングさ、セクシュアリティすら活かすしたたかさを見せ付けたのに比べると、シャーリーズ・セロンはまだまだ硬い感じが抜けていません。既にアカデミー賞はもらっていますが、このあたりで留まらず更に“化けて”行って欲しい気がします。

★シャーリーズ・セロンDVD

昨年9月のエントリー:シャーリーズ・セロンの別れ道1:「ノース・カウンティ(原題)」North Country(別ポスターあり)

★本日4月19日から正式公演が始まるジュリア・ロバーツの産後初仕事ブロードウェイの芝居「Three Days of Rain」につきましてはこちらをご覧下さいませ。
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2006年3月29日 (水)

「プラダを着た悪魔」The Devil Wears Prada

Dwp220ブロークバック・マウンテン」で主要キャスト中、唯一アカデミー賞の演技部門にノミネートされなかったのが“プリティ・プリンセス(Princess Diaries 1/2)”“「Ella Enchanted」”で知られるお姫様女優(「ブロークバック」でもテキサスの姫)・アン・ハサウェイ。裸の体当たりといい、最後の電話での会話シーンで見せる虚空を見ているような表情と言い、決して他のメンバーに劣るような出来ではなく、ひょっとすると今後“化ける”存在かも。

そんな彼女が主演を勤めるのが、ローレン・ワイズバーガー原作のベストセラー「プラダを着た悪魔」の映画化版。ニューヨークのファッション・マガジンの編集長アシスタントとして働くアンドレア(アン・ハサウェイ)の奮戦記。生き馬の目を抜くような激烈な世界に火に油どころではなく、ナパーム弾を炸裂させるような上司(すなわち“悪魔”)ミランダ・プリーストリーを演じるのが、メリル・ストリープ(「アダプテーション」もニューヨークのエディターだったかも)となかなか面白そうな組み合わせ。

この悪魔上司のモデルは、作者のワイズバーガーが実際の仕えていた実在のVogue誌の鬼チーフエディター、Anna Wintour(発音はアンナ・ウィントォアーかな?)である事は周知の事実で、この映画はファッション業界、メディア業界の内幕としても楽しめそう。今年期待の“ニューヨークな映画”
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Dwp1「プラダを着た悪魔」The Devil Wears Prada
分野: コメディ・ドラマ・ニューヨークな映画
米国公開日: 2006年6月30日全米公開
米国版公式サイト: 
米国流通会社: 20th Century Fox
日本公開日: 2006年
主演: Meryl Streep, Anne Hathaway, Tracie Thoms, Adrian Grenier, Simon Baker
監督: David Frankel
製作: Wendy Finerman, Joseph M. Caracciolo Jr

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2006年3月17日 (金)

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」 レビュー

historyof昨年アメリカで公開された映画の中で、「ブロークバック・マウンテン」「カポーティ」等と並び最も評価の高かった(いくつかの雑誌等でBest 1になっている)デビット・クローネンバーグ監督作品(ややこしいのはクローネンバーグ作品に「クラッシュ」という作品があることですね)。ただ流石はクローネンバーグ、暴力描写のキツサ、Sex描写が生々しすぎるなど反発も強く、アカデミー賞作品賞ノミネートは逃しましたが、ノミネート作に比べても遜色のない作品です(映画館で見逃しDVD鑑賞)。

インディアナの片隅の田舎町で家族と共に平凡ながらも幸せな暮らしをおくるトム(ヴィゴ・モーテンセン)。自ら経営するダイナーにある日、強盗が押し入りますが、鮮やかに撃退し、一躍ヒーローに。しかしこの事件を聞いて彼の周りに不気味な黒服の、一目見てよろしくない連中が現れます。トムの過去につきまとう黒い影におののく妻、とまどう息子(自分の高校生活にも暗い影)、何もわからない無垢な娘。

もちろん昔は流れ者、実は正当な王室の継承者をやっていたヴィゴのことですから、只者な訳はありません(ただし王様にはならない)。暗い過去を背負いながら、家族を守るために男は再び銃を取るという構造は西部劇(「許されざる者」風味)、もしくは任侠物。しかしそこはクローネンバーグ、殆どホラーに近い殺戮シーン(DVDの削除シーンに「スキャナーズ」を思わせるシーンあり。残して欲しかった)、生々しいSexシーン(2回出てきますが、そこで夫婦間の関係の変化を表現)を盛り込んで、シンプルかつ奥行きの深い“暴力についての考察”映画となっています。

ヴィゴ・モーテンセンが過去のある男を好演していますが、マリア・ベロがアカデミー賞の助演女優賞候補に入れて欲しかった絶品の妻役。不気味な男を演じさせたらこの上なしのエド・ハリス、知的で落ち着いた物腰でありながら“暴力の匂い”を漂わす男にウィリアム・ハート(たった10数分の出番のこの役でアカデミー賞の助演男優賞にノミネート)と見事なアンサンブル。

面白いのは音楽が「ロード・オブ・ザ・リング(ス)」三部作のハワード・ショアなのでそこはかとなく感じる“指輪残像“。ただ「ロード」では寸止めだった暴力描写がストレートなのでアラゴルン・ファンはお気をつけ下さい。

関連過去記事:
その後の指輪物語・ヴィゴ・モーテンセン 2005年9月24日
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2006年3月13日 (月)

今年最も見たくない映画・「ユナイテッド93」と「ワールド・トレード・センター」

5月8日再追記:4月25日にニューヨークのトライベッカ・フィルム・フェスティバルでお披露目、4月28日からは全米で公開されたこの作品。予想を覆して、評論家からは絶賛に次ぐ絶賛。映画としては非常に優れたものになっているようです。しかしながら個人的にはどうしても映画館に足を踏み入れる事が出来ずに躊躇している次第。迷っているうちに上映が終わってしまいそう・・・(顛末はこちらをご覧下さい)
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4月15日再追記:どうも私と同じように考えている人も多いようで、ニューヨーク・サンフランシスコ等でこの”予告編”に対し、クレームがあったとかでニューヨークの劇場では一部予告編の上映を中止したとか。私も観ましたが、映画館の中で観客が息を飲むのが伝わってきました。興行的な不安が囁かれています。
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3月30日追記:公開を1ヶ月前にして「フライト93」が「ユナイテッド93」に変更となりました。93とは、93便の意味ですから意味的には同じなのですが、アメリカの団結(ユナイテッド)と航空会社(ユナイテッド)を掛け合わせて、いるものと思われます。ポスターには自由の女神、そしてWTC。益々見にいかなくなりそう・・・・(タイトル・ポスター差し替えました)
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常に期待の新作を紹介しておりますこの「USAのんびり亭」映画情報。しかし今年公開の映画の中でどうしても映画館に足を運びたくない映画が二本。4月28日に公開される「フライト93(ここに来て「ユナイテッド93」にタイトル変更説あり)」と、8月11日に公開されるニコラス・ケイジ主演、オリバー・ストーン監督の「ワールド・トレード・センター」。そう、二本とも今年で5年目を迎える2001年9月11日のあの日の出来事を描く映画です。

既にアメリカのTVドキュメンタリーでは何回か取り上げられ、映画としてもマイケル・ムーア監督が、「華氏911」にて、真っ黒が画面で当日の音声だけを響かせるという形で扱い(アメリカの映画館でこのシーンですすり泣きを聞きました)、スコセージは「ギャング・オブ・ニューヨーク」の中で、スピルバーグは「ミュンヘン」の中で象徴としてワールド・トレード・センターを見せています。日本でも既にドラマで取り上げられているそうですから、映像作品としては初めてではありませんが、映画館の暗闇の中で、ノンフィクションの「作品」として対峙するには、まだまだ自分の心の準備が出来ていません。

願わくは、こんな私の懸念を払拭するような、真摯な、そして優れた作品になって欲しいもの。当時「ワールド・トレード・センター」のあった街に住み、今「フライト93」墜落現場の近くに住むものの祈りです。
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United93_220「フライト93」Flight 93
当日の4機目としてワシントンDCを目指していながら、乗客の抵抗により墜落したとされる(今だ撃墜説の消えない)ユナイテッド93便内のドラマを描く作品。

「ボーン・スプレマシー」「ブラッディ・サンデー」のポール・グリーングラス監督が無名の俳優を使い描きます。4月28日公開。配給はUniversal Pictures。公式サイトはこちら:http://www.flight93.net/
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world_trade_center1「ワールド・トレード・センター」World Trade Center
ニコラス・ケイジとマイケル・ペーニャの二人が当日救援に向かいながらビルの崩壊と共に閉じ込められてしまった実在のポート・オーソリティ(港湾局)のオフィサーを演じるのがこの「ワールド・トレード・センター」World Trade Center。

マギー・ギレンホール(ジェイクの姉)、マリア・ベロ(「ヒストリー・オブ・バイオレンス」共演という実力者を揃え、オリバー・ストーンが監督する(それが一番怖い)という話題作ですが・・・Paramount Pictures の配給で8月11日公開。

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2006年3月12日 (日)

ロバート・アルトマンの新作「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」

2006.11.22日追記:
追悼・ロバート・アルトマン「今宵、フィッツジェラルド劇場で」ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン

prairie_home_companion1アカデミー賞の作品賞を受賞した「クラッシュ」を見て、数多くのスターが点と線になって作品中で絡み合うそのスタイルと脚本の素晴らしさに唸った方も多いと思いますが、そのスタイルを生み出した人といえば、ロバート・アルトマン翁。独特の世界を構築し、ハリウッドとは違った道を行くアウトサイダーですが、この人がいなければ「クラッシュ」も「ラブ・アクチュアリー」も「マグノリア」もなかったはず。今年度第78回のアカデミー賞の特別名誉賞を受賞した人です(過去5回監督賞候補にあげられながらも未受賞だった)。

1925年2月20日 、アメリカ合衆国ミズーリ州生まれという事は、只今81歳。「M★A★S★H」「ナッシュビル」「ザ・プレイヤーズ」「プレタポルテ」「ゴスフォードパーク」等数多くの映画を生み出して来ましたが、今だ映画への情熱は衰えずで、その最新作が「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」。

中身はアメリカで最も人気のあったラジオ番組の最終回の舞台裏を描いたドラマ・コメディとの事で勿論出演者は、トミー・リー・ジョーンズ、メリル・ストリープの実力派に加えてウディ・ハレルソン、ジョン・C・ライリー、ケビン・クライン、ヴァージニア・マドセン、リリー・トムリン(常連)といった曲者達が脇を固め、何人かの本人役の有名人、そしてリンジー・ローハンまで出ている超豪華キャスト。こうしたメンバーがどう絡むかを考えるだけで刺激的。本年度のベルリン国際映画祭で絶賛されたとの事で楽しみです。アメリカでは6月公開。公式サイトはこちら・http://www.aprairiehomecompanionmovie.com/     
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2006年3月 2日 (木)

やっと見ました・「レント」RENT

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2005年にアメリカで公開された映画で最も泣けた映画がこの「レント」RENT。

11月に公開され評判はまずまずだったのに、あまりヒットせず(「SAYURI」と逆の意味でSony Pictureの公開方法の失敗かと。知名度に頼っていきなり拡大公開)、見逃してしまっていた作品。発売と共にDVDを買ってじっくり言葉をかみ締めながら見る事が出来、ニューヨークのブロードウェイ版で見たときよりも、言葉が鋭く突き刺さり泣けました(ブロードウェイ版は言葉が早くて追いきれませんでした・・・)。

作品の紹介は昨年8月のエントリー(続きにそのまま再録)にありますが、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を下敷きに、激動80年代が終わり、90年代へ移り変わる時代を背景として、同性愛、異人種間恋愛、エイズ、ドラッグ、貧富の差等のテーマを詰め込んだ「ボヘミアン・ラプソディー(自由な心を持った根無し草達の狂詩曲)」。

主演の8人の内6人はこの作品が、丁度10年前、この作品の生みの親、ジョナサン・ラーソンの命と引き換えにオフ・ブロードウェイで生まれた時(DVD特典映像に素晴らしいドキュメンタリーあり・これが実は作品よりも泣ける)に、同じ役を務めたオリジナルキャスト。映画に向けて数多くの若手をオーディションしたそうなのですが、結局このメンバー達の持つ“相性(英語だと”chemical”)”が決めてとなったとの事。10年の年月がそれぞれの俳優達に“もう若いわけではない”深み・切なさを加えています。

