底抜けに楽しいミュージカル映画『マンマ・ミーア!』
NY発の株式暴落により世界恐慌の危機に瀕し、ポール・ニューマンや緒方拳といった名優が去ってしまったこの暗い時代。少なくとも映画や演劇、音楽といったエンタテイメントは明るく前向きなものに触れたいもの。そんな時にぴったりの底抜けに楽しいミュージカル映画が『マンマ・ミーア!』。日本公開が2009年1月30日と来年になってしまうのが残念ですが、明るい気分になりたい人にはお勧めの一本。

エーゲ海にギリシャの浮かぶ美しい島。この島で小さなホテルを経営するドナ(メリル・ストリープ)の女手ひとつで育てられてきたソフィ(アマンダ・セイフライド)は明日が結婚式。自分の父が誰か知らない彼女は“結婚式では父とヴァージン・ロードを歩きたい”と心から望み、ドナがかつて付き合っていた3人の男性サム(ピアース・ブロスナン)・ビル(ステラン・スカルスガルド)・ハリー(コリン・ファース)に母に内緒で式に招待するが、三人ともが現れてしまったことにより大混乱。果たして本当の父親は誰なのか?そして彼女は父親とヴァージン・ロードを歩むことは出来るのか?
勿論“オリジナル”は1999年にロンドンで初演されニューヨーク・ブロードウェイでも大ヒット、日本でも上演されたミュージカル『マンマ・ミーア!』。全編のセリフがABBAの大ヒット曲で構成される(それもオリジナルの歌詞そのままで)という当時としては画期的なミュージカルでした。この映画もミュージカル版と同じくABBAのオリジナル・メンバーであるビヨルン&ベニー(「木枯らしの少女」!)ことベニー・アンダーソン&ビヨルン・ウルヴァースが製作総指揮として深く関っており、ミュージカル版で演出を手がけたフィリダ・ロイドが監督。よってオリジナルのオリジナルのABBAの楽曲が持つ能天気なまでの人生賛歌、恋愛賛歌、SEX肯定(当時スウェーデンは“性”の先端地とされていましたなあ。)という明るさと母子家庭もゲイも離婚も整形もみんなオッケー、歌って踊って笑って前向きに進んでいこうよというミュージカル版の双方が持つ“超肯定的な世界観”を見事なまでに保っています(映画ですから地中海の風景をバックにしている分より強調)。メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン等主要キャストは全員その歌声を披露していますが、中でもメリル・ストリープは「今宵、フィッツジェラルド劇場で」のカントリー・シンガーからこの映画のABBAまでこなす実力はその演技の幅の広さと同様で感服するのみ。
元々ミュージカルは雨に打たれている人が突然歌いだしたり、歌って踊りながら喧嘩をしたり、一曲朗々と歌いながらお亡くなりになったりというSFを凌ぐ非日常的世界で、「なんで急に道端で歌いだすんだ」とかいう突っ込みはしないのがお約束。この映画を見て「顔をみりゃ誰が親父だかわかりそう(そもそもドナは誰が親父かは覚えているだろう)」とか「メリル・ストリープの年齢が高すぎで娘とバランスがおかしい」とか「どうしてそこでその歌なんだ?」etc…の突っ込みを入れるのは野暮というもの。不景気で暗く落ち込んでいる人も見終わった後には踊りだしたい気分が味わえますので是非(さすがにミュージカルと同じように踊っている人はいませんでしたが、試写会で歌っている人はいましたよ)。
・ABBAについては別館“The Song Remains The Same”にて近日。
・ニューヨークでプレヴュー版を見たミュージカル版『マンマ・ミーア!』の思い出は本館“「USAのんびり亭」日記”にて近日。
続きに作品情報。
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まだ誰も完成品を見ていないうちからアカデミー賞の有力候補とされていたのがこの「ドリームガールス」。元々良く知られたブロードウェイ・ミュージカル★の映画化であり、その映像の圧倒的な美しさ、そして歌のシーンの迫力、そして噂に聞く主演者達の熱演振り。しかしそれだけだと昨年の「SAYURI」と同じで、技術・美術部門だけの評価で終わりかねないとも心配していましたが、実際に見てみればヘヴィな前述の作品賞候補群をひっくり返すだけのハリウッド映画らしい“輝き”を持つ作品でした。監督は「シカゴ(作品賞)」の脚本を担当したビル・コンドン。音楽の素晴らしさは圧倒的で映画館帰りに即サントラCDを買いました(笑)。音楽好き、特にモータウン・サウンドに代表されるブラック・ミュージック好きには絶対のお勧め。




ブロードウェイのミュージカルは一晩1000人程度の人しか見れないのに比べ、映画なら世界中が何百万人と見る事が出来ます。生のステージは$100($500のVIP席が出来たのはこの「プロデューサーズ」が最初)もするのに映画は入場料$10以下で楽しめます。ブロードウェイが見にいけない人にも気軽に楽しんでもらえるのが、映画の良いところ。このミュージカル映画版「プロデューサーズ」はそんな目的で作られた映画に思えます。
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