監督のクリス・コロンバス(「ホーム・アローン」「ハリー・ポッター」)に不安を抱いていましたが、この監督も映画の舞台となったイーストヴィレッジで青春を過ごした(NYU卒業生)人で、映画の時代背景を良く理解しておりきっちりと映画を仕上げています。

“ロック・オペラ”としては楽曲が弱い(The Whoの「Tommy」、この映画とは双子である「ムーラン・ルージュ」等と比較して)とか、前半の個々のキャラクター紹介・点描がちょっとたるいとか、ステージに比べると熱気が足りないとか(あたりまえですが)、色々弱点はあるのですが、それを補ってなお力のある作品。最近で最も“ニューヨークな映画”でもあります。

ついに日本でも4月公開が決定したとの事(公式サイト)なので、(私のように)お見逃しのないように。人気blogランキングに参加中。是非ご支援を   banner_02

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2006年2月25日 (土)

本気なんですね、「ロッキー6」Rocky Balboa

Rocky_balboa2202006年7月30日追記:
公開がクリスマスに繰り上がったそうでさあどうなりますか。スタローンはこの作品の後は「ランボー4」を撮るとかで、ここまで来ると第一線復帰をかけての大勝負(キャラクターと本人がかぶる戦略?)。でも、今ランボーの敵は誰?(怒りのアフガニスタン・イラン・・・・いっそ某アジアの独裁国家を相手になんて・・・・)
左はポスター。

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RockyB220もう2月も終わりなのですが、まだまだ来年までは10ヶ月。ちょっと気が早いとは思うのですが、もう2007年の話題を。

噂には聞いていたのですが、やっぱり本気で作っていたのがこの「ロッキー6」Rocky Balboa。1990年時点の「V」の時点で既に引退していたロッキー。なんと本作ではリング復帰との事で、公式サイト(あの主題歌が流れます)・映画公式ブログで公開されているスチルを見ても気合が入っています。脚本、監督、主演は勿論シルベスター・スタローン。

第一作のようにアカデミー賞に輝くのか、それともラジー賞に輝いてしまうのか(スタローンは、史上最多ラジー受賞者)?結果は2008年の3月にわかります(っておいおい)。公開は2007年2月9日。

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2006年2月22日 (水)

フィリップ・シーモア・ホフマン、神領域入ってました、「カポーティ」

capote作家トルーマン・カポーティが、カンザスで起こった一家四人惨殺事件を題材に、犯罪ノンフィクションというジャンルを切り拓いた傑作「冷血」を書き上げるまでを重厚に描いた作品。ご存知のように本年度のアカデミー賞作品賞候補に上がっていますが、作品賞よりも主人公のカポーティを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンが、主演男優賞候補の本命です。

作家というのはまあ変な人が多いのですが、この人は特別。文壇に若き天才として登場し、ニューヨークの社交界の花形に躍り出ながら(ウォーホールと並ぶトリックスター。名門「プラザ・ホテル」等でパーティ三昧。ちなみにゲイです)、行き詰まっていた1959年当時のカポーティ。傲慢かつ小心、冷静にして感情的、正直でいながら大嘘つき、しかし彼から紡ぎ出される言葉は人の心を揺り動かす。そんな複雑怪奇なカポーティの人間像をフィリップ・シーモア・ホフマンが表現しています。面白かったのはなんとなく「羊たちの沈黙」を思わせるところ。この場合怪物なのは犯人ではなく、聞き出す側。様々な映画(個人的には「あの頃、ペニーレインと」のロック評論家・レスターバングス役が大好き)で既に若き演技派の名声を手にしていたホフマンですが、今回のノミネートで40歳前(トム・クルーズより若い)にしてサー・アンソニー・ホプキンスの領域。

今回のアカデミー賞主演男優賞の最大のライバルであるヒース・レッジャー(ブロークバック・マウンテン)とは、ゲイの役柄対決ではありますが、頑張っているな~と思わせるレッジャーに対し、こちらは努力を感じさせないハイレベル。次回作はなんと「ミッション・インポッシブル3」で悪役を演じる訳ですが、年上のトム・クルーズ、危うし。ということは製作者としてのトム・クルーズがセンス抜群という事でもあるのですが。

幼馴染の作家ハーパー・リー(アラバマ物語)を演じるキャサリン・キーナー(「40歳の童貞」のヒロインと同一人物?)、惨殺事件のおきた街の警察官クリス・クーパー、そしてまんまとカポーティに巻き込まれて取材に協力する犯人・クリフトン・コリンズJrと皆、落ち着いた凄みを感じさせるのはやはり監督の技量か。日本公開は「M:I:III」より後の今年の秋だそうです。

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2006年2月21日 (火)

「エリザベスタウン」映画音楽解説

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イン・ハー・シューズ」に続く昨年秋の映画のDVDフォローアップシリーズ第二弾。キャメロン・クロウ監督 オーランドブルーム&キルスティン・ダンスト主演「エリザベスタウン」。

こちらも当初はアカデミー賞候補の呼び声も高かったのですが、賛否両論で失速(個人的には大好き)。でもこの映画のサウンドトラックに関しては好評だったようなので、かなりマニアックな企画ですが、この映画のサウンドトラックを、DVDを見ながら確認致しました。

下記の曲順はエンドタイトルを書き出し、映画を見ながらどのシーンで流れていたかを確認したもの。上にあるように、サントラは3種類出ていますので、どれに収録されているのか、未収録かを記載してあります。かなり長くなりますので、気合をこめて”続き”をご覧下さい。

★購入には是非こちらをご利用下さい(続きの中のAmazonへのリンクはアフィリエイトは関係ありません)。
エリザベスタウン・Vol1    エリザベスタウン・Vol2    エリザベスタウン・スコア

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2006年2月17日 (金)

「イン・ハー・シューズ」 In Her Shoes やっとレビュー

inhershoes2やっとDVDで観ました「イン・ハー・シューズ」(昨年9月に記事を書いて見ていませんでした。TB&コメントも沢山頂いていたのにすみません)。最初の頃はアカデミー賞候補と言われながらも、いつの間にか沈没していってしまった作品ですが、どうしてどうして十分心にしみる一本。以下日本でももう劇場公開もとっくに終わっているので、DVDでこれから見る方向けガイド。普段より多めにネタばれ含みます。

キャメロン・ディアス扮する、主人公の名前が「マギー・メイ」。アメリカのラジオでは今も尚かかり続けているこの名曲は、少年から見た年上のあばずれ、でも自由な心を持った最高にいい女に向けて、「お前の顔なんか一生見たくない、でもいまでも愛している」と歌うロッド・スチュワートの最大のヒット曲です。という事でアメリカの観客には名前だけで、どんな女性なのか説明十分。自由奔放に見えて孤独を抱えた女性。

そして姉のローズ(トニ・コラット)は都会(フィラデルフィア**)のバリンバリンのキャリア女性。地味に見えますが「Sex and The City」とも共通する、親しい友人も男もいないわけじゃないけど、キャリア中心で孤独な女性(シャーロットに近いかな?と思っていたら後半なんと老人ホームで年寄りが揃って“コスモポリタン”を飲みながら「Sex and The City」見てました。それもシャーロットのUp。○○○人と結婚するのも似ている)

そして不幸な出来事により、家族と引き離されてしまったこの二人の祖母エラがシャーリー・マクレーン。フロリダの老人ホームで仲間に囲まれのんびり暮らしているように見えて、こちらも孤独。映画はこのタイプの違った3人の女性の孤独とその氷解を描いていきます。

その橋渡しをするのが“靴*”。ここでは単に相互理解だけではなく、個々のキャラクターの違いも表しています。DVDの解説を見てさすがと思ったのは、それぞれの家に飾られる画、そして写真。エラの家とローズの家に掛けてある画が同じ!世代を超えて同じように孤独を抱えている事がわかる仕組みになっています。

カーティス・ハンソン監督(「LAコンフィデンシャル」「8 Mile」)は、過去にも色々な人の演技のベストを引き出してきましたが、おばあちゃん、おじいちゃんたちが皆、愛嬌があって、かつそれぞれがそれぞれの人生の重みを感じさせてくれるように、ここでは脇役の端々に至るまで自然な演技を引き出していて、唸らされます。キャメロン・ディアスは自分自身のキャリアUp&打倒・シャーリーズ・セロン(?)を目指して大奮闘。でも、トニ・コラットやシャーリー・マクレーン***に比べるとまだまだ?しばらく新作がない(現時点では2007年の「シュレック3」の声の予定のみ)のが、残念。

こうした人間ドラマは映画館で見ると気がつかない点も見えてきます。是非DVDでじっくり味わって下さい。

*in …'s shoes 人の身になって.:続きに簡単な説明あり。

**トニ・コラットとフィラデルフィア:そういえば彼女の「シックス・センス」もフィラデルフィアで、こちらも息子との理解、そして自分自身の母親との和解がスパイスになっていました。「ロッキー」ごっこを見るとフィラデルフィアだなあと思います。

***ブロードウェイで伝説の演出家・コリオグラファー・ボブ・フォッシーに見出され、映画界ではシナトラ・ディーンマーティンのいわゆるラット・パックのメンバーに可愛がられ、ビリー・ワイルダー等の巨匠と仕事をし83年にはアカデミー賞受賞(「愛と追憶の日々」)。TV、舞台で活躍もしながら精神世界・輪廻転生系の本をベストセラーに(元祖自分探し)。70歳を向かえてなお、2005年には、「奥さまは魔女」でニコール・キッドマン、この映画ではキャメロン・ディアス、「ルーモア・ハズ・イット」ではジェニファー・アニストンといった第一線の女優たちと共演する現役ぶり。歌って踊って演技をして本も書くアメリカの人間国宝。ウォーレン・ビューティは弟。

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続きに昨年9月に書いたプレビュー記事を写真以外引越ししていれてあります。

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2006年2月 5日 (日)

「ナチョ・リブレ」Nacho Libre プレビュー

2006.8.9追記
7月に見たのにやっとレビュー(というか追加情報)書きました。こちらをご覧下さい。日本では「ナチョ・リブレ 覆面の神様」として近日公開。

nacho_libre1「スクール・オブ・ロック」の脚本マイク・ホワイトと「バス男」こと「ナポレオンダイナマイト」の監督ジャード・ヘス、そして「キング・コング」でまじめな一面を見せたジャック・ブラック組んだ最新作。

昼は牧師をしている主人公・通称ナチョ(ジャック・ブラック)が孤児院の資金の為に、夜は隠れてメキシカンレスラーとして活躍するというストーリー。何だか実際にあった話(メキシコで実際に牧師とレスラーの兼任をしていた人あり)とタイガーマスク(伊達直人!)みたいな話ですが、これはばりばりのコメディでしょう。夏の超大作群に囲まれて意外や意外のヒットになってくれるかも。期待の一作。

この「ナチョ・リブレ」の元になっている「ルチャ・リブレ」とは?
スペイン語の「自由への戦い」を意味し、同時にメキシコのプロレス自体を差す言葉。日本のような妙にシリアスでもなく、WWEに代表されるアメリカ・エンタテイメントでもない独自の発展を遂げたその独特の世界。懐かしの“千の顔を持つ男”ミル・マスカラスや国民的英雄デル・サントに代表される覆面レスラーと華やかな飛び技、そして独特の関節技が特色。続きに作品情報あります。

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2006年2月 4日 (土)

「サンキュー・フォー・スモーキング」Thank You For Smoking プレビュー

thank_you_for_smoking1その名も“ビッグ・タバコ”というタバコ会社のニック・ナイラー(アーロン・エックハート)は、現代アメリカの狂気の禁煙者弾圧に立ち向かうやり手広報マン、でも家庭では立派な父親たろうとしている、そんな彼の奮闘を描く、社会派コメディ。日本でも出版されているクリストファー・バックリー原作「ニコチン・ウォーズ(原題は映画と同じ“Thank You For Smoking”)の映画化。

日本では知られていないアーロン・エックハート(「エリンブロコビッチ」の髭面ボーイフレンド、「ペイチェック」の悪役、「コア」の主人公)ですが、期待の星。ちなみにこの映画で現トム・クルーズ妻ケイティ・ホームズとのからみがあったそうなのですが、トム・クルーズから横槍が入ってカットされたそうな(真相は不明・監督は「技術的な原因。ケイティの裸が観たければ“ギフト”を見れば」と言ったとか)。ロバート・デュバル、ウィリアム・H・メイシー、マリア・ベロ、サム・エリオットという曲者たちが脇を固めています。続きに作品情報。

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2006年1月22日 (日)

古典的恋愛悲劇「ブロークバック・マウンテン」 (レビュー)

3月10日追記:結局作品賞、とれませんでした(詳細こちら)。これは「ハリウッドの保守性」との声も高いのですが、どうもそうではなく(真に保守ならば今回はクルーニー、ホフマン、そして「クラッシュ」の受賞はないと思います。ハリウッドも一大ゲイ・コミュニティだし)、あまりに前哨戦で勝ちすぎて反発を食ったように感じています。「クラッシュ」に票を投じた会員も勝つとは思っていなかったらしい(笑)。
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ご存知、現在アメリカの各映画賞を席巻し、アカデミー賞へ文字通り最短距離にあるのがこの「ブロークバック・マウンテン」。「ゲイのカウボーイ」という禁断の愛を描く映画のどこがそれほどの評価になっているのかと日本で話題になりはじめましたが、理由は非常にシンプル。それは映画として素晴らしいから。

Brokebackmountain11963年のワイオミングの雄大な自然を背景に、結びついて行く二人の若きカウボーイの心、そして肉体的に結ばれる二人。しかし当時の社会では決して結ばれる事のない禁断の愛。意にそまぬ結婚、再会。会えないつらさ、もどかしさ、切なさ。取り残される家族の悲しみ。20年の歳月、そして訪れる悲劇。

日本の紹介記事等では“ゲイの問題を描いた作品”というような、言われ方もされていますが、ここでは“同性”であることはかつての国境や人種の壁、貧富の差(家柄の違い)、年齢の差といった恋愛映画を成立させるための“壁”。その意味でこの映画は“ゲイの映画”ではなく、実は古典的恋愛悲劇。美しい自然を捉えた映像、美しく切ない音楽、ドラマチックかつ淡々と進んでいくそのストーリー、そして主演のヒース・レッジャー、相手役を務めるジェイク・ギレンズホール、ヒースの妻役ミシェル・ウィリアムス、ジェイクの妻役アン・ハサウェイの4人の演技が素晴らしいのですが、何よりの功績はこうした要素を組み合わせて、この繊細かつ大胆な恋愛映画を成立させた監督アン・リーの手腕かと思われます。

様々な賞を獲得して、映画としての質の高さが浸透しつつあり、先週末の映画館は比較的高年齢層のカップル姿が目立ちました。興行的にも限定公開から徐々に公開映画館数を増やして、今後益々多くの観客を集めそう(同じ日に限定公開を開始した「SAYURI」も狙っていた戦略だったのですが、ここに両者に大きな差が。この限定公開戦略につきましてはこちら“ 「SAYURI」、アメリカの興行で苦戦”をご覧ください)。今後アカデミー賞のノミネートを経て今年上半期の話題の中心になると思われます。

なかなか映画館に入りにくいとは思いますが(笑)、是非劇場へ。胸に染み入る作品です。

過去紹介記事: 「ブロークバック・マウンテン(原題)」Brokeback Mountain(2005年9月13日)

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2006年1月15日 (日)

「SAYURI」、アメリカの興行で苦戦

memoirsofageishaアメリカのビジネスで「SAYURI」こと「MEMOIRS OF A GEISHA」が苦戦しています。公開5週で約40M(日本円で約48億円程)で、このままだとどうやら最終的には$50M(約60億円)程度にとどまりそう。制作費が$85M(大雑把に100億円)と見られていますので、海外での興行収入が同程度かプラスだったとしても、制作費の回収は厳しい状況ではないでしょうか(北米で制作費と同等の興行収入があれば、海外収入、DVD等の収入を見込んでほぼイーブンと言われる)。

アメリカでは当初より興行面での危惧がされていました。原作は超ベストセラーでしたが、異国の特殊な文化、社会を描いた文芸作品で、アクション、セックス等の刺激的要素は少なく、また登場人物がほとんど日本人であって、これを演じる事ができる“大スター(知名度ではなく、”客が呼べる“)がいないこと等がその理由です。一度はスティーブン・スピルバーグ*が監督に決定、無名の新人リカ・オカモトをさゆり役に、マギー・チャンを豆葉役に選んだかかわらず結局撮影開始に至らなかったのは、こうした問題が解決されなかったからと思われます。こうした中、一時はスパイク・ジョーンズが監督(していたら、元妻ソフィア・コッポラの「ロストイントランスレーション」みたいになっていたかな?)するという話が出ていましたが、これは立ち消え。

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2006年1月 6日 (金)

スピルバーグの危険な賭け:「ミュンヘン」Munich レビュー

munich冗談ではなくスピルバーグの最高傑作。

ユダヤ人のスピルバーグがパレスチナ問題に関わる事で、大きな落とし穴を掘るのではと見ていた人も多いのですが、「作品」を持ってその声に対峙した作品。どちらかと言えばイスラエル関係者から非難の声が上がっている(そりゃ、当時のゴルダ・メイアイスラエル首相が登場し、非合法報復行為を決断・指示するシーンがあるのですから)問題作ですが、現時点で2005年のベスト10に軒並み名を連ねている点から見ても、スピルバーグはこの賭けに勝ったのではないでしょうか。

個人的にはスピルバーグには表現者としての色が強く出た「シンドラーズ・リスト」、「プラーベート・ライアン」といった作品より、「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」、そして「宇宙戦争」といったB級テイストの作品に最新の表現技術を組み込んだ職人的作品群に愛着があります。しかしこの映画は今日の世界でも最も扱う事が難しい中東問題、テロリズムといった問題に対して、どうしても発言したい表現者としてのスピルバーグを、映像職人としてのスピルバーグがうまく支える形で新たなる高みへ登っています。

内容は1972年に発生し、中東紛争の分岐点となったパレスチナ・ゲリラによるミュンヘン・オリンピックのイスラエル選手団の殺害事件が全ての基点となります。映画はその報復のためにイスラエル政府によって組織され、同時にイスラエル政府からは“存在しない存在”として扱われた5人の男達の物語。彼らのプロフェッショナルな暗殺活動を描く部分は“人一人を殺すことの重み”を伝えるべく描写はリアル(すなわち残虐)、かつ目標達成の過程はスリリング(新ジェームス・ボンド役に決定したダニエル・クレイグがメンバーの一人を演じているのは洒落?)。アクション映画として見ても一級品でこのあたりは職人スピルバーグの面目躍如。

ここで描かれる“ターゲット”は大体が、裕福で教養もあるアラブ人達(そもそも本当にミュンヘンの襲撃に関わったかどうかもはっきりしない)。当初はミュンヘンで殺された同胞の復讐心もあり、高揚感にも突き動かされていたメンバー達も次第に、生身の人間の返り血を浴びて、冥府魔道に落ちて行きます。映画はだんだんとアクション映画の領域を超え、表現者としてのスピルバーグが伝えたかった重厚な“テーマ”が姿を現します。

テロリストを追うものがまたテロリストになり、追うものは追われるものと成り、そして報復が報復を生み出していく。この憎悪の雪だるまが転がる先に建っているのは天にそびえる二本の巨大な塔、そして日常の中に、テロの恐怖を内在した我々が今暮らしているこの世界。言葉でなく映像を持って語らせる(それも思いっきりわかりやすい)所は、表現者スピルバーグの真骨頂。

TimeCover1 ”Time誌”インタビューを読むと途中で偶然起きる“対話”等に“希望”を含ませているとの事ですが、どうでしょうか、私にはラストは希望ではなく、永遠に続く絶望に感じられたのですが。ローリング・ストーンズの名曲「悪魔を憐れむ歌」で悪魔が囁く「結局の所、ケネディ兄弟を殺したのも俺とお前じゃないか」が頭の中でリフレインしています。

過去記事: 「ミュンヘン」Munich (予告、その2) 2005年12月10日
「ミュンヘン」Munich 2005年11月 9日

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2006年1月 5日 (木)

「クラッシュ」Crash レビュー

3月10日追記:なんと本年度のアカデミー作品賞に輝きました(詳細こちら)。本命の「ブロークバック・マウンテン」が破れ、この作品が勝った事で、「ハリウッドの保守性の証明」との声も高いのですが、「クラッシュ」をご覧になったかたならお分かりの通り、この作品もそんな保守的な作品ではありません(真に保守ならば今回はクルーニー、ホフマンも受賞はなかったかと思います)。でも「クラッシュ」に票を投じた会員も勝つとは思っていなかったらしい(笑)。
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crashロスアンゼルスは全てが溶け合い融合する“るつぼ”ではなく、混ざり合いながら決して一緒にはならない“サラダボウル”。ニューヨークは路地一本、地下鉄、バスの簡単な間違いで貧富、人種の壁を実感しますが、ロスアンゼルスは基本的に住み分けは出来ていて、車でそれぞれの領域内に踏み込まない限り日常の中で壁を意識する事はありません。しかしLA在住時の1992年に人種間緊張の高まりの中で暴動が起きたとき、普段出来ている壁が脆くも崩れ去ってしまうのを目の当たりにし、なんと我々の住む日常とは脆く儚い物かと実感した事を思いだします。

この「クラッシュ」Crashは、映画というメディアを使って、あのLA暴動の時に露になった人種間、貧富の差の壁を追体験させてくれるような作品。36時間という限られた時間とLAという限られた空間の中で、高級住宅街ブレントウッド(O.J.シンプソン事件が起きた場所)に住む野心的地方検事とその妻、ペルシャ系アメリカ人雑貨店主とその家族、アフリカン・アメリカン&ヒスパニックの刑事コンビ、アフリカン・アメリカンTVディレクターとその妻、アフリカン・アメリカン・カージャックコンビ、韓国人初老カップル、正義心の強い新米警官と17年目のベテラン(人種差別主義者)といった、ある意味ではありふれたLAの人間群像の人生が、交通事故(クラッシュ)というLAでは日常的な出来事をきっかけに交錯、激突(クラッシュ)します。

2005年5月に公開され、評価は上の下くらいだったものが、観客から口コミで支持され5500万ドルと言うヒットになったこの作品は、「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家・ポール・ハギスの監督デビュー作(原案、共同制作、脚本兼任)。全ての登場人物に善悪では割り切れない複雑さを持たせながら、それぞれの話を交錯させて見せる手腕は鮮やかで、これからが楽しみな監督。「ホテル・ルワンダ(日本での公開が被る?)」のドン・チードルが刑事役+共同製作兼任、新婚サンドラ・ブロックが新境地、そしてマット・ディロンがベテラン警官役で複雑な演技を見せ、アカデミー助演男優賞候補の声も出ています(作品賞は競合多数で厳しくなってきましたが)。 3/10修正・お恥ずかしい。

クリスマスが近い群像劇(それぞれが関係アリ)といえば「ラブ・アクチュアリー」ですが、こちらはやはりLAが舞台の群像劇と言うことで「マグノリア」のテイストに近い映画(あれよりシンプル)。「マグノリア」とは違ったあり得ないものが降ります。マーク・アイシャムの音楽にもご注目を。

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2005年12月14日 (水)

「ドリームガールズ」Dreamgirls (予告)

2006年10月22日:
キャラクター・ポスター登場。
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2006年10月7日追加:
アカデミー賞候補の呼び声も高く、年末期待の一作。ポスターも登場しました。
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dreamgirls「シカゴ」の大成功がきっかけとなり、この所、ブロードウェイ・ミュージカルの映画化が続々。昨年末には「オペラ座の怪人」が映画化されましたが、今年は「RENT」、そして「ザ・プロデューサーズ」が公開。来年はというと・・・・何と2006年12月22日公開という事で「ドリームガールズ」登場。主演はビヨンセ・ノウルズ、ジェイミー・フォックス、そしてエディマーフィ、ダニー・グローバーという豪華アフリカン・アメリカン共演。

これがどんな話かというと、3人の才能ある女性が、The Dreamettesというヴォーカルグループを組み、コンペその才能が認められ、James “Thunder” Earlyというシンガーのバックアップ・コーラスとなり、これをきっかけに本格的な成功の階段をかけ上げって行くがしかし・・・というもの。元々のお話がシュープリームスをモデルとしていると言われていますが、ダイアナ・ロスにあたる主人公役をビヨンセが演じます。とすると、オールドファンならばシュープリームス-ダイアナ・ロス、新しいファンならば当然ディステニィーズ・チャイルド-ビヨンセの関係を思い浮かべるわけで、これは非常に上手いキャスティング。James “Thunder” Earlyを演じるのがエディ・マーフィ、マネージャーを演じるのがジェイミー・フォックスという事でこのコメディアン出身の二人の共演も非常に楽しみ。
今から1年も待たなくてはいけませんが、情報があればまたアップデートしていきます。

監督:Bill Condon
主演:Jamie Foxx, Beyonce Knowles, Danny Glover, Jennifer Hudson, Eddie Murphy
米国公開:2006年12月22日
予告編: 「ドリームガールズ」Dreamgirls

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2005年12月11日 (日)

「ミュンヘン」Munich (予告、その2)

TimeCover1スティーブン・スピルバーグ監督の最新作「ミュンヘン」が話題を呼んでいます。今週の「TIME」の表紙を、スピルバーグが飾ると共に“Spielberg’s Secret masterpiece(スピルバーグの隠された傑作)”という記事、本人の独占インタビューを掲載しています。ワーナーと同じメディア系列の「TIME」が、別グループ・ユニヴァーサル製作の「ミュンヘン」を、巻頭で紹介するという事自体が、この映画の持つ社会的なインパクトの強さを物語っています。またベイエリア在住の映画評論家町山智浩さんの「アメリカ日記」というブログでは、「2005年に観た映画ではベストワンだ。とにかく強烈で、壮絶な映画だった。」と紹介しています。アカデミー賞でも本命視する声が出てきています(関連記事こちら

ユダヤ系アメリカ人スピルバーグがイスラエルのパレスチナテロリストに対する復讐を描くこの映画が、勧善懲悪、イスラエル万歳になっているのではないかという懸念が、製作の発表以来常に付きまとってきました。これに対し、スピルバーグは徹底して作品そのものを見て欲しい、作品が全てを語るとの態度でメディアに接し、インタビューも今回の「TIME」誌のみとのこと。

作品は勿論勧善懲悪映画ではなく、この中東紛争の分岐点となったパレスチナ・ゲリラによるミュンヘン・オリンピックのイスラエル選手団の殺害事件と、その影響を描くことにより、テロリストを追うものがまたテロリストになっていく、そして報復が報復を生み出していく911以降の現在を照射した作品となっている様子。その為の暴力描写が「セービング・プライベート・ライアン」の如く、リアリスティックになっているとの事で、このあたりはまた議論を呼びそうです。

米国内では12月23日に大都市部でまず公開し、新年6日から拡大公開。日本でも2月の上旬には公開されるとのこと。ただ今、この映画見たさに都市部への年末旅行を考え中です。是非まずは重々しい予告編をご覧下さいー>こちら

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続きに11月9日の紹介「その1」あり。

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2005年11月27日 (日)

「迷い婚-全ての迷える女性たちへ-」Rumor Has It(予告)

2006年3月22日追記:
日本公開タイトルが「迷い婚-全ての迷える女性たちへ-」と決定、5月下旬から公開との事で「ルーモア・ハズ・イット(原題)」から改定しました。しかし・・・・このタイトル、???レヴュー近日。

rumor_has_it1ロバート・アルトマンの「ザ・プレイヤーズ」で「卒業2」の話が出てきたのを憶えていますか?この「ルーモア・ハズ・イット(原題)」Rumor Has Itは、「卒業」にまさにインスパイヤ(触発)されて生まれた物語(製作途中まで「卒業2」と呼ばれていた)。以下予告編で告げられる程度のネタバレを含みますが、この映画の場合「卒業」を知っているかどうかで全く見方が変わると思いますので。

結婚を目前にした女性(ジェニファー・アニストン)が実家に戻って知る家族の秘密。それは映画「卒業」のストーリーが自分のファミリーの歴史に基づいていた、すなわち、ミセス・ロビンソン(故アン・バンクラフト*が演じた)が自分のお婆ちゃん(シャーリー・マクレーン)、亡き母がエレイン(「卒業」ではキャサリン・ロスが演じた)だったのではないかという疑惑。そして彼女の前に現れる魅力的な初老の男性(ケビン・コスナー)。しかし彼こそが祖母の浮気相手で、母と駆け落ちした男性(ベン=「卒業」ではダスティン・ホフマンが演じた)ではないのか?彼に引かれていくのは運命なのか、血のなせる業か?一歩間違うとどろどろに成りそうなドラマを、「恋人達の時間」「ミザリー」「スタンドバイミー」のロブ・ライナー監督でコメディに仕上げている模様。

JAGCcover「Story of US」「North」「Alex & Emma 」等最近こけ続きのロブ・ライナー監督、最もセクシーな男性(1990年初め)は今何処のケビン・コスナー、そして「フレンズ」が終了、夫婦生活も終了してしまったジェニファー・アニストンにとっては非常に重要な作品。特に常にブランジェリーナ(元夫ブラット・ピット&アンジェリーナ・ジョリー、「Mr.&Mrs.スミス」の項目参照)と比較されるアニストンにとっては先日の「ディレイルド」に続く逆襲です。(右は最新の「GQ」誌の表紙。映画の宣伝に気合が入っています)

70代にして大暴れのシャーリー・マクレーン(インハーシューズでアカデミー賞の噂あり)、最近メグ・ライアン(「イン・ザ・カット」)、リース・ウィザスプーン(「ジャストライクヘブン」)、ジェニファー・ガーナー(「13 Going On 30」)、次回作ではサンドラ・ブロックの相手を勤める売れっ子マーク・ラファロというキャストを加えての、この勝負作、どう転びますか。全米でクリスマス当日公開。

*本年6月に73歳で癌の為、逝去。ミセス・ロビンソンだけではなく、「奇跡の人」のサリバン先生も忘れてはいけません(この役でアカデミー賞受賞)。映画「愛と喝采の日々」でシャリー・マクレーンとぶん殴りあいをしてました。旦那は「プロデューサーズ」のメル・ブルックスというまさに“女優一代”。葬儀ではポール・サイモンが「ミセス・ロビンソン」を弾き語りで彼女に捧げたとか(涙)。

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続きに作品情報あり。

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2005年11月25日 (金)

「ホテル・ルワンダ」Hotel Rwanda 祝!日本公開決定

「ハリーポッター」は1週間、昨日ご紹介の「Mr.&Mrs.スミス」は公開まで日本公開まで半年でしたが、この「ホテル・ルワンダ」は1年以上(2006年新春第二弾映画としてシアター渋谷Nにて公開)、それも「ホテル・ルワンダ」日本公開を応援する会の活動によって、やっと公開にこぎ付けた作品(関係者の方の努力には頭がさがります)。「オーシャンズ11&12」で共演しているブラット・ピットとドン・チードルがそれぞれに主演していますが、“映画“の多様性、メディアの扱いの違いを比較するのも一興。

hotelrwanda1映画概略
フツ族・ツチ族部族対立問題を抱えるアフリカの小国ルワンダ(双方の部族には大きな身体的違いはない)。1994年に起きた大統領殺害事件に端を発し、人口の85%を占めるフツ族が15%のツチ族に対する大虐殺を開始。数ヶ月に渡る狂気の後には、80~100万人のツチ族の死体が残されていたという。

国中が狂気につつまれる中で、自身はフツ族でありながら、ツチ族の妻(ソフィー・オコネドー・この役でアカデミー賞助演女優賞ノミネート)を持つ外資系リゾート・ホテル(ゴリラを見に行くツアーが売り)の副支配人ポール・ルセサヴァキナ(ドン・チードル・この役でアカデミー賞主演男優賞ノミネート)はどう行動したのか?彼とその家族、そしてホテルに駆け込まざるを得なかった1200人ものツチ族の人々達にどんな運命が待っていたのか?

ポールの活躍は、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人の命を救ったオスカー・シンドラーや、杉原千畝氏と比べられています。しかしこの映画が“良心的作品”だから皆、日本公開に動いたのでしょうか?いえ、この映画は“映画”として一級品だからこそ、人々を動かしたと考えます。

ポールの場合は、固い信念に基づいての行動というより、家族を守ろうとしてとった行動が、結果として大きな違いを生み出していきます(基本的には家族最優先)。狂気と混沌の支配する中で目的を果たす為に、ホテル内部においてはプロフェッショナルに仕事をこなす厳格な管理職、外に対しては時に汚い手も使う口八丁、手八丁のやり手であった点が、非常に人間的でリアリスティック。家族のことを思って始めた事が徐々に引くに引けない状態に、そして多くの人々の“命”に対して大きな意味を持つようになっていく、そんな様をシンプルかつテンポ良く描いています(監督も兼ねるテリー・ジョージとキアー・ピアーソンが、アカデミー賞脚本賞ノミネート)。

また真実の持つ重厚感を再現し、いつの瞬間に、主人公が、家族が、ホテルの人々が命を落としかねないその緊迫感は、劇場公開映画としても一級(=お金を払って見る意味あり)。脚本+チードル・オコネドーの演技がアカデミー賞にノミネートされたのは、伊達ではありません。私の個人的な2004年公開作品Top5にも入るパワフルな作品。

良い人だけれども、混乱時には無力な国連軍大佐を演じるニック・ノルティ、同じく現実の前にはなすすべもない優秀(そうな)ジャーナリスト・ホキアン・フェニックス、そしてポールとホテルの危機に現実的な手段で対応するベルギーのホテル本社の、その親会社サベラス航空社長を演じるジャン・レノの3人がホテル-外部世界/ルワンダ-西側世界の関係を象徴していて、それぞれ印象的。

ちなみに“世界の警官”アメリカはこの事態にどうしていたかというと、前年のソマリア派兵の失敗(映画「ブラック・ホーク・ダウン」に詳しい)から、介入を躊躇していました。映画の中では武器供給者として中国とフランスの名前があがっています(「ホテル・ルワンダ」はイギリス、南アフリカ、イタリアの共同制作)。

是非映画館で見て欲しい一本です。

「ホテル・ルワンダ」日本公開を応援する会
アメリカ公式サイト

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2005年11月22日 (火)

「リバティーン」 The Libertine(予告)

4月20日日本公開記念追記:
あのぅさんのご指摘の通り、殆どのメディアでボロカスに叩かれたこの作品(Entertainment Weekly誌はFつけてました、絶賛はRolling Stone誌だけだった?)。興行的には昨年末の公開から4月16日までで5億円ちょっと($4,829,497 /IMDb)という惨敗です。でも”チャーリー”や”パイレーツ”に出ても、なおこうした”アート作品”にきちんと出続けてくジョニデのバランス感覚は若手随一。日本での評価は如何でしょうか?
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libertine1ジョニー・ディップの新作「リバティーン」の前評判が高い。最新のローリング・ストーン誌の作品評価で★★★1/2で、ジョーニーディップのアカデミー主演男優賞の可能性が論じられています(対抗は「カポーティ」のフィリップ・シーモア・ホフマンか、「ブロークン・フラワーズ」のビル・マーレイか?)。

この映画は17世紀イギリスに実在した詩人、風刺家、兵士、国王の寵臣にして放蕩の限りを尽くしたジョン・ウィルモート・ロチェスター伯爵(ジョニー・ディップ)を描いた戯曲の映画化。舞台でロチェスター伯を演じたジョン・マルコビッチが、国王チャールズ2世役に回り共演。ジェニデVSマルコビッチ、これだけで期待十分。

内容的には伯爵の男女問わずの性的アドヴェンチャーを描いており、退廃的な雰囲気の内容になっている模様で、「チャーリー」と「パイレーツ」しか知らないジョニデ・ファンにはびっくりかも。でも「デッドマン」や「ブロウ」等の彼を知っている人には魅力全開のはずで、最近のファンには実力を知らしめる絶好の機会。「パイレーツ」の続編と共に2006年もまたジョニデの年になりそう(ジョニー・ディップ個人紹介記事はこちら)。続きに作品情報と予告編へのリンクあります。週末公開なのに未だレイティング未定は結構もめているのかも?

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2005年11月20日 (日)

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(レヴュー、ネタバレ無し)

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昨日金曜日から全米3,858館で公開され初日に36M(約40億)を稼いだ. 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」をついに見てまいりました(過去紹介記事はこちら。それぞれ別ポスターあり その1その2その3)。

ご存知の方も多いと思いますが、今回アメリカでこの映画のレイティングは今までのPGからPG-13(13歳未満鑑賞禁止ではなく、13歳未満者の鑑賞には保護者の付添いが必要)となりました。理由は「暴力シーンと怖い映像を含む」という事ですが、決定的なのは今回至るところに“死”の影がちらついていること。オープニング、水の中のシーン、迷宮に巻き込まれるイメージ、そして復活する“悪”と対峙するクライマックス、痛ましい犠牲者。確かに小さな子供が見たら悪夢となりそうなシーンが続きます(途中までコミカルなシーンで笑い声が起きていた館内が、後半は水をうったかの如く静まりかえりました)。

もちろん“死”だけではなく、それぞれの自我の目覚めから“ジェラシー”や“恋(今回の映画の重大要素)”といった要素が加わり、“変化”がやってきます。もう昔には戻れない痛み。成長するとは、かくも厳しくほろ苦いものなのか。ハリーはそれを受け入れる事が出来るのか?今や児童文学の領域を超え、新時代・新世代の「スター・ウォーズ」サガ(「スターウォーズ」の影響はローリングも認めています)。

映画としては、膨大な原作を2時間半につめこみ、ジェットコースターの如くの怒涛の展開でまったく飽きさせません(終了後にはかなりの拍手が。新監督・マイク・ニューウェル鮮やか)。見終わった瞬間に続編「ハリーポッターとフェニックスの騎士団」が見たくなります。

■最近知ったのですが、第一作の監督にJ.K.ローリングはテリー・ギリアムを推薦したのだとか(「Entertainment Weekly」のギリアム本人のインタヴューから)。テリー・ギリアム版「ハリー・ポッター」。それは見てみたかった。ギリアムの最新作「ブラザース・グリム」と見比べて見るのも一興。

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2005年11月18日 (金)

「グッドナイト・アンド・グッドラック」Good Night, and Good Luck(レヴュー)

goodnightアメリカの政治、社会、そしてメディアの暗黒の歴史である「赤狩り」の時代(1950年代)、そしてその推進者だったジョセフ・マッカーシー上院議員。誰もがその恐怖に声を上げられなかった時代に、声を高らかに反旗を翻した伝説のCBSのTVキャスター・ジャーナリスト、エドワード・R・マルロー(デビット・ストラザーン)と彼と共に戦った男たちを描く骨太の社会派ドラマ。現時点で2006年のアカデミー賞の有力候補と目されています。

エドワード・R・マルローについては、その後の時代のジャーナリズムに大きな影響を与えた存在(特にヴェトナム戦争報道のあり方に大きな影響をもたらした)として、名前は知っていましたが、なるほど、こんな時代と番組(See It Now)があったのだという事実の重み、そしてTVというメディアを活用した対決の迫力に、知的興奮を味わいました。「ジャーヘッド(湾岸戦争を描いてイラク戦争と変わらぬ戦争の真理を語る)」に続き、過去の事例(赤狩り)を描きながら、現代の問題(ブッシュの時代の閉塞的なメディア状況)について映画を使ってコメントするという手法。アメリカ映画はまだまだ捨てたモンじゃありません。

転換時に流れるダイアン・リーブスのしっとりしたJazzナンバーが時代の空気を伝える中、マルローを演じるストラザーン、彼を支える辣腕プロデューサーにジョージ・クルーニー(監督も兼ねる)、番組制作スタッフにロバート・ダウニーJr、ジェフ・ダニエルズ、そして紅一点パトリシア・クラークソン。苦悩する社主にフランク・ランジェラといった俳優達のアンサンブルで魅せてくれます。で、肝となる“悪役”マッカーシーを誰が演じているかは是非、公開まで知らないほうが良いかと。何故この映画を白黒でとったか、腑に落ちます。二作目にしてクルーニー監督、堂々たる風格。

ほとんどがスタジオの中で起き、セリフが多い点など(英語の聞き取り能力がもっとあればと痛切に反省)密室劇、舞台劇の趣あり(11/19追記:監督・クルーニーとしては、当時の”生”ドラマ、”生”ラジオドラマの迫力と緊迫感を再現したかったとの事。なるほど納得-「ER」でもやってましたなあ)。スケール感に乏しい点で、作品賞の絶対本命と言い切れない所ではありますが、少なくとも俳優陣が演技部門で沸かしてくれるでしょう。

・ちなみに日本の東北新社がどかんと共同制作会社とクレジットされているのは痛快。ぱちぱちぱち。
・番組でしゃべりながらタバコをすぱすぱすっている主人公(これが原因でマローは癌で亡くなる)。時代の流れを感じさせます。

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2005年11月14日 (月)

「ジャーヘッド」Jarhead

jarhead米海兵隊の内幕と湾岸戦争を徹底的にリアルに描いた、サム・メンデス監督(「アメリカン・ビューティ」、「ロード・トゥ・パーディション」)の新作登場。観客を湾岸戦争の中へ放り込みます。

日本だと戦争映画には政治フィルターがかかってしまい、作品の評価をするときにどうしても“反戦”“好戦”が入り込んでしまいますが、この作品はそうした感情を排除したドキュメンタリータッチ。ご存知のように湾岸戦争は待ち時間が圧倒的に長く、開戦したらあっという間に終了してしまった戦争。映画は炎熱の砂漠で、ひたすら待ち続ける日々を描き出します。

実際に観客に戦争を追体験させるという点で「地獄の黙示録」「ブラックホーク・ダウン」に似たところがありますが、こちらには派手なアクションとドラマティックさはなく、戦場という場における“個人”のデイリーライフ、焦燥と狂気、モラルの崩壊、しかしそれでも前に進み続ける軍という“組織”の存在を淡々と追います。

最もドラマチックなのは、度々画面に表示される待ち日数とペルシャ湾岸に派遣された人員数の文字。最高時には50万にものこうした“個人”が、存在したこと、そして今もまた存在している事実を、静かに、でも確実に観客に突きつけます。また「ディアハンター」「地獄の黙示録」といった映画、明らかにヴェトナム復員兵=現ホームレスと思われる男などを登場させることによって、ヴェトナム戦争との違い、そして共通点等(父の戦争、息子の戦争)がスパイスになっている点も注目。

jarheadbook1原作は実際に海兵隊の狙撃手として湾岸戦争に従事したアンソニー・スオフォードの「ジャーヘッド-アメリカ海兵隊員の告白」。映画では描かれなかった膨大な情報が盛り込まれているとの事で、是非読んで見たい一冊。天才舞台演出家だったサム・メンデスが、ドラマ性を排除した映画作りをしている事は興味深く、スオフォードを演じる主演のジェイク・ギレンズホール(「ブロークバック・マウンテン」も待機中)と同僚を演じるピーター・サスガード(「フライトプラン」よりはるかに上)の演技も素晴らしいのですが、なんといってもジェイミー・フォックス。狂気の中で一人常に平常心を保っている、ゆえに実は一番狂気を秘めた上官役がはまり役。音楽に関してはボビーマクファーリンの「Dont't Worry Be Happy」、T-Rex「Get It On」、そしてDoors「Break On Through」の使われ方が印象的(DDoorsで「地獄の黙示録」と繋がる訳ですな)。

ちなみに“ジャーヘッド“とは海兵隊員達が、自分達の頭の刈上げの格好が”ジャー(ジャーポッドのあのジャーです)“に似ていることから使っている自嘲的自称。

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2005年11月13日 (日)

「デレイルド」Derailed

derailed1シカゴの成功した広告会社幹部にして、忠実な家庭人、でもちょっと倦怠期な男(クライブ・オーウェン)が、ふとしたきっかけで、通勤電車の中で知り合った魅力的な女性(ジェニファー・アニストン)と危険な関係に陥ったばかりに、家庭も仕事も人生も大脱線してしまう(de-railed=道から外れた、脱線したの意味)シリアスなドラマが、昨日公開になったばかりの新作「デレイルド(原題)」Derailed。ちょっと寄り道するならば、ダンス教室くらいにすれば良かったのに(アメリカ版「Shall We Dance?」のリチャード・ギアと設定がそっくり)。

内容的には不倫、ゆすり、殺人と、まるで2時間サスペンスドラマですが、主人公のオーウェンの「シン・シティ」とはうって変わったダメ男ぶりと、常に主人公の2歩先をゆくヴィンセント・カッセル(「オーシャンズ12」の嫌味なライバル)の板についた悪役ぶり(どんなに主人公が頑張っても勝てそうにない)が、見もの。

ジェニファー・アニストンは、「フレンズ」イメージを払拭するために、ラブコメ・ロマコメよりもこうした暗い役を選んだ方が良いかも知れません。評判の高かった「グッドガール」に続いて、不倫を見つけられてゆすられる役でした(「グッドガール」の不倫相手役・ジェイク・ギレンズホール主演の「ジャーヘッド」については明日にも紹介します)。噂のワインシュタイン兄弟の会社からの配給です。

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2005年11月12日 (土)

「ポセイドン」Poseidon

12月15日追記:公式サイト&予告編が登場しました。公式サイト予告編(Apple)
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poseidon2006大津波に飲み込まれ転覆した豪華客船「ポセイドン号」の下層部から水面(つまり船底)へ向けて、わずかに生き残った人々の決死の脱出行が始まる。押し寄せる奔流、迫る沈没の危機、そして生存者達の対立。全滅か、それとも誰か生き残る事が出来るのか?

1972年に公開され世界的に大ヒットとなり、パニック映画(日本式呼び方)、デザスター・ムービー(アメリカ式)ブームのきっかけとなった傑作「ポセイドン・アドベンチャー」のリメークですが、個人的な2006年最大の期待作。10代だった私には「ゴッドファーザー」よりも「ある愛の歌」よりも「小さな恋のメロディ」よりも影響の強かった映画。今でもジーン・ハックマン・アーネスト・ボーグナイン、シェリー・ウインタース(泣かせます)、キャロル・リンレー、レッド・バトンズ、パメラ・スー・マーティンという出演者名と、アカデミー主題歌賞に輝いた主題歌「モーンング・アフター」がすぐに思い起こされます。「裸の銃を持つ男」レスリー・ニールセンが、船長だった事は後から知りましたが(笑)。Poseidon1972

今回のリメークは基本設定は同じで、登場キャラクターが違う模様。出演も若手のホープ・ジョシュ・ルーカス(「メラニーは行く!」「ステルス」)、エミリー・ロッサム(「オペラ座の怪人」)を囲んでカート・ラッセル、リチャード・ドレイファスという曲者が並んで期待大。今回もまさかこの人が!というサプライズは是非。この30年間の特撮(SFXとはあえて言わず)の進歩により、超弩級の大作になる事請け合い。ただあまりに軽めの脱出RPGにはなっては欲しくないなあと、どきどきしながら待っております(海映画得意のウォルガング・ピーターセン監督だから大丈夫でしょう)。

これがヒットしたら「タワーリング・インフェルノ」とか、リメークされる予感が。「ポセイドン2」*はやめて欲しいけれど。

*大ヒットを受けて「ポセイドン・アドベンチャー2」が作られたが、無茶苦茶ありえない設定のトンでも映画となったので有名。作られなかれば良かった続編ランキングがあれば多分上位入賞間違いなし。

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続きに作品情報・ポスター上は2006年版“ティーザー”ポスター。下は1972年版。

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2005年11月10日 (木)

「ミュンヘン」Munich

munich10月末まで撮影を続けていたスティーブン・スピルバーグ監督最新作。公開日までに本当に間に合うのかどうか心配ですが、最近のスピルバーグはデジタルカメラ&デジタル編集を多用していて、撮影を続けながら現場でばんばん編集しているらしいので期待しましょう。公開日がクリスマスでスピルバーグといえば、それだけで来年のアカデミー賞候補に上げる人も多いのですが、これはアクション巨編なのか、重厚な人間ドラマなのか?その違いによって大分変わってくるかと思われます。

1972年のミュンヘン・オリンピックで起きたアラブ・テロリスト“黒い九月”のイスラエル選手の殺害事件。その主犯テロリストたちを執念で追いかけるイスラエル諜報機関モサドの戦いを描くという、無茶苦茶政治的議論を引き起こしそうな映画。当初のタイトルも“ベンジェンス(復讐)”だったのですが、最終的に「ミュンヘン」Munichに落ち着きました。HBO(ケーブルTV)製作の「Angels in America」で、高い評価を受けたトニー・クシュナー脚本、「トロイ」「ハルク」のエリック・バナ主演、新ジェームス・ボンド・ダニエル・クレイグ&ジェフリー・ラッシュ共演と重厚そうですが、それは逆に危ない感じをかもし出しています。

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2005年11月 8日 (火)

ハリーポッターと炎のゴブレット【その3】

久々に日本に帰ってみたら、既にお正月映画の話題が中心。大本命「ハリーポッターと炎のゴブレット」を軸に、「キングコング」「SAYURI」「Mr.&Mrs.スミス」が、追うという形でしょうか。アメリカでは11月末の感謝祭(サンクスギビング)から一気に年末モードで、日本より一足早く年末作品登場。こちらも「ハリー」「コング」「SAYURI」が目玉ですが、また「ナルニア国物語(日本は3月?)」「プロデューサーズ」等も登場し華やかなホリデイシーズンです。

で、日米共に本命のハリーポッターと炎のゴブレットのポスターご紹介その3。新キャラめじろおしで事前紹介が必要?なのでしょうか。色々な国で別ヴァージョンのポスターが作られているようです。アメリカの公開が日本より1週間早いのですが、19日に日本でも先行オールナイトもあるそうなので11/18-19には日米ともブログが記事で溢れるんでしょうね。私も早い段階で見てまいります(ネタバレはしません)。

過去記事:それぞれに別ポスターがあります。
ハリーポッターと炎のゴブレット」Harry Potter and the Goblet of Fire(2005年8月14日)
ハリーポッターと炎のゴブレット【その2】2005年9月26日)

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2005年10月17日 (月)

「フライトプラン」FLIGHTPLAN【その2】

flightplan2ベルリンからニューヨークへ向かうフライトの中で6歳の娘が行方不明。周りの人たちに聞いても誰一人娘の姿を見た人はなく、そして搭乗したという記録も残っていない。誰も味方のいない地上1万メートルの上空で母・ジョディ・フォスターのたった一人の戦いが始まるというスリラー・「フライトプラン」。

とにかくオープニングからホラー映画並みのピーンとした緊迫感。前作の「パニックルーム」と同じく、娘の命を守るために戦う母・ジョディ・フォスターの熱演が更に緊迫感を煽りまくります。惜しむらくは後半、悪の正体が明らかになってくると、そのスケールの小ささと同時に、映画のスケールも縮小する事。ジョディ・フォスターが“強い母”過ぎて、悪役はどう見ても適わなそうだし(笑)。ここにもう一人くらいお金を使った良い悪役を投入すれば良かったのに(その意味では同じフライト中の恐怖でもレッドアイ/Red Eyeのキリアンマーフィーの方が狂気じみていて上)と、突っ込みたくもなりますが、ここはジョディ・フォスターの熱演を楽しみましょう。

★ジョディー・フォスターDVD

過去記事:高度1万メートルの恐怖:「フライトプラン」と「レッドアイ」 (2005年8月11日)-ポスターあります。

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2005年10月15日 (土)

「エリザベスタウン」Elizabethtown【その2】

elizabethtown2キャメロン・クロウ監督の最新作。「あの頃、ペニーレインと」と同じく監督自身のパーソナルな体験を基に、詩的とも言える映像と音楽、そしてオーランド・ブルームとキルティン・ダンストという旬な若手と、スーザン・サランドン、アレック・ボードウィンという重量級脇役を配して、今度こそアカデミー賞との呼び声も高かったのに、トロント映画祭で披露されたとたん、批評家からはボロカスに叩かれている本作。個人的に今年最高の期待作だっただけに気になって仕方がなく、公開初日に行って来ました。

で、結論から言えば、評論家の言う事を信じてはいけません。十分納得の出来栄え。特に音楽の使い方が益々凄くなってきて、音楽が絵を、そしてストーリーを引っ張っている感さえあり。お馴染みのエルトン・ジョンも良いのですが、今回はケンタッキーからメンフィス近辺という舞台とマッチしてアメリカンロック勢優勢。特にトム・ペティの曲が心に染み入ります。また生演奏シーンで使われるレイナード・スキナードの名曲「フリー・バード(映画館で歌っていた人あり)」、そしてキング牧師のシーンでのU2のあの曲(当然というか、ベタな使い方)と音楽がキラキラしています(音楽担当は監督の愛妻&ハートのギタリスト、ナンシー・ウィルソン・“続き“にサントラ曲目を入れておきますが、入っていない曲が多すぎ)。

興味深かったのは、今年見たジャームッシュの新作「ブロークン・フラワーズ」が、成功した中年男が息子と失われた過去を求めて、人生を見つめなおす(でも癒されない)旅に出る映画だったのに対して、「エリザベスタウン」は、若くして全てを失った男が、父の人生に触れ旅に出て自分を見つめなおし、癒されていくという裏表の構造だったこと。双方とも中西部の田舎を舞台にし、渋い音楽に彩られている点が共通していますが、残酷なまでに突き放すジャームシュに対し、こちらは愛情と希望に満ちている点が最大の違い(尊敬するビリーワイルダーの影響か)。このあたりが常にキャメロン・クロウが「甘い」と叩かれるゆえんでしょうか。でもいいじゃないですか。映画を見るほうは、十分現実で突き放されているのですから、希望を信じても。

これがコスプレ以外初のオーランド・ブルームは、ナイーブな感性が良く出ていてファンにはたまらないのでは。キルティン・ダンストは前半ちょっとうるさい感じですが、後半どんどん良くなります。チョイ役のジェシカ・ビールが魅力的。しかし出番は少ないもののやっぱりスーザン・サランドン。映画の一番美味しいところを持っていきます。

確かに個々のエピソードの切れが悪く、特に前半の転がりが悪いので、傑作、名作とは言えずアカデミー賞戦線からは脱落してしまいましたが、私には愛しき小品。機会があれば出来るだけ音響の良い環境で耳と目でお楽しみ下さい。

過去記事: 「エリザベスタウン」Elizabethtown 2005年8月 3日 (水)-別ポスター有
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2005年10月11日 (火)

「シャイニング」The Shining

ちょっと古い映画ですが(1980年)、新しい予告編を見つけましたので、ここでご紹介。まずはその予告編をご覧下さい。大ベストセラーの原作を名匠スタンリー・キューブリックが監督、ジャック・ニコルソンが主演という豪華組合せ。コロラドの山奥にある豪華なリゾートホテル・オーヴァールックホテルを舞台にした、売れない小説家ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)、その妻ウェンディ(シュリー・デュバル)、そして一人息子ダニー(ダニー・ロイド)の3人家族が綴る愛の名作。

既に「カッコーの巣の上で」でアカデミー賞を獲得していたジェック・ニコルソンの演技がここでは冴え渡っています。ゴージャスなホテルのセット、自在に動き回るカメラワーク(特にオープニングのホテルへ続く道を追う上空からのショット!)、そしてクライマックスの雪、雪像の美しさなどの映像美もまた見所。是非DVDでご覧下さい。

作品情報は続きに。

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2005年9月28日 (水)

ファミリードラマの構図1:「ゲス・フー 招かれざる恋人」と「ミート・ザ・ペアレンツ2」

家庭に彼氏、彼女を呼んだりすることには比較的オープンなアメリカのファミリー。しかし一度そこに人種、宗教、貧富、主義主張の違い、嫁姑等の要素が入ると、これがなかなか一筋縄ではいかないのが真実。シリアスに描くと重厚なヒューマンドラマと大変な問題ですが、このカルチャーギャップ・落差はコメディの格好の素材という事で、最近はこうした家庭内カルチャー・ギャップ・コメディが流行り物です。

meetthefockersおそらくこれは「ミート・ザ・ペアレンツ」の「超」特大ヒットが引き金になっていると思われます。これは元FBIロバート・デ・ニーロ親父のガチンガチン・コンサバ家庭にジューイッシュ若者・ベン・スティーラーが挨拶に行く話。そして米国では昨年末に公開され、日本ではなんと今年の11月に公開される「ミート・ザ・ペアレンツ2(ミート・ザ・フォッカース)」はそのコンサバ家庭と、リベラルなジューイッシュ家庭(ダスティン・ホフマン&バーバラ・ストライサンド!)が、二人の結婚式を舞台にぶつかりあう話。デニーロVSホフマン&ストライサンドという超大物対決で笑わせてくれます。

ちなみに「フォッカース」という名前をタイトルにすると、「R指定(米国では18歳未満は保護者同伴が必要)」になrってしまう危険があったのですが、カナダに「フォッカーさん」が実在すること確認して、「PG13」を勝ち取ったとか(「フォッカー大佐」ってマクロスにいましたな)。

guesswhoこうした流れを受けて、1967年のシリアスなドラマ「招かれざる客(白人家庭の娘がアフリカン・アメリカンの彼を連れてくる)」を、2005年風味付けでリメークしたのが、現在日本でも公開中の「ゲス・フー 招かれざる恋人」で、こちらはアフリカン・アメリカン家庭の娘が白人ボーイフレンドを連れてくるお話。「オーシャンズ11&12」、「チャーリーズ・エンジェルス2:フルスロットル」のバーニー・マックが親父で、娘のボーイフレンドが、デミ・ムーアとの結婚で話題のアシュトン・カッチャー。ちなみに「フルスロットル」ではバーニーマックとデミムーアが共演してます。

関連記事:
ファミリードラマの構図2:母親VS息子の嫁、彼女
ファミリードラマの構図3:「モンスター・イン・ロウ」Monster-in-Law
ファミリードラマの構図4:プライム&ファミリー・ストーン

それぞれの作品情報は続きにあります。

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2005年9月27日 (火)

ハリーポッターと炎のゴブレット【その2】

夏の大作シーズンも終わり、アカデミー賞を狙ったどちらかというとアートな作品が、続々と公開されていますが、そんな中、年末時期に向け目玉作品の宣伝にも力が入ってきました。

過去にもご紹介しましたが、その中でも最も期待される一本「ハリーポッターと炎のゴブレット」Harry Potter and the Goblet of Fire の新ポスター登場(旧ポスターは前の記事参照)。これはYahoo Hong Kongで見つけたものですが、新キャラがメイン(クリックすると拡大します)。新キャラ登場のよりダークな予告編も「ティム・バートンのコープス ブライド」の前に流れていました。ちなみに香港のタイトルは「哈利波特火盃的考驗」。

すでに単なるファミリー向けの枠を超えて、大河ドラマ・ダークファンタジーの風格あり。公開が楽しみです。
過去記事(続きの中も入れました):
「ハリーポッターと炎のゴブレット」Harry Potter and the Goblet of Fire(2005年8月14日)

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2005年9月25日 (日)

ティム・バートンのコープス・ブライド【その2】

corpsebride1待ちに待った甲斐がありました。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の流れをくんだ、異形の、でもチャーミングな者達のおりなす、生者と死者の交錯する怪しい世界を舞台とした美しい愛の物語。個人的に今年見た映画の現在までのベスト。日本で今公開中の「チャーリーとチョコレート工場」で、ティム・バートン・ワールドに触れ、気に入った方に是非見て欲しい映画。勿論「ナイトメア~」「ジャイアント・ピーチ*」以来のティム・バートン・アニメファンも裏切りません。

面白いのは、人間(生者)の世界が暗くモノトーン・ゴシック風(古の怪奇映画の雰囲気)なのに対して、死者の世界(Land of the Dead?)が、カラフルで明るく楽しそうな世界な事。この二つの境界が崩れてしまい、それぞれのカラーが溶け合う後半がクライマックスになります。

corpsebride4自分の結婚式の前日に、ひょんなことから“死体の花嫁(コープス・ブライド)”と結婚する事になってしまう、気弱だけれど誠実な主人公の声がジョニー・ディップ。本人に似ているとの声もありますが、私には「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディに見えて仕方がありませんでした。

細かな話ですが、その主人公のピアノのブランド名が「ハリーハウゼン」。勿論これは「シンドバッド七回目の冒険(1958)」等で知られるストップ・モーション・アニメの巨匠レイ・ハリーハウゼンへの敬意ですね。CGアニメ全盛のこの時代に、気が遠くなるような時間と人手とお金がかかるストップ・モーション・アニメですが、こんな素晴らしい作品が見れるのですから、ティム・バートンには一日も早く次回作に取り組んで欲しいものです。

corpsebride5*(ジャイアントピーチは)考えて見れば、これは「チョコレート工場」と同じ、ダールの原作だったのですね。

作品情報&ポスターは過去紹介記事にあり:
ティム・バートンのコープス・ブライド」Tim Burton's Corpse Bride (2005年8月 6日 ・土)
Photoのソースは Yahoo Movies(USA)

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10月8日:新しいポスター追加します。生者の世界より死者の世界が楽しそうなのが、ティム・バートン風。
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2005年9月24日 (土)

その後の指輪物語・ヴィゴ・モーンテンセン

その後の指輪物語・イライジャ・ウッド」からの続きです。

historyofそして王となったヴィゴ・モーンテンセンが、デビットクローネンバーグ監督の作品で主役を務めるのが、「暴力の歴史(原題)」。小さな町でダイナーを営む平凡な男が、強盗を撃退したがゆえにメディアの注目を浴び、恐ろしい男達に付きまとわれ始める・・・というこちらも シリアスなドラマ。王様からうって変わった平凡な男。しかし何か特別なものを秘めた男という役柄を演じて前評判も高く、早くもアカデミー賞レースにからむのでは、と注目されています。 ヴィゴ以外にもエド・ハリス(この人にまとわり着かれたくないなあ)、ウィリアム・ハート等実力派が共演。

12月には監督だったピ-タージャクソンの新作「キング・コング」も公開されますが、さてさて「ロード」後の一番出世は誰になるか?楽しみな展開です。

「暴力の歴史(原題)」A History of Violence
分野: ドラマ、スリラー
米国公開日: 2005年9月23日(NY/LA等限定公開・その後拡大へ)
米国版公式サイト: http://www.historyofviolence.com/
米国配給会社: New Line Cinema
日本公開日: 未定
主演: Viggo Mortensen, Maria Bello, Ed Harris, William Hurt, Ashton Holmes
監督: David Cronenberg
製作: Kent Alterman, David Cronenberg, Cale Boyter

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その後の指輪物語・イライジャ・ウッド

三部作形式としては「スターウォーズ」にも匹敵する歴史的成功作となった「ロード・オブ・ザ・リング(ス)」シリーズ。30年たてば、当時最も有望に見えたマーク・ハミルではなく、ハリソンフォードがその後最も成功した訳ですが、「ロード」メンバーもその後どんな、キャリアを積み重ねていくのか楽しみ。この秋から年末には出演者達の新作が公開されるのでご紹介。題して「その後の指輪物語」。

greenstreethooligans昨年の「トロイ」、今年の「キングダム・オブ・ヘブン」、そして10月14日公開の「エリザベスタウン」、来年の「パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン2」と大作、話題作で目立ちまくっているレゴラス・オーランド・ブルームの活躍が目立ちますが、主役のフロド・イライジャ・ウッドは、アート系の作品でじっくりキャリア構築を図る模様(元々子役出身で芸暦は長いのですが)。4月の「シン・シティ」での邪悪な役柄(ファンが見たら泣きそう?)に続き、9月9日からNY/LA/Chicagoで限定公開の新作が、イギリスに渡ったアメリカ人青年が遭遇するフーリガンの世界を描く「グリーン・ストリート・フーリガンズ(原題)」Green Street Hooligans 。かなりシリアスで暴力に満ちた暗いドラマの模様。


everything2そして同じく9月16日にNYとLAで公開されたのが、祖父を助けた女性を探しにウクライナまで出かける青年に扮する「エブリシング・イズ・イルミネイテッド(原題)」Everything is Illuminated 。こちらはコメディ色の強いドラマらしく、同じイライジャの顔を使いながらポスターの雰囲気が全く違います。どちらもアート系の匂いのする映画なので、日本公開は厳しいかも。アート系の劇場公開期待。いずれにしても旅に出なくてはいけないのは、やはり宿命なのでしょうか?

その後の指輪物語II・ヴィゴ・モーンテンセン」に続く。

続きに2作品の情報あり。

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2005年9月14日 (水)

「ブロークバック・マウンテン(原題)」Brokeback Mountain

brokeback日本では「たけし、受賞を逃す」というような記事ばかりですが、10日夜に閉幕したヴェネチア映画祭の最優秀賞である金獅子賞に輝いたのはこのアン・リー監督作品(情報はツボヤキさんの「ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY」から)。

1963年から80年代までのワイオミング壮大な自然と四季を舞台にした、二人の男の愛の物語。「ブラザース・グリム」ではマット・デイモンとコンビだったヒース・レッジャー&若手最高の演技派と目されるジェイク・ギレンズホール*のコンビは、新時代の「真夜中のカウボーイ」か「スケアクロウ」か。お姫様女優・アン・ハサウェイ(「プリティ・プリンセス」)のシリアスな演技にも注目。

今まで水面下でしたが、これで一気にアカデミー賞レースに躍り出てきました。同時に男優賞(デヴィッド・ストラザーン)とオゼッラ賞(脚本賞・ジョージ・クルーニー&グラント・ヘスロブ)を獲得した、「グッドナイト・アンド・グッドラック」もやはり前評判通りの強さを発揮。

ジェイク・ギレンズホール:
デビューが「シティ・スリッカーズ」とは調べるまで知りませんでした。2001年のカルト作「ドニーダルコ」で注目を集め、「Good Girl」での繊細な演技で若手演技派と目されるようになりました。知名度をあげなきゃいけないと思ったのか「デイ・アフター・トゥモロー」にも出演。今年の後半だけで「Brokeback Mountain」「Jarhead(これも注目作)」、「Proof(いまいち評価が低いけれど)」、「Jiminy Glick in La La Wood」と4作が待機中。プライヴェートではキルティン・ダンストの長年に渡るパートナー。一時期トビー・マグワイアに代わり「スパイダーマン2」の主演にという話もありました。

続きに作品情報

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2005年9月10日 (土)

シャーリーズ・セロンの別れ道1:「ノース・カウンティ(原題)」North Country

ある程度若くアカデミー賞を取ってしまうのは、俳優として危険な事です。

何故なら“一流”のお墨付き(死ぬまで、いや、亡くなった後も“アカデミー賞受賞者”と経歴に記載)を得ると、アート系の高尚な役回りを選んでしまい役柄を限定してしまう事があること。また逆にアクション映画やコミック原作の映画に出たりすると、落ちぶれた、金の為なら何でもやる等とボロカスに叩かれる事必死。

最近の女性受賞者中、成功と呼べるのがニコール・キッドマン(主演女優賞・「めぐりあう時たち」Hoursの後も「インタープリター」「バース」「ステップフォードの妻たち」、そして「奥様は魔女」とシリアス・コメディどんとこい)、レニー・ゼルウィガー(助演女優賞「コールド・マウンテン」後も「ブリジット・ジョーンズ2」、「シンデレラ・マン」等、コメディの出来る演技派の道、着々」。大丈夫そうなのはケイト・ブランシェット(いつでも取れるみたいなオーラ有)。失敗と呼べるのはハリー・ベリー(主演女優賞・「チョコレート」Monster’s Ball以降、「キャットウーマン」、「X3: X-Men3」と色物続き。前者でラジー賞受賞)、ジョディ・フォスター(主演女優賞&助演女優賞。「パニック・ルーム」、「フライトプラン」・・・もう2度と取る気はない?)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(誰か覚えてますか?)あたりでしょうか。

northcountryそんな中、「モンスター」で主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンの、全く好対照な(ポスターを見ても同じ人に見えません)二本の映画がこの年末に向けて公開。この作品での評価が今後のキャリアの分岐点になるのではないでしょうか。ニコール・キッドマンになれるか、ハリー・ベリーになってしまうのか?ここが運命の分かれ道。

「ノース・カウンティ(原題)」North Country
離婚後、二人の子供をかかえ故郷のミネソタへ戻った主人公。炭鉱で働く事になったが、そこでの女性たちの扱いの酷さに、立ちあがる時を迎える。実際に起きたセクシャルハラスメントに関する集団訴訟にインスパイアされたドラマ(21世紀版「ノーマ・レイ」か?)。シャーリーズ・セロンのシリアスな部分を強調しているかと思われます。正統的アカデミー賞後仕事。


この項目、明日part II公開。続きに「ノース・カウンティ(原題)」North Countryの作品情報。

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2005年9月 7日 (水)

「シンデレラ・マン」Cinderella Man

cinderellaman大体まだ9月に入った時点で、2006年3月に発表になるアカデミー賞に向けて、「最有力」と宣伝する映画にろくなものはない、大体ノミネートの発表は来年なんだし、と映画ファンであれば身構えてしまいます。過去に痛い授業料を払わされているので。

ところがところが、本当にこの9月の時点で締め切りならば、本当に大本命な作品がこの「シンデレラ・マン」Cinderella Man。大恐慌時代に「負け犬」から「奇跡」を起こし全米に夢と勇気を与えた馬の物語・・・ってそれは「シービスケット」。ところがこの「シンデレラマン」の主人公のボクサー・ジム・ブラッドックの物語と競走馬シービスケットは、時代背景、挫折から栄光への軌跡、そして当時の人々の間に巻き起こした熱狂度等において、比較される存在との事。「シービスケット」を観た方なら比較も面白いかも。そういえば「シービスケット」も夏の公開で、当時はアカデミー賞の本命と言われていましたが、年末公開の「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」に敗れたのでしたが、この作品は果たしてどうなるでしょうか。これから公開のライバル映画についてはこちらをご覧下さい、Part I, Part II

とにかくラッセル・クロウ、レニー・ゼルウィガーの主役が素晴らしく、個人的にはそれぞれがアカデミー賞をとった「グラディエイター」「コールドマウンテン」よりも上と思っていますが、4月にも書いたように、マネージャーを演じるポール・ジアマッティに是非アカデミー助演男優賞を!

過去記事:
Summer Movie 2:シンデレラマン(April 30, 2005) ポスター別ヴァージョン有り。
日本語公式サイト、「アカデミー賞最有力」の文字が踊っています。

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2005年8月31日 (水)

「レント」 RENT

2006年3月1日追記:そのままではありますが【やっと見ました・「レント」RENT】をご覧下さい。

rent1映画の予告編を見ただけで、涙腺が緩んでしまう、そんな経験はありますか?

ブロークン・フラワーズ」の前に流れた予告編がカッコ良くて、ニューヨークが懐かしくて、うるうる体験をしてしまったのがこの映画。代表的なナンバー「Seasons of Love」が流れるだけで、セリフなしのカッコ良い予告編はこちらでご覧あれ。

ニューヨーク好きならばご存知の通り、現在でもブロードウェイで上演中のミュージカルの映画化。舞台は勿論「RENT(家賃)」に頭を日夜悩まされる街・ニューヨーク。プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』の舞台パリのボヘミアン群像*を、80年代の激動のイーストヴィレッジ**の若者たちの叫びに置き換えたロック・ミュージカル。オフ・ブロードウェイから瞬く間にブロードウェイへ駆け上がり、96年にはピューリッツァー賞(ドラマ部門)とトニー賞(最優秀作品賞・音楽賞・脚本賞・助演男優賞)を受賞した作品の映画化です。

実際にイーストヴィレッジに住み、バイトをしながらミュージカルに没頭する生活をしていたジョナサン・ラーソン(脚本・作詞・作曲を担当)が、開幕前日のドレスリハーサルを終え、The New York Timesのインタビューを受けた後、自宅に戻りお茶を飲んだ後動脈瘤破裂の為35歳で急死するというドラマチックなエピソードを持つこの作品。ラーソンの生き方が、登場人物にこだまし、「あるのは今日というこの一日だけ」というメッセージが突き刺さります。

監督がクリス・コロンバスと聞いてちょっと不安でしたが(「ホーム・アローン」の監督)、この為に「ハリーポッター」の監督を卒業してのチャレンジだけに期待しても良いのではないでしょうか。

劇中に登場する「ライフ・カフェ」は80年代NY危険地帯・トンプキン公園のまん前。まだミュージカルの「RENT」を見る前にサラダを食べた事を思い出します。

続きに詳細情報あり。

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2005年8月30日 (火)

「ブロークン・フラワーズ」 Broken Flowers

●2006年2月21日追記:日本公開が4月GW向けと確定したようなのでご報告致します。日米で公開順番は逆になってしまいましたが、逆エリザベスタウン(理由はこちら)。アカデミー賞候補にノミネートされませんでしたが、ノミネート作品と比べて引けはとらない作品です。

brokennflowers黒部エリさんのブログを読んで、「40歳の童貞(原題)」The 40 Years Old Verginを見に行こうと思ったのですが、渋滞で時間に間に合わず見てきた映画が、ジム・ジャームッシュ監督、最近絶好調のビル・マーレイ主演の新作「ブロークン・フラワーズ」。「40歳の童貞」が、下ネタ満載のべたべたなギャグ満載のドリフ型コメディ(のはず)だとすると、「ブロークン・フラワーズ」はその絶妙な間の取り方でクスクス観客を笑わせ、そして突き放す映画と対照的。

老境に差し掛かりつつある生涯独身プレイボーイ・ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)。また彼女に出て行かれてしまったが、別にどうってこともない彼の元に届いたピンクの封筒の手紙。手紙に書かれていたのは、自分には19歳の息子がいるかも知れないという内容。いきなり「過去」からつきつけられた「今」。嘘か誠か、当惑と期待に揺れ動きながら彼は、20年前に付き合っていた女性たちの「今」を訪ね、アメリカを旅をする。果たして彼は、息子と会えるのか、昔の彼女たちの今は、そして彼は失われた「過去」を取り戻せるのか。

ビル・マーレイがこうした狭間を淡々と演じていて絶妙な事、達人の域の落語家の如し。アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロじゃ油が残りすぎているしダスティン・ホフマンだと口数が多そう。ジョニー・デップなら出来そうだけど20年若すぎ。「ロスト・イン・トランスレーション」とは文字通り「言葉」、「文化」の狭間におっこちゃった男の話でしたが、ビル・マーレイが、そんな狭間の男の微妙なニュアンスを演じ、かつ「間」で笑わせる事が出来るようになるなんて、「ストライプス」、「ゴースト・バスターズ」の時代は想像も出来ませんでした。

大好きな「サタデーナイト・ライブ」OB達も、ジョン・ベルーシは逝き、ダン・アクロイドは音楽活動と渋い脇役になり、チェビー・チェイスは失速してしまった今。第二期のスター、スティーブ・マーティンとビル・マーレイの活躍は嬉しいかぎり。アダム・サンドラー、クリス・ロック、ウィル・ファレルも20年たったらこんな感じになれるかな?コメディアン軽視のアカデミー賞をビル・マーレイに!

続きに共演者等の作品情報あり。

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2005年8月15日 (月)

「ハリーポッターと炎のゴブレット」Harry Potter and the Goblet of Fire

9月26日追記:新キャラ登場のポスターを追加しました、ハリーポッターと炎のゴブレット【その2】

harry1 おなじみの大ヒットシリーズの丁度折り返し点になる第四作は、クィディッチのワールドカップ、100年ぶりの3大魔法学校対抗試合、初恋とライバル、竜、人魚、そして恐るべき宿敵の出現と盛り沢山。2時間半の上映時間に詰めこめるのか?

子供、ファミリー向けに見えてかなりダークな味付けは健在なはずで、今回はPG-13(13歳以下保護者の指導を要す)。惜しくもリチャード・ハリスは逝ってしまったが、アランリックマン、ゲイリー・オールドマン、レイフ・ファインズ、マギースミスが絡んでくるという超豪華キャスト健在。しかし日本版のポスター「決戦の時だ、ハリー」というのは違和感がありますね。元々は「試練のときがやってくる」。

「ハリーポッターと炎のゴブレット」Harry Potter and the Goblet of Fire
分野: アクションアドヴェンチャー、ファンタジー
米国公開日: 2005年11月18日
米国版公式サイト http://harrypotter.warnerbros.com/gobletoffire/
米国流通会社: Warner Bros.
日本公開日: 2005年11月26日
主演: Daniel Radcliffe, Emma Watson, Rupert Grint, Michael Gambon, Maggie Smith
監督: Mike Newell
製作: David Barron, David Heyman, Chris Columbus

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2005年8月13日 (土)

「SAYURI」Memoirs Of A Geisha

8月25日追加情報:
日本公開日は12月10日。タイトルは正式に「SAYURI」
日本語版公式サイト

geisya1年末公開を控えいよいよ宣伝も開始された話題作「さゆり」こと「Memoirs Of A Geisha」。大ベストセラーの原作、スピルバーグが製作にまわり、「シカゴ」のロブ・マーシャルが監督を務め、中国のトップ女優と日本の男優が顔を合わせるキャスト、そしてアカデミーを狙う公開時期。しかしこの胸をよぎるこの不安はなんでしょう。目が青いのは何故?「ラスト・サムライ」の製作時に比べ不安比率100倍。

アメリカでも無名の出演者(チャン・ツィーが若干知られる程度)&文芸作品的な内容から、「売るのに難しい」とされています。全ては作品の出来次第。この所「ステルス」「奥様は魔女」等こけ続きで不調のソニー。架空映画評論家で絶賛という嘘で裁判で負けて現在ぼろぼろ。2006年の「ダ・ヴィンチ・コード」、2007年の「スパイダーマン3」まではヒットが出ないのでは皆、レイオフされちゃいますが。米国では12月9日公開。

「さゆり」Memoirs Of A Geisha
分野:ドラマ
米国公開日:2005年12月9日 米国版公式サイト
米国流通会社:Columbia Pictures
日本公開日:2005年12月10日
主演:Ziyi Zhang, Ken Watanabe, Gong Li, Michelle Yeoh, Koji Yakusho
監督:Rob Marshall
製作:Patricia Whitcher, Steven Spielberg, Bobby Cohen

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2005年8月12日 (金)

高度1万メートルの恐怖:「フライトプラン」と「レッドアイ」

redeye1アメリカの生活に切り離せないのが飛行機による移動。会社にいる時間より、飛行機の中と空港での待ち時間で暮らしている方が多く感じる生活をしている人が沢山います(私もその一人。昨日もニュージャージーで飛行機の搭乗してから出発まで1時間以上。とほほ)

ということで昨年の「ターミナル」のような空港で暮らす人の映画もあり、「大空港」シリーズのような飛行機と空港を舞台にしたパニック物映画あり(「ダイハード2」もその一種)、今までも数多くの作品がありますが、この夏~初秋に飛行機の上を舞台にしたスリラーが二本公開。

西海岸から東海岸へ向かう夜行便。5時間のフライト時間に3時間の時差を加えて、効率的に移動できますが、これをやると目が真っ赤&身体がたがた。この夜行便を称してレッドアイと呼ぶのですが、米国で8月19日に公開のタイトルもずばりの映画「レッドアイ」は、西海岸からマイアミに向かうレッドアイの中で隣に座った人が殺人者だったら?そしてそれが単なる偶然ではなく巧妙な罠だったら、というサスペンス・スリラー。主演はただ今ヒット中の「ウェディング・クラッシャー」のヒロイン・レイチェル・マクアダムスと「バットマン・ビギンズ」の狂気の悪役キリアン・マーフィという生きの良い組み合わせ。「エルム街の悪夢」等のホラーの巨匠、ウェス・クレイブンが始めてホラー以外の分野に挑むこの作品は8月19日公開。

flightplan1ベルリンからニューヨークへ向かうフライトの中で6歳の娘が行方不明。周りの人たちに聞いても誰一人娘の姿を見た人はなく、そして搭乗したという記録も残っていない。誰も味方のいない地上1万キロの上空で母・ジョディ・フォスターのたった一人の戦いが始まる、というのが9月23日公開の「フライトプラン」。すごく面白そうですが、なんだか彼女の前作「パニックルーム」に似ているような気もします。その前にショーン・ビーンが機長のフライトには絶対に乗りたくはないけれど(笑)。

続きに作品情報

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2005年8月 4日 (木)

「エリザベスタウン」Elizabethtown

elizabethtown1今年個人的に最も待望のキャメロン・クロウ(「あの頃、ペニーレインと」*、「ザ・エージェント」、「ヴァニラ・スカイ」)の新作。今をときめくオーランド・ブルームとキルティン・ダンストの共演も楽しそう。ただし「キングダム・オブ・ヘブン」が興行的に今一歩だったオーランド、「スパイダーマン」以外にヒットが出ないダンストにはもう一回り大きなスターになれるかどうかの試金石。

父の葬儀の為に故郷エリザベスタウンに戻るオーランドと彼を取り巻く人々をめぐるドラマ、コメディ。母親役はこの人が出るだけで映画が安定するスーザン・サランドン。売り出し中の3人のジェシカ**の一人、ジェシカ・ビールも出ています。滑ると単に甘いだけのファミリードラマ、うまく行くとアカデミー賞戦線に躍り出る可能性あり。音楽担当は勿論監督の愛妻・ナンシー・ウィルソン(「Heart」のギタリスト)。

続きに補足&映画情報あります。

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2005年8月 2日 (火)

「がんばれ!ベアーズ」Bad News Bears

9/5追記:
日本公開タイトルは「がんばれ!ベアーズ/ニュー・シーズン」で日本公開は9月23日から。

thebadnewsbears1 「ロンゲストヤード」に続き高校生の頃に大好きだった映画「がんばれ!ベアーズ」のリメーク登場*。負け犬少年野球チームが酔いどれ監督の下、不良の強打者と女性投手を迎えて勝ち進むと言う痛快野球映画だった1976年版。天才子役テイタム・オニールのピッチャーと監督ウォルター・マッソーにスポットが当てられていましたが、このリチャード・リンクレイター(「スクール・オブ・ロック」)版リメークでは、監督を演ずるビリー・ボブ・ソーントンの色が強い=毒が強い模様。

*オリジナル版では子供がデートでストーンズのコンサートに行くのにウォルター・マッソーが怒っていたのが懐かしい思い出(「12の子供がストーンズのコンサートなんて」)。続編も「がんばれ!ベアーズ 特訓中」、「がんばれ!ベアーズ大旋風-日本遠征-」(テイタム出演せず)」と2本作られ、特に後者では少年野球大国日本に行き若山富三郎率いる日本チームと対決したり、アントニオ猪木と対決(?)します。

**ライアン・オニール(「ある愛の歌」)の娘。父娘共演の「ペーパームーン(傑作)」で史上最年少でアカデミー賞助演女優賞を受賞。その後ジョン・マッケンローと結婚、離婚。今でもTVの端役で見かけます(「Sex and the City」でキャリーの昔の親友役とか)

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